ラプラスの箱

 リフレ派は公共投資批判をする際に共産党を根拠に出す保守派としても非常に珍しい存在です。リフレ派上級論客「コミンテルン」やリフレ派(田中・原田・飯田)「クラウディング・アウト」もそうですが、公共投資が増えると破綻するという謎理論を語ります。バブル崩壊もまるで公共事業が原因のようです。リフレ派が推奨する共産党の緊縮財政に縋ることしかできないのは何故なんでしょう。

すがり@sugari3

『どうみる?日本の財政赤字(7) -赤字の原因は大型公共事業?(山家悠紀夫さんに聞く)』 http://amba.to/1qMxiin

――財政赤字が増えた本当の原因は何なのでしょうか?

 山家 日本の財政赤字が大きく拡大した原因のひとつは大型公共事業です。とりわけ、1990年代に続けられた大型公共事業費の膨張に問題がありました。

癒えぬ傷痕

リフレ派が、突出した公共事業への支出を出していたので、正直のけぞった。この表がどのような意図や使用をされた経緯すらも知らないのだろう。でもこれで「供給制約」に固執するしかなくなっているのが、情けなくもある。

 未だかって公共投資が民間投資を超えた事実はありません。また、公共投資だけが一方的に増えた事実もありません。リフレ派が根拠とする共産党の資料では、公共事業だけが拡大したことになっていますが、それ以上に民間建設投資が増えています。あくまで、民間建設投資の拡大に合わせて周辺のインフラ整備を行うために増えただけです。その後民間建設投資がバブルによって縮小するとともに、公共事業も縮小しています。

立ちはだかるもの

 「公共投資(支出)が増えると財政が破たんする」ならば、「牛丼福祉」はリフレ派・共産党の理想の社会モデルと言えるでしょう。また、「英国より大きい公共投資」という批判は、新自由主義(ネオ・リベラズム)手法の「PFI」を礼賛することであり、共産党新自由主義の一面を感じさせます。また、非効率な公共投資というについてもその根源は非効率な民間投資が伸びすぎたことに拠るためであり、批判すべきはバブルでなければ整合性がとれません。

リフレ派も共産党も「それが開かれる時には政府が滅びる」と言っているのは国民から選択肢を奪うだけにすぎません。


レジリエント・ガバナンス研究会最終報告書
東京大学政策ビジョン研究センター
産業競争力懇談会(COCN)

エグゼクティブサマリー

序.「 レジリエンス」強化に向けた我が国と世界の動向
1. グローバル・アジェンダとしてのレジリエンス

世界経済フォーラムOECDでのリスク関連調査や先進各国でのレジリエンスに関する政策はグローバルでの相互依存性などを意識した政策議論である。レジリエンスに代表される危機管理能力が企業や経済の競争力、ひいては国家競争力と認識されつつある。一方、我が国では自然災害を中心とした防災・減災対策として国土強靭化対策の第一歩が踏み出されたところである。

2. 国家としてのリスク・アセスメントの実施

国家のレジリエンス強化に向けた基本法(国土強靱化基本法)が整備され、脆弱性評価も進み始めた。しかし、先進各国で実施されている国家の危機管理施策にはなお学ぶべき点が多い。リスクの対象や評価手法、そのマネジメント手法と社会実装までの手続きと危機管理の国家戦略について、先進各国と比べ、日本には未だ改善の余地がある。

3. リスク認識が大きく異なる日本の官と民

日本政策投資銀行(DBJ)が実施した日本初の総合的なリスク・アセスメント調査で、様々なリスクに対する官民間の認識の差が明らかになった。国家運営に際し、総合俯瞰的な観点から政策の優先順位付け、リスク管理の責任分担、官民間のリスク・コミュニケーションを促進させるためにも、先進各国のようにオールハザードを対象とした国家のリスク・アセスメントを実施するべきである。

【OECD閣僚理事会:議長国・日本への期待】

レジリエンス強化への貢献

2014年の閣僚理事会のテーマは、「強くしなやかな経済と包摂的社会―雇用と成長に向けた人々の能力強化」です。
レジリエンス(しなやかな強靭さ)」とは、「危機に直面したときの回復力」を指します。多くのリスク・不確実性が存在する現代において、個人・国・国際社会がレジリエンスを高めることが重要視されています。

日本は議長国として、オイルショックからの回復、東日本大震災からの復興、デフレからの脱却などの経験をOECD加盟国と共有し、世界経済が立ち直るための教訓を提示することが期待されています。

