僕と現実とリフレの楽園――と、

市街地再開発−建築費高騰で事業に支障/契約変更・計画見直しや着工延期/協会20141110建設工業

 人件費や資材の値上がりによる建築工事費の高騰が、全国で進む多くの市街地再開発事業に影響を及ぼしている実態が全国市街地再開発協会の調査で明らかになった。着工済みの事業では、施工業者との間で契約変更が必要になったり、着工前の事業では計画の見直しや着工時期の先送りを余儀なくされたりするケースが相次いでいる。

 調査は、建築工事費の高騰が事業が進行中の市街地再開発(3月末時点で146地区)に及ぼしている影響を把握する目的で行った。再開発組合やゼネコン、デベロッパー、自治体など計393者を対象に5月中旬に調査票を送付。7月末までに58%の228者から回答を得た。調査結果は先月28日に開かれた自民党の都市再開発促進議員連盟の会合で報告された。

 調査結果によると、11年度以降に着工済みの79地区のうち、今年7月末までに14%の11地区で契約変更が行われ、52%の41地区で契約変更を交渉中だった。工事契約前の72地区では、78%の56地区が事業計画を見直し、6%の4地区が着工時期を先送りしたことが分かった。回答を寄せた228者のうち、組合は3者とゼネコンは14者、コンサルタントは28者、デベロッパーは12者。これらの回答内容を見ると、11年度以降の着工済み79地区のうち、8割以上で資材費と人件費が値上がりした。7割が人材の確保、6割弱が資材の確保に苦労していると答えた。同様に工事契約前の72地区でも9割以上で資材費と人件費が値上がりし、半数近くが人材や資材の確保に苦労していると回答した。

 自治体で回答を寄せたのは171団体。回答内容を見ると、大半の地区で事業の進行に支障があったことが判明。

 主な障害として、▽工事発注前の工事額変更▽工事契約後の工事額変更▽工事の入札不調▽工期の遅延−などが挙がった。調査結果について、再開発事業を担当するある行政機関の担当者は「特にゼネコンへの影響が大きいのではないか」と分析する。

再開発事業では事業費の大半を工事費が占める。工事を発注するのが民間の再開発組合や企業の場合、工事費の上昇で施工者側が契約変更を要請しても、公共発注機関と違ってなかなか応じてもらえないケースも少なくないからだ。

 国土交通省の建築着工統計を基に算出した床面積1平方メートル当たりの建築工事費は、直近の今年9月が平均約19・1万円。3年前の11年9月は約16・8万円で、この3年間で約14%値上がりした計算になる。東京都内のある自治体が、ゼネコンやデベロッパーに建築工事費の今後の推移について聞いたところ、さらに値上がりを続けると予測する回答が多かったという。

 リフレ派の「MF(マンデルフレミングガー)」、「土建供給制約ガー」、「クラウディング・アウト」や共産党を始めとして「政府支出(公的資本形成)はムダ。削減する。」ですが、「市街地再開発事業」民間資金を利用したリートを含めた不動産投資ビジネスが、金融政策による円安で資材高騰になっているのを、批判されないために騒いでいたのが真実です。また、民間の再開発組合・企業(民間資金)が公的セクターよりもインフレ対応ができていないってことが大ブレーキをかけていたため、リフレ派「おちんぎん上げて供給制約は解消されない」や「第三の矢(構造改革)による公共労務費単価の賃上げは『こみんてるんの陰謀』」となってしまったのです。

 リフレ派が言うマクロ経済学の転嫁の帰結を最も嫌ったのがリフレ派だったのです。民間投資におけるこのようなデフレ圧力を払しょくしてこそ物価が上昇するのですが、ここまで物価上昇を嫌い賃金上昇はキチガイ扱いされると、リフレ派の良心を始めとするリフレ派(経済学者)とは存在する理由があるんでしょうか。

