津波被災の記録136

 被災地復興が「土建供給制約」や「外国人研修生(移民)」を求めているようにリフレ派に言いがかりをつけられております。

 
デフレに関する3つの嘘 公共事業でデフレ脱却、外国人労働者増でデフレ進行は間違い?

・典型的な間違い(2):公共事業でデフレ脱却
 公共事業万能論という誤った考え方がある。これはデフレも景気の低迷も公共事業を増額すればすべて解決できるというものだ。公共事業は財政政策の一種であり、日本のような変動相場制の国では金融緩和と同時に行えば一定の効果を発揮する。現在、アベノミクス1本目の矢である金融緩和が効いている状況にあるので、本来公共事業は景気に対する好影響を与えるはずだった。

ところが、ここへきて建設業全体の供給能力が大幅に減少していることが明らかになった。その理由は、長引くデフレと予算削減によって、建設会社や下請け企業が大幅なリストラを実行したためである。10年以上かけて削減してきた人的リソースを数年で取り戻すことは不可能だ。全国各地で起こっている公共事業の入札不調は、まさにこの状況を反映している。

 また、現場に熟練工が不足しており、施工不良による工事のやり直しといった初歩的なミスも多発している。その最も典型的な事件は、東京・青山の「億ション工事失敗事件」だ(http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20140203/382305/?ST=safety)。

 リフレ派上級論客は息を吐くように嘘をつきます。金融政策による円安の効果は資材価格を上昇させているとおり確かに聞いています。でもそれは「価格転嫁」ができるかにかかっています。消費税・法人税もそうですが経済学的に個人へ帰結するためには「価格転嫁」ができていなければなりません。リフレ派の「消費税増税が嫌い」や「便乗値上げ」批判は「価格転嫁」を拒絶していることになります。金融政策の効果も含め物価上昇する要因が生理的に受け付けないようです。
 
 人的リソースは微妙ではありますが保たれているからこそ被災地復興と同時に首都圏再開発ビジネス(Jリート)等が出来ているのですが、リフレ派上級論客はこともあろうに、鹿島・三菱地所の問題は「熟練工」不足による言います。原因は違います。鹿島・三菱地所の担当者が工程会議で下請業者の意見を全く聞き入れずに作業を支持したことによる「優秀な技術者」及び「優秀な発注者」による管理からおきたことです。マネジメント・システムが全く機能していないことが施工不良の原因であり、熟練工不足の問題ではありません。すり替えないでください。ましてや民間建築のマネジメント不足によることを公共建築・公共土木の問題にするのは、国・都道府県・市町村の技術職員が、鹿島・三菱地所の不良マネジメントより劣る管理を容認しているような印象を与える非常に悪辣な記事です。

 公共工事の不調は「円安による資機材高騰」と「首都圏再開発(Jリート)」による熟練工を含む作業員を集めたことによっておきています。

元・下に警戒感広がる/担い手確保・育成が先決/外国人技能労働者受入れ拡大20140527建設通信

 外国人技能労働者拡大を求めていたはずの専門工事業界と、元請けとなる全国ゼネコンからは相次いで建設分野の特例措置に強く警戒する声が出始めている。

 複数の大手ゼネコントップは、「外国人労働者受け入れ拡大の本筋は建設業ではない。本来受け入れ拡大を急ぎたい他産業の思惑に建設業は使われているだけだ。建設業が外国人技能労働者の受け入れを拡大している間に、担い手となる若年者確保で他産業に負けてしまう」と本音を打ち明ける。

 一方、外国人技能労働者の受け入れ拡大を主張してきた専門工事業界でも、8月1日から直轄工事で始まる社会保険未加入業者排除策と、これに対する元請けの対応によって、潮目が変わりつつある。

 これまで専門工事業界として外国人技能実習生受け入れ拡大を求めてきた、ある専門工事業団体トップは、「建設分野で先行的に受け入れ拡大をする特例措置の具体論は事実上ストップしている」と前置きした上で、「受け入れ拡大が本当に業界にとっていいのか考える必要がある」と話す。