RIETI - 国民経済の強靭性と産業、財政金融政策の関連性についての実証研究

そこで、本論文では、金融危機に端を発した百年に一度といわれるような世界的な不況であるリーマンショックをとりあげ、その回復過程に着目し、財政政策や金融政策などの対策としてどの様なものが効果的であったのか、そして、どの様な性質を持った国家がその経済ショックから迅速に回復できたのかを探索的に分析を行い、我が国の経済を外生的ショックに強い経済にするための知見を得ることを目的とした。

分析は、OECD加盟34カ国(2012年12月時点)について、GDPや失業率、産業別GDPや輸出・輸入、公共投資額、マネタリーベースなどのマクロ経済データを用いて行った。危機からの「回復」に焦点を当てて行った分析の結果(表の通り)、GDPのしなやかな回復に対して「公共投資の拡大」が有意に影響を与えていることが示された。一方で、失業率の回復に対しては、製造業の発展や公共投資の拡大が有効であることが示唆された。このことから、GDPや失業率のしなやかな回復を果たすためには、公共投資の拡大に基づく財政出動は有効なマクロ経済政策であると考えられる。

以上のことから、金融危機に対する国民経済の強靭性(ショック耐性、ショックからの迅速な回復)を高める上で、公共事業は重要な経済政策であることが示唆された。

また、金融緩和を含めた各種施策の効果の現出には一定のタイムラグが存在することも考えられるため、そうした点も加味したより長期的な検証が今後必要であると考えられる。

 金融政策には時間差(タイムラグ)があり、リフレ派(経済学者)でも1年半から2年程度と言っていました。アベノミクスの一本目の矢(金融政策)はその結果を未だ検証できる状態ではないため、その継続が今後の評価となることになります。二本目の矢(財政政策)については、復旧・復興予算によるバランスが偏在する公共事業を是正するために行われ、現在の状況を好転しつつある役割を果たしているといえるでしょう。


国土強靱化基本計画を閣議決定/計画的な公共投資に期待/強靱化展開モデルに12団体20140604建設通信

基本計画は、防災や国土形成、社会資本整備など国土強靱化に関するさまざまな計画の指針として、それらの上位に位置する「アンブレラ計画」となる。住宅・都市分野であれば密集市街地の火災対策、エネルギー分野では地域間融通能力の強化というように、施策分野ごとの推進方針などを打ち出している。

 また、特に配慮すべき事項として民間投資の促進や市町村への適切な支援なども明記。防災・減災に関する専門的な知識や技術を持つ人材の育成・確保にも言及している。
 基本計画の内容はおおむね5年ごとに見直すが、別途、具体的な数値目標などを設定した国土強靱化アクションプランを毎年度作る。例えば、住宅の耐震化率を2020年度までに95%、海岸堤防の整備率を16年度までに66%に引き上げるなどの目標を明確にし、重点プログラムの確実な進捗を図る。

 国土強靱化基本法には、地方公共団体が国土の強靱化を推進する責務も定められている。都道府県や市町村が策定する地域強靱化計画は、国の計画の下に存在するのではなく、地域特性などに応じた同列の計画。つまり、国と地方の各計画が両輪となって、国土全体を強靱化していくことになる。すべての都道府県で速やかに地域計画が作られ、できる限り多くの市町村で策定されることが望まれる。

 リフレ派は「グローバル経済」を主張しますが、国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)は、国際分業が進み様々なネットワークが分断された場合、その影響がその国だけで済まないのは東日本大震災により被災した企業・地域が復帰(回復)する速さが大事である事を知らしめました。このような持続可能(サステナブル)な整備を批判するのは不思議でなりません。
 緊縮財政によって「牛丼福祉」を維持することが最優先される経済がそれほど良いものでしょうか。また、財政政策は「防衛費」を増やすのが良いと言いますが、「国土強靭化」は国家のリスクマネジメント(オールハザード※自然災害のみならず政治、経済、環境、技術、公共衛生、地政学等)であるため、大災害のみならず戦争(防衛)についても含まれているのです。

「人命を何としても守り抜く」「重要な機能が致命的な損傷を負わない」「被害をできる限り軽減し、被害拡大を防止する」「迅速な復旧・復興」

「起きてはならない最悪の事態を設定し、これに対する施策の実施」が指針として示されているため、リフレ派の「国土狂人化」という表現が、如何に国民の生命・財産等を侮蔑するものでしかないのがわかります。リフレ派(経済学者)は存在することが、国民の生命・財産等を毀損するとしか考えられません。