津波被災の記録146

 東日本大震災の「被災者」「被災地」というのは、様々な報道の在り方を見ていると、本当に都合の良い「道具」として使われるための言葉なのだと身にしみる日々です。「忖度」という「お客様に寄り添った接客」などのことではありますが、この6年は実に都合の良い「忖度」をするNPO等により被災地を混乱させ、死ぬまで付きまとうという「忖度」の別の面を見続けてきました。平成23年3月11日の発災から様々な支援や政策が「被災者の気持ちが分からないのか」という罵声や怒号などの「忖度」要求により実施され、税金が使われることになりました。
 
 当事者の被災者からの要望というのは、当時は殆ど汲み上げられていなかったと思います。半年から一年が経過してから被災者に対する意見集約が始まったので、その間に決まったことは一部の有識者、大学関係者、国・県・市町村の中で「忖度」が行われただけなのです。その「忖度」で復興特別税による復興予算20兆円超が決まるプロセスには被災地は殆ど関与しておりません。間接民主主義の日本において様々な政策は「忖度」されながら決まり、実行段階で当事者との意見調整がなされながら進むものです。その中で、防潮堤の高さを高くしてほしいと言う地域もあれば、低くして欲しいと言う地域もあり、「忖度」したから物事がその通り進むことが無いのはこの6年での復興計画の遅れとなって現れているのです。
 
 大槌町の復興の遅れは、防潮堤建設の際に共産党系の反対する方たちの「巨大な防潮堤ガー」ということによるものです。地下水脈が豊富に流れる町内を嵩上げせずに再建させるには震災前より大きい防潮堤整備と非難道路の整備を行うことで、自然環境を温存しつつ町内再建者を増やし、人口流出を抑制するという考え方によるものです。ですが、当時、反対派は安倍首相夫人が城山体育館に来訪されて際に、「安倍首相夫人も疑念があると発言した」と政治利用をしたのです。上手に利用されたわけですね。
 それにより大槌町の復興計画は狂いこの6年で住民の流出はとどまるところを知らず、復興後の予測でも人口は半減する方向へ反対派によって誘導されていったのです。嵩上げの選択が復興を遅らせることは当初から分かっていたことで、これを後押ししたのが、メディアによる報道でした。
 明治・昭和の津波の際の高台移転の事例や津波石などを取り上げ、住民を誘導して言ったのです。それをさらに利用したのが東京のNPOによる「桜植樹」「鎮守の森」等の植樹募金ビジネスです。浸水地域という穢れた土地という設定の下に、復興計画が住民の意思から乖離して行き復興はどんどんずれ込んでいくようになりました。
 
 大槌町の復興の遅れと住民離散が様々な政治利用による要因であると同じように、釜石市の復興の遅れの最大の原因は「ラグビーワールドカップ」です。「被災地(被災者)に寄り添う」「元気付ける」と言いますが、まったく違います。日本ラグビー協会大学ラグビー関係者ならびに盛岡市民のせいで、釜石市鵜住居地区の復興は2年から3年延ばされてしまいました。ラグビー場建設により、本来設置しない下水道処理施設建設によりどんどん遅れていってます。そのため住民はあきらめ感で覆われており、URや下水道公団、釜石市は調整機能不全に陥っており、ラグビー協会の圧力によって、事業そのものも遅々として進まないため、終わった後は、住宅など建たず原野の状態になるしかありません。それと言うのも、民進党系の市長により、下水道利用料は350円以上を徴収するという方針を伝えられ、被災しなかった地域の下水道利用料は100円程度で維持し、ラグビー場建設に伴う下水道処理処理場の建設費を被災した地元住民のみに負担させるというからです。嵩上げによる土地の固定資産税ももの凄く上がり、住宅の固定資産税も爆上げ、ラグビーの負担も負えと言う民進党共産党自由党と県知事の意向というのは恐ろしいものだと改めて感じたしだいです。グループ補助金の際も自由党の大先生のポスターが貼っているご利益からか、外国人研修生の多い企業への「忖度」というのは、あるものだなあと感じましたが、自分たちへの支持が低いと思われる地域へのやりようは本当に怖い。

 住民からの要望があった防潮堤は、いまだに完成の目途が立たない。理由は、受注したゼネコンが下請作業員も含め殆どを五輪対応に持っていったため、作業員宿舎には人が居ません。五輪とラグビーワールドカップは、実態としては復興を遅らせているのです。北関東・奈良県南部の大水害、鳥取・熊本の地震の被災地も含め東京の人達が都合良く「被災者の気持ちが分からないのか」と代弁する団体等がありますが、そいう都合の良い「忖度」をこの6年散々見せられ、利用されたんですよ。

 東京では終わったと思っている方も多いそうですが、それは首都圏の再開発にリソースが割かれているからということを理解してもらいたいです。被災地がサボっているというのは勘違いですのでやめて貰いたいです。

 今年は復興公営住宅も殆どが建設されますがそれでも入居率は悪いですし、建設予定で造成した土地も再建を断念したりで、空き地が目立っていますし、様々な要因で遅れたため、土地の取得のためだけに仮設に残っていると思われます。
 みなし仮設に居る方達も含め医療費無料化が続いています。民進党共産党によるものではありますが、これは事実上の県立病院対策でもありますが、それにより被災者は生活保護相当の扱いを継続していると言うことでもあります。生活保護と違い所得の把握をしないため、貯金が随分たまったと言う声もあるようです。そのため被災地の住民からもあまりよく思われていないです。これが住民対立へと向かうことになるんでしょう。
 県立病院以外の民間病院も恩恵は受けていますが、昨年から患者数が減ったということなので、転換点に来たのかと感じる出来事です。
 生活保護相当の扱いを受けた方達が、そのまま生活保護へ向かうのか、その際の所得管理等の把握のためマイナンバーが機能するかどうかということも含めいろいろと転換する動きを感じる6年と約1ヶ月です。