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<衆院選>被災地に影 アベノミクスのしわ寄せ | 河北新報オンラインニュース

急激に進んだ円安が、東日本大震災の被災者が目指す住宅再建に悪影響を及ぼしつつある。復興需要を背景にした輸入資材価格の上昇に拍車を掛け、建物の建設費にも跳ね返りかねないからだ。12月2日公示の衆院選では、安倍政権の経済政策「アベノミクス」が争点の一つとなる。為替変動を招く大きな要因となった政策に、被災地からは恨み節が漏れている。

◎輸入資材高騰で悲鳴
<上昇率40%超>
 高騰する資材の一つが型枠合板だ。住宅の土台造りに欠かせないものの、多くを東南アジア産の輸入品に頼る。為替相場の影響は大きい。
 大手建材商社によると、震災復旧と消費税増税前の駆け込み需要もあり、取引価格は震災前より40%超上がっているという。最近の円安で値上がり傾向がさらに強まる可能性がある。
 商社の担当者は「すでに過去20年ないほどの高水準。震災復旧が進み、消費税増税前の駆け込み需要が終われば落ち着くと思っていたのに…」と嘆く。

<木材・ガラスも>
 輸入品が多用されるのは合板にとどまらない。仙台市内に拠点を置く大手住宅メーカーは「木材、ガラスなどあらゆる納入業者から値上げを要求されている」と悲鳴を上げる。このメーカーは、震災後も住宅価格をほぼ据え置いていることもあり、採算割れが時間の問題という。担当者は「値上げは極力避けたいのだが、もはや利益が上がらない」とぼやく。

 2012年12月に安倍政権が誕生して以降、1ドル=80円程度だった為替水準は一気に反転し、円安基調が定着した。10月末には政府と歩調を合わせた日銀が追加金融緩和に踏み切り、円安が一気に加速。最近は一時119円に迫る水準にまで下落している。
 円安は、自動車など輸出産業の国際競争力を増強するとされるが、被災地に恩恵は乏しい。

<復興軽視嘆く>
 「時間がたてばたつほど物価が上がる。なぜ被災者の負担が増す政策が続くのか」。宮城県七ケ浜町の移転住民らでつくる笹山まちづくり協議会の伊藤政治会長は、憤りを隠さない。
 土地造成の遅れもあり、沿岸部ではこれから宅地建設が本格化する地域も少なくない。20年の東京五輪に伴う建築ラッシュが始まれば、資材や人件費の一層の上昇も予想される。

 被災地の懸念をよそに、師走決戦に向けて走りだした衆院選。「まるで被災地の苦しみを忘れてしまったようだ。政治家は当てにならない」。伊藤会長は、復興を軽視するかのような政治決戦を嘆いた。

2014年11月24日月曜日

 輸入建材を含めた価格上昇については散々言っておりましたし、円安のメリット・デメリットを双方を論じながら被災地復興を進めざるを得ないのが現状です。
 ただ、被災者に対する住宅再建へは様々な助成金があり、顧客要求事項との整合性を突き合わせながら住宅建設をするしかあません。被災地以外でも住宅への助成金があるのを施主と設計・施工業者が確認し合いながら行うのが大事です。

 すまい給付金は、「消費税増税延期でいまが住宅取得のベストタイミング」 などで取上げられていますが、平成26年度地域型住宅ブランド化事業はあまり取り上げられていないようです。

 本事業は、地域材等資材供給から設計・施工に至るまでの関連事業者が緊密な連携体制を構築し、地域資源を活用して地域の気候・風土にあった良質で特徴的な 「地域型住宅」の供給に取り組むことを支援し、地域における木造住宅生産・維持管理体制の強化を図り、地域経済の活性化及び持続的発展、地域の住文化の継 承及び街並みの整備、木材自給率の向上による森林・林業の再生等に寄与することを目的としています。

 このため、本事業では、中小住宅生産者等が他の中小住宅生産者や木材供給、建材流通等の関連事業者とともに構築したグループを公募し、グループ毎に定めら れた共通ルール等の取り組みが良好なものを国土交通省が採択し、採択されたグループに所属する中小住宅生産者等が当該共通ルール等に基づき木造の長期優良 住宅の建設を行う場合、その費用の一部を予算の範囲内において補助します。

