リフレ派大好き「歳入庁」

 リフレ派は「財務省を解体して歳入庁を創る」という話をしますが、歳入庁で現行の徴収漏れを無くすんだそうです。それはリフレ派が主張する「可処分所得ガー」という、消費税増税社会保険料増によって、可処分所得が減り民間需要が落ちると言うものです。
 歳入庁によって徴収される行為そのものは、リフレ派の主張する「可処分所得ガー」と変わらないものです。片方では「税収が落ち込む」と言い、「片方では税収が増える」と言います。自分が対象に成らないものは増えるというだけの半径2m感覚でしかありません。
 歳入庁は「国税庁+社会保険業務」だけではないからです。米国の内国歳入庁の事例を見てみましょう。

個人請負労働者の誤分類を正して雇用労働者に戻す試み―連邦労働省と住宅都市開発省の提携ほか

個人請負に向かう流れを食い止める

連邦労働省は従来から個人請負労働を問題視してきた。残業代や労働時間といった厚生労働基準法による規制や、年金、健康保険などの社会保障負担を逃れるために、事業主が雇用している労働者の区分を個人請負に切り替えることが横行しているからだ。労働者の労働条件だけでなく、税収の低下や国の社会保障負担の増加にもつながりかねない。

連邦労働省は、実質的には雇用労働者と変わらないにもかかわらず、個人請負状態にあることを「誤分類(Miss-Classification)」として、連邦税の徴収を行う内国歳入庁(IRS)と連携するなどして、取り締まってきた。

 内国歳入庁は、単なる徴税機能限定の存在ではありません。このように労働者保護を通じた活動にも関わる部門です。

建設産業では、日雇い労働者や機械工を中心とした「誤分類」の増加が深刻化している。連邦政府が行う建設事業に従事する労働者の労働条件は、ニューディール政策期につくられたデービス・ベーコン法により、地域における一般的な労働者の水準を上回らなければならない。この規制を回避して、人件費コストを低減するために、「誤分類」を利用する企業が増えているのだ。

デービス・ベーコン法は、本来は労働者と使用者に委ねられる労働条件交渉に政府が介入するものであるため、労働者が使用者に直接に訴えかけることが認められていない。そのため、「誤分類」を解消するためには、政府が乗り出さざるを得ない。

 日本の消費税でも共産党の「輸出戻し税ガー」や「労務費を外注費にすれば、消費税を逃れる」のような馬鹿な組織ではありません。共産党の反対する消費税の税逃れに対する対応は、労働者保護とも密接に関係しているのです。単純に反対をするのは、日本国内の国税庁厚労省が連携する機会を奪う行為と同じなわけです。

「誤分類」による賃金未払いのケース

8月18日、ルイジアナ州左官業ブラウンロウ・プラスタリング株式会社は、147人の労働者の未払い残業代36万5000ドルの支払いに合意した。

同社は、多くの個人請負労働者や下請け企業を利用して事業を展開している。これら個人請負や下請け企業をみつけだし、契約関係を構築する業務は、レーバー・ブローカーと呼ぶ仲介者に委託していた。

このブローカーが請負なのか、雇用なのかを連邦労働省賃金時間局が問題視し、捜査の結果、請負労働者を「誤分類」と認定した。週40時間を超える部分が残業代の対象になったが、それは、ブローカーの報酬が時間当たりの固定単価で支払われていたからだった。

 リフレ派や共産党の「消費税増税ガー」という批判と「歳入庁」ということがまったく現実の組織を理解していないということです。ただし、日本の場合は、暗黒卿の「歳入庁18兆円」となるため、消費税5%増税の13.5兆円よりも多い、大増税に成ります。 

 連邦労働省は「誤分類」の解消による労働者の権利擁護と企業に対する法令順守を最優先順位においており、行政横断的なパートナーシップの構築や、不正をはたらく企業に対する取り締まりを強化している。

 リフレ派は「リフレ政策は左派の政策」と主張しますが、単なる徴税強化としての「歳入庁」でしかなく、他の政府機関との連携を行うのです。「闇の権力」とはほど遠りものです。



労働者の約半数が時給15ドル以下―民間シンクタンク報告

5830万人が時給15ドル以下

貧困問題解消を目的とする国際共同NPOオックスファムアメリカとリベラル系シンクタンク、経済政策研究所は、アメリカの労働者の多くが低賃金、有給の病気休暇の不備、残業代未払いの状態にあるとする報告書を発表した。

2015年の労働者の43.7%、5830万人が時給15ドル以下で働いているだけでなく、4170万人が時給12ドル以下、年収にして2万5000ドル以下の状態にあるとする。この金額は連邦政府が提示する4人世帯の貧困ラインをわずかに上回るにすぎない。

低賃金労働者とその家族は何らかの生活保護を受けていることが多いが、もし連邦最低賃金を現行の7.25ドルから12ドルに引き上げれば、こうした生活保護に費やす連邦予算を170億ドル削減できるとしている。

 時給1500円の最低賃金運動の本質は「連邦予算削減をするためには民間企業が負担するべき」ということになります。日本でも共産党系がやっていますが、本質は一緒です。
 

5100万人が有給の病気休暇なし

公共部門で雇用される労働者の86%に有給の病気休暇がある一方で、民間企業で雇用される労働者の46%に有給の病気休暇がない。

有給病気休暇を義務付けている州は全米で5つに留まっており、5100万人以上の労働者に有給の病気休暇がない。その内訳をみると、賃金の高低により差が現れる。低賃金労働者の80.6%が有給の病気休暇をもたないのに対して、比較的に賃金の高い労働者では21.4%に留まっている。

