津波被災の記録137

 発災から3年3ヶ月となりましたが、土木・電気・管工事・舗装については、特に「土建供給制約ガー」は生じておらず建築の一部で不参加があった程度で公共入札は消化されております。建築の不参加は技術者の拘束期間の割に入札金額が少ない「費用対効果」による経済学的な判断によって成されているようです。
 公共土木においては、発災直後からのマッチングにより「土建供給制約」は全く生じておらず、被災地での建設会社経営者においては、「出る物件すべて落札したい」という心強いお言葉を発しております。

工務店など住宅再建の相談応じる - NHK岩手県のニュース

 工務店など住宅再建の相談応じる東日本大震災の被災地で本格化する住宅再建を円滑に進めようと岩手県や県内の工務店などで作る協議会が6月20日から被災した人や工事を行う工務店の相談に応じることになりました。
これは、被災地での住宅再建が本格化する中、岩手県や県内の工務店などで作る協議会が行 い、電話やホームページで被災者や工事を行う工務店などの住宅再建の相談に応じます。
6月20日から相談の受け付けが始まるのを前に工務店などを対象にした説明会が、3日、盛岡市で開かれました。

 相談をした人のうち、住宅再建を希望する人には協議会にあらかじめ登録された工務店を紹介するなどいち早い住宅再建が実現できるように支援するということです。
また工事を行う工務店には復興工事の増加で職人や建築資材の不足が懸念されることから、人材の確保や資材の調達の相談に応じるなどして支援を行うということです。
協議会の新沼義雄会長は、「大量の住宅需要が見込まれる中で被災者の住宅再建が一刻も早く進むように一丸となって取り組んでいきたい」と話しています。

岩手県地域型復興住宅マッチングサポート制度」も動き出したようで、一国一城の主としての気質が強い小零細企業をマッチングさせるのは大変な労苦が必要です。
 釜石市民主党系市長ということもあり、ハウスメーカーべったりのためこの様な制度を利用し、被災工務店や被災地連携をする労苦より、大企業に丸投げする「効率」を重視するスタンスです。農水省国土交通省経済産業省での「六次産業」が大抵は失敗するのが、市町村段階に落ちると、こういう自治体長の政治判断で御破算になることが多いからです。
 発災以前から「岩手型住宅」等のモデルを推進しては居ましたが、押しが弱く入札への参加やモデル住宅として設計採用すら検討はしておりません。そういうことが、木造仮設住宅の採用を農林水産部と県土整備部間の連携が成されなかったことでもあります。
 復興住宅需要は大半がハウスメーカーが占めて被災地の民間業者があぶれている「民間大資本による小零細圧迫」がおきており、市場の論理とはなかなか不条理なものです。


復興庁/住宅再建の資材・職人融通を支援/加速化第5弾、事業急増に対応20140528建設工業

 復興庁は、東日本大震災の被災地で住宅再建に当たる建設業者が人材や資材を円滑に確保できるよう支援に乗りだす。住宅資材の融通や応援職人の手配を一括して媒介する取り組みを資金面で援助し、防災集団移転事業などで急増が見込まれる住宅建設を進めやすくする。被災3県(岩手、宮城、福島)のうち岩手県で6月に始まる取り組みを皮切りに他の地域でも支援を行う。遠隔地から来た作業員の宿泊施設整備への支援も始める。27日に開いた住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースで決定した「住宅再建・復興まちづくりの加速化措置(第5弾)」に盛り込んだ。

 岩手県で始まる取り組みは、県内の住宅関連事業者らでつくる岩手県地域型復興住宅推進協議会が県の委託を受け、資材や職人が足りない現場に他の現場から融通する手配を一括して手掛ける。復興庁は、県を通じてこうした取り組みを資金面で援助する。宮城、福島でも同様の需要があれば、積極的に後押しする。

 住宅を高台へ移転する防災集団移転事業などが行われる沿岸部の工事現場に、県の中心部など遠隔地から作業員が時間をかけて通うのは非効率。宿泊施設が確保できれば、施工の円滑化につながるため、仮設宿舎などを整備する地方自治体への支援も始めることにした。復興庁は、新規に宿舎を整備するだけでなく、完了した公共工事用に確保された仮設宿舎などが空いていれば、それを有効活用することも想定。宿舎の維持管理や改修に必要な資金を県を通じて援助する。

 被災地では、防災集団移転事業や土地区画整理事業、漁業集落防災機能強化事業などによる面整備で住宅用地の供給が今後急増する見込み。第5弾の加速化措置では、住宅建設に対するこれらの支援に加え、土地収用手続きの迅速化などを盛り込んだ。