 内容は経産省のグループ補助金での採択事業者の内容にも合致するものとなっており、被災地以外での住宅への補助金が行われます。採択事業者を選択し、住宅を発注することも選択肢の一つです。ただしグループで個数制約があり、被災地は10戸、それ以外は5戸になっております。
 今後の他地域での震災時のグループ形成及び復興住宅(仮設・本設)への対応にもなります。
 ただ、岩手県宮城県の対応は真逆となっております。
 宮城県は県・市町村が地域経済並びに連携を重視するのと違い、岩手県は徹底した市場原理主義となっています。岩手県は知事以下職員も含め新自由主義+徹底した市場原理主義に基づく復興であるのと比べるとその差は歴然としています。

4.補助金の額
本事業による補助金の額は、地域材を活用した対象住宅の建設工事費の1割以内の額で、かつ対象住宅1戸当たり100万円を上限とします。(※平成24年度に実施していた、柱・梁・桁・土台の過半において、「地域材」を使用する場合の補助の上限加算分20万円について、林野庁の木材利用ポイント事業実施中は休止します。)

建設業の月額平均給与、4〜9月に2・0%増/賞与増加、基本給も伸び/厚労省20141127建設工業

 建設業で支払われた月額平均給与が、全産業平均の伸び率を超えて増え続けている。厚生労働省が公表した14年度上半期(4〜9月)の毎月勤労統計調査から日刊建設工業新聞が集計したところ、全産業の現金給与額の平均が前年同期比1・1%増の31万5396円だったのに対し、建設業は2・0%増の37万5601円だった。賞与(ボーナス)に当たる「特別に支払われた給与」が増えたのが主因。基本給などの部分も上昇している。

 調査は5人以上が働く事業所を対象に、賃金などを業種別に毎月調べている。建設業の月額給与は、13年4〜9月の平均額、13年度の平均額ともに前年と比べ1・7%増で、給与額、伸び率ともに全産業平均を上回っていた。今回の集計結果から、増加傾向が続いていることに加え、伸び率がこれまでより拡大していることも分かった。

背景には、建設需要の増加を受けて企業業績が回復していることや、労働需給のひっ迫で企業が技術者や技能者の処遇改善に取り組んでいることがある。国が昨年度、公共工事設計労務単価を2度にわたって引き上げ、技能労働者の賃上げ機運が醸成された結果ともみられる。

 金額ベースでは、前年同期と比べ7210円増えた。大半が夏季賞与など「特別に支払われた給与」の増加分だった。厚労省が今月5日に発表した14年の夏季賞与額は建設業で39万3283円。前年と比べ10・0%増え、7年ぶりに2桁の伸び率を記録していた。基本給や家族手当、時間外手当など「決まって支給する給与」は0・7%の増加。全産業平均は0・4%増だった。月額給与総額の伸び率より小さいが、これまで横ばいが続いていた「決まって支給する給与」が上昇したことが本年度上期の特徴といえる。

 一時的な給与で業績によって変動しやすい賞与よりも基本給や各種手当が着実に上がっていく方が、建設業の担い手確保には望ましいと国土交通省もみている。

 建設業の給与額の伸び率の推移を月別に見ると、4月が0・9%増(全産業は0・7%増)、5月が0・3%減(0・6%増)、6月が3・6%増(1・0%増)、7月が7・0%増(2・4%増)、8月が0・4%減(0・9%増)、9月が0・9%減(0・7%増)。8、9月の伸び率がマイナスだったのは特別給与が減少しているためで、夏季賞与の支給時期を6、7月に繰り上げたことなどが要因とみられる。月別の「決まって支給する給与」は今年3月以前は前年同月比でマイナスの月も多かったが、4月以降は6カ月連続でプラスとなっている。特に6月は1・7%増と大きな伸びを記録した。