経産省調査/輸入原材料、エネ価格上昇分/中小建設業の半数「転嫁できず」20141127建設通信

 経済産業省は、円安の進行による輸入物価上昇の影響などを調査した結果、原材料やエネルギー価格の上昇分を価格転嫁できていない中小・小規模建設企業が回答した建設業167社の46.7%とほぼ半数を占めることを明らかにした。価格上昇分を転嫁できているのは21.0%だった。今後も価格転嫁が困難としたのは38.5%で、価格転嫁できるとしたのは22.3%となっている。

 価格転嫁ができない理由を回答した建設業154社のうち、「価格転嫁すると売り上げが減少する」としたのが56.5%だった。「販売先が交渉に応じない」としたのも35.1%あった。

 同調査は、建設業216社(うち従業員20人以下の小規模建設企業156社)を含む中小・小規模企業1414社を対象に、全国の商工会議所などを通じて10月2−10日にアンケート形式で実施した。

 建設業で売上高が1年前(2013年10月)と比べ増加したのは回答213社のうち60.1%。25.0%は売上高が減ったと回答した。1年前と比べ経常利益が増加したのは47.9%。減少したと答えた企業も38.0%あった。

 経常利益が減少した理由は、回答した81社の63%が「原材料・エネルギーコストの変化」とした。「売上高の変化」は48.1%だった

 1年前と比べた足元の原材料コストの状況は、回答した建設業210社の42.4%が「10%以上増加した」と答えた。「コストが不変か減少している」としたのは11.4%だった。

 エネルギーコストについては、建設業209社のうち30.6%が「10%以上増加した」とし、「不変か減少している」とした建設企業が14.3%あった。

 エネルギーコスト増加対策として、省エネ関連などの取り組みを行っていない理由として、建設業81社のうち32.1%は「費用削減につながらないから」、29.6%が「資金が不足しているから」と回答していた。

 経産省はこうした中小・小規模企業の実態を踏まえ、政府系金融機関による中小向け資金繰り支援を検討するとともに、下請代金法に基づき、大企業への立ち入り検査を強化する方針だ。

 金融政策による円安効果は輸入資材価格とエネルギー価格を押し上げて建設業の「土建供給制約」を産み出しています。価格転嫁に応じない民間投資家・企業によって「適切な市場価格」を形成されないようにされていると言っていいでしょう。
 

一人親方労災特別加入が増加/40万人超、社保対策影響か/厚労省20141127建設通信

 建設業に従事する“一人親方”の労災保険への特別加入者数が年々増加している。厚生労働省がまとめた「中小事業主等特別加入状況」によると、2013年度末の建設業の一人親方の特別加入者数は40万6223人(速報値)で、前年度より2.3%増えた。国土交通省社会保険未加入対策の推進によって技能労働者の一人親方化が進んだためとの声がある一方で、いままで不明確だった技能労働者の位置付けの明確化が進んだとの見方もある。

 労災保険の特別加入制度は、「労働者を使用しないで、事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者、事業に従事する人」が加入できる。
 建設業のほか、林業や漁業、タクシー事業などの従事者が対象で、労災保険組合など一人親方で構成する団体を事業主として労災保険を適用する。

 厚労省がまとめている加入状況を、国交省社会保険未加入対策が始まる前後でみると、対策前の10年度の加入者は36万8046人。対策を開始した11年度は前年度比2.4%増の37万6795人だった。加入対策が本格的に動き始めた12年度は5.4%増の39万7199人で、増加率が上がり、13年度は40万人を超えた。10年度に比べて13年度では10.4%、約4万人増加したことになる。

 国交省が推進する社会保険未加入対策は、健康、年金、雇用の3保険が対象で、労災は対象となっていない。ただ、3保険の加入を進める過程で、労災保険にも加入する事業者が多いとみられる。

 こうした状況について、労働組合関係者からは「専門工事業者が技能労働者を一人親方化させている」との指摘が上がっている。専門工事業者が、社会保険に加入する過程で、社会保険加入労働者を減らして自社負担を軽減するために所属技能者を一人親方にしているという見方だ。国交省社会保険未加入対策を開始する当初からの懸念が現実になったという。