また、無給の病気もしくは看護休暇を低賃賃金労働者が取得した場合、七人に一人が職を失う事態に直面している。これに対し、たとえばインフルエンザに疾患した状態で勤務し、同僚や顧客に感染が広がることで大きな経済損失を招いており、その額が年間1600億ドルにのぼっているとし、有給の病気休暇に関する法制化の必要性を指摘している。

 日本でも有給休暇の取得拡大を言われますが、米国のジョブ型雇用では「有給の病気休暇は無い」ということです。日本でもインフルエンザへ感染した場合の有休取得を奨励していますが、米国の雇用現場は日本以上に劣悪なのが現実なようです。傷病手当金の様な保証もないということですね。社会保険料増を批判されますが、何でも米国的になれば良いと言うものではないことがわかります。

残業代支給対象拡大のための政策を指示

報告書は、低賃金労働者の状況を改善するために、残業代支給の重要性についてもとりあげている。ギャラップ社が2014年に報告した調査結果をあげ、労働者の労働時間が平均週47時間であり、そのうちの約4割が週50時間以上働いているとする。この数字は、公正労働基準法(FLSA)が定める残業代支給対象となる週40時間を超えている。しかし、その多くが公正労働基準法の行政規則が定めるホワイトカラー・イグザンプションにより、残業代支給対象から除外されている。

残業代支給対象者を拡大し、低賃金にとどまる労働者の賃金を増やすため、連邦労働省は2016年12月にFLSAの行政規則改正を計画している。いまだ多くの大企業や共和党が改正の見直しや延期を求めているなか、報告書はすみやかない改正の実施を訴えている。

 米国歳入庁の活動は、残業代支給対象労働者を拡大し、歳入をも拡大する。政府支出を削減するためには民間支出を拡大させる政策であり、そのための役割をもつということですね。


外国人の流入拡大に抑制策、一部で労働力不足への影響も

4.現在、最低賃金制度を歳入関税庁、労働者派遣事業をビジネス・イノベーション・技能省のそれぞれ担当部門が監督しているが、ギャングマスター制度の監督機関(Gangmasters Lisencing Authority)の権限拡充によりこれらの機能の統合をはかる方針とみられる

 リフレ派の尊敬する英国リフレの「歳入関税庁」は最低賃金制度を監督しています。
 リフレ派は「雇用は日本人だけのものではない」と、移民政策を進める立場であります。ですが、外国人労働者流入抑制のために「歳入関税庁」は一部機能を持っているようです。リフレ派が徴税機能の強化しか見ずに、他の機能はまったく考えていないことが良く分る事例です。ただ、英国リフレは飯田泰之が大好きな「課税ベース拡大(増税)」の実施も行った国です。増税すると永久に不況になるという話でありますが、飯田泰之は「増税」を求めている人ですが、また、地方に対しては緊縮財政の切捨て論者でもあります。教え子は緊縮財政の思考の型を詰め込まれ社会に旅立っていると思うと胸が熱くなります。


在宅介護労働者、最低賃金違反で雇用主を提訴

訪問先間の移動は労働時間

介護業は、国内でも代表的な低賃金業種の一つで、これまでも最低賃金制度違反の横行が指摘されてきた。監督機関である歳入関税庁(HMRC)が国内の主要介護事業者を対象に実施した調査では、対象となった事業者(注1)の約半数が最低賃金違反を行っていたとされる。また、シンクタンクのResolution Foundationは、介護労働者の1割強(16万人)がこうした違反の対象となっており、未払い賃金の総額は1億3000万ポンド(1人当たり815ポンド)にものぼるとみている(注2)。

 英国リフレを支える歳入関税庁は、リフレ派の「おちんぎん(低賃金)を上げたら民間投資がクラウディングアウト」に真っ向から立ち向かう立場です。
 リフレ派の考える「徴税強化」部門というより、財務省厚生労働省の全ての部門が合体した強大な組織です。行政コストが減るとかという馬鹿な考えなどおきようがない組織と言う事ですね。


配偶者控除より「歳入庁」を

結局、女性活躍とは名ばかりに「パート減税の拡大」で幕引きだろう。「もっと働き、もっと税金や保険料を納めろ」というだけだ。それなら国税庁日本年金機構を統合し歳入庁をつくる方がよほど効果がある。権益を失う財務省は猛反対だろうが。 (久原穏)

 素晴らしいほどのネオリベ感覚を炸裂する東京新聞の論説です。つまり「歳入庁」は、納税をしていない人達、負担が十分ではないと人達限定で徴税強化する組織としか見ていないと言う事です。指摘するような「国税庁日本年金機構を統合」では、所得税及び住民税の増税になり暗黒卿の主張する「歳入庁18兆円」になります。「社会保険料の経費否認」は最大の増税になるからです。権益を失うのは国民ですよ。厚労省所管であるからこそ、「経費」として認めさせているのに、それが無くなってしまうわけですから、ネオリベ新聞は怖いです。

 日本のネオリベが求める構造改革は米英の歳入庁とは似て非なるものです。自分達が気に入らない者達からの徴税を強化して、シバキたいだけなんです。」