 建設業は公的資本形成(公共工事)だけをしているわけではなく、民間建設投資も担っており、公共工事による雇用改善は民間投資を円滑に行うため、また若年労働者を確保するためには必要なことです。リフレ派の「土建供給制約ガー」と連呼しては民間建設投資が円滑に進むための労働環境整備を蔑ろにしかねない悪辣極まるものでした。
 「決まって支給する給与」が上昇することは、官民建設設備投資を円滑にするためには必須な要素です。これもアベノミクス第二の矢(機動的財政政策)の恩恵と言って良いでしょう。賃金から雇用環境並びに経営環境の変化を与える欧米の左派的政策です。日本のリベラルな方達には不快ではあるでしょうがこれが現実ですね。財政政策が効いているのです。

衆院選、12月2日公示/公共事業、安定投資か脱ばらまきか/各党スタンスに違い20141201建設工業

2日公示14日投開票の衆院選に向けた各党の公約が出そろった。2年前の衆院選を経て誕生した安倍政権が展開してきた経済政策「アベノミクス」の成果が問われる今回の選挙だが、建設業界の視点で見ると、公共事業をめぐる各党のスタンスの違いが浮き彫りになっている。防災・減災も視野に安定的な投資で成長につなげたい自民、公明両党に対し、民主党や維新の党などは、デフレ脱却に向けた財政出動を「ばらまき」と表現し、公共事業の見直しを訴える。13年の臨時国会で成立した国土強靱(きょうじん)化基本法自民、公明両党は、同法を踏まえて事前防災や減災、老朽化したインフラの改修などを含めた安定的な公共投資の実施を主張している。自民の公約では、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用による建設産業の担い手確保・育成にも言及した。一方、民主は「予算を消化できないようなばらまき公共事業は見直し」と主張。入札不調の発生にも触れ、「人材・資材の不足・高騰への対応に万全を期す」とした。

 維新は「公共事業バラマキ一辺倒はもう限界。公共事業の未消化16兆円」などとして安倍政権で行っている財政出動を批判。社民党は財源確保に向けて「不要不急の大規模公共事業の中止」を訴え、共産党は「大型公共事業など歳出の浪費にメスを入れる」との姿勢で選挙戦に臨む。生活の党は、地方にとって必要な次世代のための公共投資について「持続的かつ適正規模で実施」と掲げた。
 次世代の党は、大規模投資の財源について、米連邦準備制度理事会FRB)の政策手法を応用し、政府保証を付けた200兆円規模の基金を日銀に設置することを提案。これをメガフロート上の洋上風力発電などによる水素エネルギーシステムの構築などに使っていくとした。

 各党の公約で表現は違っても共通するのは、東日本大震災の復興を重視している点。
 
 中でも民主、社民両党は、現在の集中復興期間(11〜15年度)の延長にも踏み込んでいる。自民は特例措置の延長の可否を精査するとし、公明は集中期間以降を見据えた財源確保に努めるとした。成長戦略の視点で見た建設プロジェクトでは、自民と維新が東京〜名古屋間で建設事業がスタートしたリニア中央新幹線について、大阪までの早期開業・同時開業を訴えた。次世代は、日銀に設置する基金を使い、青森から本州・四国を経由して鹿児島まで続くネットワークを整備するとしている。
 このほか、民主は「社会資本再生法」を制定し、防災・減災、維持管理・更新の視点で公共事業の選択と集中を進める考えを表明。共産は、国や自治体の発注事業で賃金や労働条件の基準を定める公契約法・条例の制定促進を訴えている。

 自民・公明・民主・生活以外は「小さな政府」を推進する新自由主義路線を主張。
 自民・公明は「大きな政府」路線のようで、大都市部と周辺部の利害調整という先進国の課題が浮き彫りにしながら、調整をどのようにとるか難しい流れは変わっていません。民主は大都市再開発重視、生活は地方の再開発重視という感じでした。
 選挙は老舗の「小さな政府」を党方針とする「共産党」が躍進し、維新が維持したのは、大都市部(県庁所在地)での新自由主義的平等による「小さな政府」に対する支持がまったく衰えていないことに恐怖いたしました。アベノミクス批判は「大きな政府」への警戒ですから、国土強靭化による国民の生命財産を守る事への批判が続きます。
 平時の経済成長と非常時の国防とを同時かつ両立させる官民投資になるのですから、アベノミクスにおける第二の矢が折れないよう頑張ってもらいたいものです。