 一方で、重層下請構造をベースとした現行の建設生産システムのあり方に警鐘を鳴らしてきた蟹澤宏剛芝浦工大教授は「本来は、偽装請負一人親方を明確に区別すべきだ。(一人親方の増加は)おそらく、もともと社員ではなく、外注であることを明確にしただけだ」という見解を示している。仕事の内容が外注の形であり、個人事業主として請負契約を結ばなければならないにもかかわらず、社員として扱う「偽装請負」となっていた技能労働者が、社会保険の加入を進める過程で、正式に「一人親方」として認められた結果、労災保険を含む社会保険加入が進んでいるとの見立てだ。

 こうした雇用・従業形態の明確化が図られれば、社会保険の加入が進むだけでなく、将来的な技能労働者の雇用形態の適正化にもつながり、就業環境の適正化を進めやすくなるとみている。

 リフレ派が批判する「公共工事労務費単価」や「社会保障制度」への第三の矢(構造改革)は、連合等からも批判される「重層下請構造」に潜むジョブの明確化とその賃金体系の明確化を進めております。デフレにより本来受けるべき公的サービスから除外されていた方達の社会参加を促しながら、個人消費の拡大、将来の生活の安定、若年層の定着、結婚と子育てがし易い環境へと変化しつつあります。第二の矢と第三の矢の組み合わせ次第ではシバキにはならないのです。

 リフレ派の良心による公的資本形成(公共投資)による民間投資の抑制「クラウディング・アウト」や「土建供給制約(人手不足)」については、被災地においては真逆の話であったことは中々出ていないので不思議にしている処です。
 被災地での復興自由宅や被災者による住宅再建は官民合わせて取り組んでいる処です。進捗状況は資機材価格の上昇がありますが、特に資材がひっ迫している状況ではありませんでした。6月頃から民間住宅を手がける工務店一人親方の大工が仕事にありつけないというのが出始めました。被災地においては「住まい給付金」とは別個に「住まいの復興給付金」により消費税増税分に対して4割程度が戻るので消費税増税の影響は考えにくいですが、仕事がずれ込んだり、無くなったりと受注の偏在による悪影響があったと考えられます。民間投資の受注偏在により仕事を失った方達を緊急的に雇用したのは公共建築の現場です。民間投資が公共土木・建築によって抑制された事実は被災地にはありません。現実には民間投資のハウスメーカー等による過剰受注によって、労働者がはじき出されて人材不足がハウスメーカー等に起きたということです。
 リフレ派による被災地復興への中傷である「クラウディング・アウト」や「人材不足」は過剰な民間投資の偏在受注が原因であるのを脳内の楽園を癒やすには必要かもしれませんが、現実には迷惑このうえないことです。少しは自重して貰いたいものです。


リフレ派の「消費税増税永久消滅説」の楽園に一石を投じてみたい。

英国歳入関税庁の2013/14年度におけるVAT納付額に関する統計31-07-2014

英国英国歳入関税庁が公表した統計によると、現在VATは年間1,047億英ポンドを超える過去最高の税収をもたらしているとのことである。2011年に英国のVAT税率は17.5%から20%に引き上げられている。公表された数字によると、2013/14年度の税収は4,885億英ポンドとされている。上記のVAT税率の引き上げは緊急措置として導入されたものであるが、その利益が大きいことから恒久的措置になる可能性がある。

歳入が5.9%増と大幅な伸び−2014年度予算案(1)− (英国)

2014年4月16日 ロンドン事務所

 ジョージ・オズボーン財務相は3月19日、2014年度(2014年4月〜2015年3月)予算案を発表した。歳出・歳入ともに前年度比プラスで、歳入が歳出を上回る伸びを示す。また、予算責任局(OBR)は2014年の実質GDP成長率見通しを、加速する民間投資の拡大を理由に2.7%に上方修正した。

 VAT増税すると税収は増えているんですね。英国リフレは世界標準のマクロ経済学ですからね。どうなんでしょうね。
 もともと、下記の法人税減税と所得税減税とVAT増税の流れからですが。

緊急予算案を公表(英国)

2010年6月22日、オズボーン財務相は緊急予算案を公表し、財政赤字の削減、経済の立て直し、および経済成長へ向けた新たなモデルの構築を柱とした5ヶ年計画を打ち出した。