 国土交通省発注工事の公共土木の諸経費率が高く設定され、トンネル・高速道等の工事において宿舎設置すること当初から可能であることや厚生労働省からの通達により適切に管理することが求められ運用実績があり全国から人的資源を集約することがあたりまえに行っています。
 岩手県・市町村の公共工事においては、県内業者が受注する前提のため宿舎の経費は設計変更でも認められてはきませんでした。震災後、昨年ですが実施することとしましたが運用ができないんです。そのため宿舎を設置しても経費がかさむため運用の見直しが求められていたのです。一部業者はグループ補助金を利用して建設したものがあるようですが、本来の目的からは好ましい補助金の使用例ではないと思われます。当初は認定を渋っていたからです。宿泊業者の再建を圧迫すると言うことですが、民宿はあるがホテルは少ない地域と言うことで認定されたと思われます。

 復興庁による県・市町村の運用能力不足を補う取組ではありますが、五輪時にも同様の取り扱いが成されるための布石でもあります。この点はなかなかしたたかですね。
 サブコンの一部は沿岸部から事務所を引き上げ県庁所在地に戻る動きを加速させています。受注があるところへ移動するのは素早いです。


日本全土落下傘計画 東北編 4/4〜うなる復興マネー

中小企業庁

仮設施設整備事業 354億円
中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業 4347億円
被災中小企業施設・設備支援事業 334億円 無利子の融資
津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金 666億円
東日本大震災復興特別貸付 5兆6298億円 0.2~1.4%
東日本大震災復興緊急保証 2兆1830億円 〜0.8%
小規模事業者経営改善資金貸付 1820億円 1.2%

復興予算は全体で5年で19兆円ということだから、そのごく一部ではあるものの、お金はジャブジャブしていそうです。エクイティによる出資など不要っぽいですよね・・・これでは。政府主導で低金利融資されてしまうと、銀行融資ですら入り込むのが厳しそうです。

税制優遇

産業復興機構等が債権放棄を行う場合の期限切れ欠損金の優先適用等 (法人税・法人住民税・事業税)

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復興特区における税制上の特例措置
・復興産業集積区域における法人税等の特別控除、平成28年3月31日までに指定を受けた個人事業者または法人が指定を受けた日から5年の間の復興産業集積区域の事業所における被災雇用者に対する給与等支給額の10%を法人税から控除できる。(ただし控除額は法人税額の20%を限度とする)

・復興産業集積区域における特別償却又は税額控除
取得等した事業用設備について、特別償却又は法人税から控除できる。機械又は装置、即時償却又は取得価格の15%の税額控除)、建物、取得価格の25%の特別償却又は8%の税額控除
復興産業集積区域における研究開発税制の特例等
開発研究用減価償却資産について即時償却できる。対象となる減価償却費を特別試験研究費として研究開発税制を適用(12%の税額控除)

市役所の事業推進課は、これ言えよなぁ・・・。

 トラバを頂いてました。気分が良くなかったのでそのまま放置してました、すみません。

 被災者の所得税も免税で、全額還付されています。3年間無税でしたので一部の公務員が「俺、被災者だから税金戻ってくる」と威張って言っている話を聞かされて、そういうのは内緒にしといてくれボケ。と、毒づきました。

 エクイティ。買収を目的としたでしょうか。それでも、グループ補助金では実質的に売却の予約をするような組織形態で認定されるものもあったから、出来たかもしれません。
 でもNPOファンドやら実質的には買収目的での資本提供があったと思われます。その亀裂が出始めるのは来年ぐらいではないかと思いますので、その際はまた足をお運びください。

 補助金は事業実施後に確認して支払うため銀行は融資の機会に恵まれますし、返済の原資の大半が税金で確保されていますので、震災以前の負債がどうしようもない企業ても無ければ、大半は融資して貰ったようです。金融政策で、ブタ積みにならないように被災地復興を導管としているわけです。あとは、同業者のようにPFIによる都市インフラの復興ということですが、難しいと思います。地銀に対してリージョナルバンクを求めていますが、現状では融資の窓口が一本化することの恐怖のほうが勝ると考えますから。日銀総裁が講演で圧力かけてもしばらくは、そうならないでしょう。

 防潮堤の批判はあるけれど「嵩上」への批判が無いのは不思議です。復興が遅れているのは防潮堤建設より、浸水地域の有効活用のための「嵩上」だからです。何で、外部から来る方達も批判しないのか。

かすむ復興/産業/グループ化補助金の今(上)/再建着手見えず焦り | 河北新報オンラインニュース

東日本大震災から3年が過ぎ、東北の被災地は復旧から本格復興への転換期を迎えようとしている。復興まちづくりの推進に加え、暮らしの再建や産業、コミュニティーの再生など、足元に残された課題は少なくない。災禍を乗り越え、住民や企業、地域社会はあすへの一歩を踏み出せているのか。現状を追った。(震災取材班)