工高生の就職先/教員・保護者へPR重要/休日、勤務時間も決め手20141217建設通信

 建設産業界に将来の担い手を呼び込む上で、教職員や保護者に業界を理解してもらうためのアプローチが欠かせないことが、工業高校生を対象とした国土交通省のアンケート結果から改めて浮き彫りになった。中学生のときに建設業に興味を持ったとの声が多く、その段階でのPRの重要性も明らかになった。仕事のやりがいや達成感、安定のほか、休日日数や勤務時間も工高生の就職先選びの決め手になっている

 工高生の建設業に対する意識調査は、夏休み期間中に富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で安全衛生教育などの訓練を受けた1−3年生を対象に実施した。調査期間は7月21日から8月29日で、千葉、群馬、東京、神奈川、山梨、静岡、愛知、三重の8都県の工高生312人から回答を得た。

 国交省が直接、工高生の生の声をアンケート形式で集めるのは初めて。教員に対するPRの必要性などは、これまでも言われてきたが数字として見える形で表れた格好だ。
 夏休みを利用して富士教育訓練センターにくるという、そもそもの意識の高さもあるが、卒業後に建設業に就職したいとの回答が約7割を占めた。その理由としては「やりがいのある仕事だから」「地域社会の役に立ちたい」がほとんど。工業高校に進学した目的も「建設業の仕事をしたかった」が最も多かった。

 建設業に対するイメージを聞いたところ、「ものづくりの喜びや達成感を味わえる」と「建設物等を通じて人の役に立てる」がほぼ同率で首位。「現場は危険が多い」という回答が次に多かったが、土木や建築を学ぶ工高生にとって、建設業は比較的良い印象を持っていることがうかがえる。

 興味がある職種は、1位が総合建設業(施工管理)で、2位は大工、3位は設計だった。専門工事業は総じて低い結果となったが、大工は特別人気が高い。よく見ている建設業関係のテレビ番組の断トツのトップが、さまざまな問題を抱えた住宅を“匠(たくみ)”がリフォームする「大改造!!劇的ビフォーアフター」であったことなど、日ごろから目に触れる機会が多いことも関係していそうだ。

 建設業に興味を持ったタイミングは、中学生が最も多く、高校入学後を上回った。具体的に就職を意識する前の、より若い世代へのアプローチも重要と言える。
 就職先を決める理由や仕事に求める内容は、「やりがいや達成感」がトップで、次いで「安定した企業で働く」「知識・技術を生かせる」の順。収入面がその次に高い関心事だが、それと同じくらい休日日数に対する関心も高かった。

 将来を考える上で参考にしている情報源は、教職員が圧倒的多数で、保護者の意見も重要視されている。国交省では建設業団体とも協力しながら、学生にインパクトを与える教職員・保護者へのPR方策などを検討していく考え。

 建設業に関する知りたい情報の1位は「必要な資格・技能」。1日のスケジュールや働く人々の姿、生の声など、実態把握に役立つ情報へのニーズも高かった。

 国交省も初めてのアンケートということで、興味深い内容でした。
 「土建供給制約ガー」の「人材不足」ですが、若年層が就業への抵抗感が無いなかで、雇用環境整備が大事ということがわかります。ただ、これが「工業高校」のどういう「科」であるかも知りたいところです。また、資格取得に関する取組もその後に求められる職との関係を学びつつ社会に出てもらいたいものです。

濱口桂一郎「「能力評価」と「能力主義」のアイロニー

ここで改めて考えてみたいのは、なぜ現在の日本では「産業界が求める職業能力」と「各人が有する職業能力」が「客観的に比較可能」になっていないか、ということです。それは外部労働市場が未発達で、労働市場が企業別に分断されているからだ、と簡単な答えがすぐに返ってくるでしょうが、労働市場が企業ごとに分断されていることと、その内部労働市場の中で、各企業が社員の職業能力を客観的に測定し、表示することができないこととは別です。企業ごとではあっても既に職業能力の測定・表示システムが存在するのであれば、必要なことはそれらの間を通訳することになります。ちょうど、今EUで各国の職業資格制度を相互に比較可能にするためのEVQ(欧州職業資格制度)を作っているように、です。