当緊急予算案に盛り込まれた主な税制改正案は次のとおりである。

法人税関連>
法人税
2011年4月1日より(大規模法人に対する)法人税率を28%から27%へ引き下げることが盛り込まれた。さらにそれ以降、毎年1%の引き下げにより2014年までに24%へと引き下げられることが提案されている。
なお、英国油田開発関係のリングフェンス所得は30%のまま据え置かれている。

<個人所得税関連>
基礎控除と基礎税率枠
2011年4月6日から65歳未満の納税者の基礎控除が1,000ポンド引き上げられ、7,475ポンドとなる。同時に基礎税率適用所得上限を引き下げることで、最高税率課税の納税者に対してはこの基礎控除増額の利益が享受されないよう調整される。2011年の4月以降、約10万ポンドを超える高額所得者に対して基礎控除を段階的に減額することが既に発表されているが、今回の措置によりこれら高額所得者にとってさらなる増税となるかは今のところ明らかにされていない。

英国社会保険料
2011年4月6日以降、最高税率適用所得の税枠と合わせる形で、社会保険料の個人負担分最高上限枠が引き下げられる。社会保険料の雇用主負担の適用最低額は現行より週21ポンド引き上げられる。先の予算案で2011/12課税年度以降の個人負担ならびに雇用主負担をそれぞれ1%ずつ引き上げることが発表されているが、それとあわせての改正となる。

社会福祉政策の見直しと関連手当て
政府の緊縮財政方針に伴い、社会福祉関連優遇手当ての縮小が発表された。2011年4月以降、ファミリー・タックスクレジットとして知られる手当ての支給に関し、1世帯当たりの年収4万ポンド以上の世帯については適用限定を行う予定である。同時にこれら手当てが低所得世帯に対して支給されるよう、2012/13年以降さらに改正を行うことを発表した。また、子どもを持つ世帯に対して支給されるチャイルド・ベネフィットは2011年4月以降3年間据え置きとなった。

<VAT関連>
VAT の標準税率が2011年1月4日から、17.5%から20%へと引き上げられる予定である。2011年1月4日以降に実施あるいは提供される物品またはサービスに対し17.5%の税率を適用する目的での取り決めが行われることを未然に防ぐための法令が2010年6月22日から導入される。ゼロ税率、VAT 免除、5%の軽減税率の適用対象に関する範囲規定に変更はない。

 世界標準のマクロ経済学にのっとりOECD諸国が楽園ではなく現実に対応しているのはこういうことです。

OECDによると税収は危機後から回復しているものの、税収構造では各国間で大きな違いが見られる

消費税トレンド

これまでOECDは、税収構造を、法人所得税や給与税といった偏りのある税から、より「成長フレンドリー」な税源である所得税法人税などに移行するよう提言してきました。OECD諸国にとって、VATこそが最も重要な税源であり、税源総額のおよそ20%を占めています。

「消費税トレンド2014年版」によると、OECD諸国では過去5年間でVATの増加が目立ち、2014年1月の段階でVATのOECD平均は19.1%という最も高い数字になりました(2009年には17.6%)。2009年から2014年の間では21カ国が少なくとも1回VAT増加に踏み切りました。OECD加盟国中21カ国がEU圏ですが、その平均VATはOECD平均を大きく上回り21.7%でした。

 VAT増加が広く見られる一方で、VATの税源を拡大させる措置を取った国はわずか数カ国でした。多くのOECD諸国では、社会保障的目的などから軽減税率を敷いています。しかしVAT税源を広げれば軽減税率なしでも税収増加につながり、さらには税率を下げることも可能となります。

【解説 法人税減税を考える(上)】わが国が勝ち残るための改革を−狭い枠組みにとらわれない議論が必要

ドイツや英国が、法人税率引き下げと付加価値税率引き上げを税制改革のパッケージとして断行してきた

 リフレ派が現実を見ずに楽園で何を夢見ているか知らないけれど、リフレ派(経済学者)が言う「日本がしていない世界標準のマクロ経済学」「財務省陰謀論」などどこにもありはしないのだ。