<未消化700億円>
 事業再生の号砲が鳴らない。スタートラインで立ちすくむだけの日々がもどかしい。
 「早く再建したいのだが…」。宮城県石巻市運送業、一力運輸の加藤雅章専務(47)が力なくつぶやく。
 大型貨物車の拠点として使っていた宮城県東松島市の営業所は津波で流失した。2012年7月にグループ化補助金の交付決定を受けたものの、2年近くたった今も再建はかなっていない。
 予定地の大曲浜地区では工業用地のかさ上げ工事が進む。工期はことし9月まで。建屋などの建設に着手できる時期は見通せない。加藤専務は「年内は土地の確保で終わりだろう」と諦め顔だ。
 地盤沈下などに伴い、沿岸部では土地の改良が必要となるケースが多い。上下水道、道路などのインフラも求められる。これらの公共工事が終わらない限り、グループ化補助金の出番はない。
 宮城県の場合、期限内に補助金を消化できない業者は全体の3分の1近くに上る。その額約700億円。執行の繰り越しや再交付の手続きが取られ、巨額の公金が被災地にむなしく積み上がる。

<「廃業選択も」>
 再開の遅れは、地域経済縮小の恐れもはらむ。岩手県大船渡市の仮設商店街「おおふなと夢商店街」を中心としたグループは、4割に当たる約20事業者がかさ上げ工事中の商業地に移る。
 本格再建は、遅ければ16年3月にずれ込む見通し。補助金採択から実に3年以上の年月を要することになる。
 同商店街協同組合の伊東修理事長(61)は「既に復興特需は落ち着きつつある。いざ再建というときに、廃業を選ぶメンバーも出てくるだろう」と推測する。
 事業者にとって、被災地を中心とした工事費の高騰も懸念材料だ。補助金は申請時の事業費に基づいて算定されているため、実際に掛かった経費との差額は自己資金で埋めるしかない。

労務単価上昇>
 一般財団法人建設物価調査会などによると、公共工事では、作業員の労務単価が震災前に比べ被災3県で平均4割上昇している。生コンクリート価格は仙台市で7割程度アップした。震災前からの債務を抱える事業者も多く、復旧費の負担増が重くのしかかる。
 石巻市でみそ、しょうゆの製造販売を手掛ける山形屋商店の山形政大専務(42)は「民間の取引でも、時がたつにつれて資材、労務費が上がる印象だ」と頭を抱える。
 同社は11年12月に補助金交付が決まったが、完全復旧には至っていない。「売上高は震災前の6割程度。再建費が増せば、規模縮小も考えなければならない」。山形専務は疲れた表情を見せた。

[グループ化補助金]被災した中小企業グループに対し、国と県が施設や設備の復旧費の最大75%を補助する制度。ことし4月まで10回の募集があり、岩手で1244業者(補助額782億円)、宮城3721業者(2318億円)、福島3131業者(921億円)が採択された。5月16日まで11回目となる公募が行われている。

追記20140612

慰霊のさい銭が盗難 旧大槌町役場前、箱を破壊

日本全土落下傘計画 東北編 4/4〜うなる復興マネー

私が被災地に赴いたのは、慰問という道徳的な理由では無い。あくまでアジア一国一愛人構想、投資機会の調査なのである。

震災直後、第一次段階で発生したアービトラージャーは、地震場泥棒、金庫盗み、店舗商品強奪、通帳無いけど預金下ろしたい詐欺、闇物資化した煙草・酒などの売買、等の行為を行った犯罪者たちであった。

第二次段階で、莫大な予算を使って国家が、瓦礫の清掃、道路・交通インフラ再建、仮設住宅建設などを行い、第三次段階、つまり現在において、国家はソフトウェア的な充実、金融支援、産業創生、税制優遇、治安維持強化などを行っている。エマージング投資の発展段階でもよくある光景だが、国家の勃興、農業・食・生きていくためのインフラの確立、産業創生、株式市場設立、デリバティブ市場への展開というプロセスの中で、高度の段階でようやく私の出番が生じるのである。

石巻において、震災から3年経った現在、ようやく私が登場しうる段階になってきているのであるが、潤沢すぎる国家予算が、生じうるすべての資金ニーズを飲み込んで余りあるくらいの資金を投入しているので、エクイティ性の資本は極めて厳しい立場に置かれている。

 黄金週間では沿岸部の様子を見るため南三陸町へも行きましたが、その時も「賽銭箱」が壊されていました。陸前高田市は「奇跡の一本松」を見に全国から来てまして、駐車場付近は渋滞していました。また、「大きすぎる防潮堤」での気仙沼市大谷海岸の状況も見てまいりました。
 被災地をあまりにも美化しすぎたため、味を占めてしまった方達が露わになっていくのは、悲しい事ではありますが、支援を頂く事は律する必要があることへの教訓になって貰わねばなりません。