 それが全然できないというのは、企業内においてすら、ある社員が具体的にどういう職務についてどういうレベルのスキルを有しているかがわからない、あるいは少なくとも社内的に明確に表示されるような仕組みが存在していないからではないでしょうか。はっきり言えば、企業は社員の「能力」が分からない状態のまま働いてもらっているのではないか、ということです。とすれば、この問題は単なる通訳問題ではなく、今現在存在しない能力評価システムを更地に作るという難題だということになります。

 現在、厚労省が認定する資格の情報について、一元管理されているものはありません。東日本大震災において資格の復旧作業でどの講習所・ゼネコン等で受けていたかなど照会不能なものもありました。hamachan先生の言うEVQ(欧州職業資格制度)は、マネジメントシステムにおける「3.1.6力量」「3.8.1客観的証拠」「6.2.2力量、教育・訓練及び認識」と今では大部分の企業では認識されるところですが、職と資格の結びつきが弱いのは仕事を教える際の「見て覚えろ」による日本的職業教育の弊害とも関係しますが、少しづつではありますが改善していくことでしょう。hamachan先生の「日本の雇用と中高年 (ちくま新書)」は読んではいるんですが、一緒に読んだ本が悪かった。
 書くと一緒に感想を書かねばならず、また、あの本を見るのかと思うとうんざりする。
 
 前に戻って、関東・東海の工業高校について立地条件やその後の就労地へ希望がどのようになっているかまでわかると良かったです。建設業の問題は、デフレ不況での条件付き一般競争入札制度での「資格+実績要件」で排除の論理を徹底させたことは以前書きました。同時進行でおきたのは、工業高校をはじめとする統廃合によって、ダイバーシティ(多様性)を喪失したことによる影響が出ているのです。
 社会においてダイバーシティ(多様性)を喧伝するコンサル等も多いですが、労働供給のダイバーシティ(多様性)は見る影もなく細っていました。高校の統廃合で学科の統廃合により中学生でのジョブ体験から就労を選択するルートである学科の喪失が労働供給を狭めてしまった影響がいまここで出てしまったのです。

 被災地では沿岸部にあった土木建築学科は消滅し内陸部の県庁所在地や県内第二・第三都市に集約されました。そのためジョブ体験とその後の選択肢は極めて細くなり、就職先が生徒の実家の範囲に限定されることになります。限定正社員もそうですが、自身の選択によりその就労を制約するように高校統廃合が影響を与えたのです。
 合同就職説明会や大学等へ求職しても選択されることはありません。学校の統廃合と学科の統廃合が職業選択を制限したとも言える状況です。
 ある一定の優秀な生徒は大学進学を選択して工学部系へ進学しますから、地元へ就職する選択肢から大都市部や県庁所在地の就職先を選択することになるため、労働供給バランスの偏在は今後の建設業者の統廃合も含めた総合的な問題でリフレ派の「土建供給制約ガー」の短絡的考察ではなく、中長期的な教育・労働問題であり、他の業種も同様の問題に直面しているということです。リフレ派の得意とする金融政策では解決しえない問題です。

 国では一部そのような状況が生じていることを認識し、大学全入を推進してきたことから、グローバル人材を生み出す大学(G型大学)とその他のローカル大学(L型大学)へ向かうことへ変更せざるを得ないのは、小中一貫校から始まる統廃合の最終的ツケの清算をこのような形でしかとり得ないということなのだと思います。


 アベノミクスにおける女性活用はその労働供給の偏在の是正と捉えることもできます。また、リベラルな方達が言う「働かない女性」への圧力を助長する一面もあるのも事実です。建設業では「女性技術者」を拡大するとこととしておりますが、先に述べたとおり、その供給機関は大学であり彼女らにその職を提供できるのはメンバーシップ型雇用のゼネコン・コンサルに限定されることになります。そのための是正として地方創生による逆流が必要になるのですが、困難な仕事です。

 「土建供給制約ガー」はアベノミクスの賃金改善・労働供給・教育を含めた改革を否定する話なのですが、リフレ派は何をしたいのかさっぱりわかりません。