外国人材の活用拡大専門業界も準備着々/五輪までの「時限措置」に安堵/中国帰国者3割が「再入国」意思20140409建設通信

「建設業の労働力不足を外国人材で補うことは、20年までの特需対応であり、あくまで時限措置。若年者の育成・確保が本筋」
 毎週金曜日に開かれる次官連絡会議で、国土交通次官からの報告に、他省庁幹部は胸をなで下ろした。
 ある省庁幹部は、建設業向け対応が移民政策への流れを助長しかねないことへの懸念が払しょくしつつあることを踏まえ、「労働者が不足しているから外国人材という安易な考えではない。あくまで時限措置がポイント」と解説する。

 仮に、喫緊課題の建設業向け対応を重視する中で、全産業を対象にした外国人技能実習制度の改正と入国管理法を性急に改正すれば、経済連携協定(EPA)で課題の介護分野や、単純労働との指摘が根強い農業分野なども含め、影響が大きいとの判断だ。

 
都内の建設人材不足深刻/東京労働局3月統計20140509建設通信

 求職者数が5年間で激減したのは、雇用需要の回復で既に建設産業界への入職が進んだこともあるとみられる。

 都内のある中小建設業経営者は、5年前と現在の雇用状況について「5年前は技術者の採用は容易だったが、先行きが不透明で採用を抑制していた。職人も全国的に建設市場が低迷していたから、全国から集めることができた。しかし今は、大手など全国ゼネコンに人が集まって、われわれが採用したくても技術者も職人も集まらない」と環境の激変ぶりを説明する。

 今後も当面増加が見込める東京都内の建設市場。ただ人材不足は中小建設業だけの問題ではない。ある大手ゼネコン役員は専門工事の職人不足への究極の打開策として、「官民工事の生産工程を意図的にずらせばいい。そのためには公共発注者の理解が必要」と主張する。「発注時期と引き渡し時期をずらすことで、技術者と職人の手配がスムーズになる」ことが理由だ。

 公共投資削減によってもっとも利益を受けたのが東京です。民間資本形成(民需)の割合が全国で最も高く、成長戦略特区による再開発ビジネス(民間建築)が、全国の公的資本形成(官公需(公共事業))を縮小により廃業・業務縮小(リストラ)によって、技術者・作業員を東京に集めやすくしていたのです。それが、東日本大震災を契機とする「公共労務費単価」の改正による賃金上昇等により、安く利用できなくなったからです。低賃金で高級マンションや高層ビル等を建設して、高配当を得ることが難しくなったことに難癖を付けているだけです。

・典型的な間違い(3):外国人労働者流入するとデフレになる

 物事を単純化して説明する場合には、単純化しても本来説明すべきエッセンスが抜けてしまわないように細心の注意を払う必要がある。しかし、エッセンスが抜けきって、もはや原形をとどめていないような単純化が独り歩きしているケースがある。あらゆる経済政策を「インフレ政策」「デフレ政策」の2つのカテゴリーに単純に分けて、「デフレの時にデフレ政策をやるとデフレを助長する」と主張する人がいる。問題は何を基準として「インフレ政策」「デフレ政策」と分類するのかという点である。この手の主張には、大抵「価格」と「物価」の違いが抜け落ちている。「価格」とは個別のモノの値段(相対価格)のことである。これに対して「物価」は、あらゆるモノの値段の加重平均(一般物価)である。

 外国人労働者を安い賃金で使うことができれば、確かに名目賃金は下がるだろう。しかし、企業はそのことによって節減した経費を一体どうするだろうか。そもそも、外国人労働者を使わざるを得ない状況にあるという時点で、人手不足が深刻化している。なぜ人手不足になっているかというと、前述の通り建設需要が官民ともに高まり、それに供給力が追い付かない状況にあるからだ。もし筆者が企業経営者なら、外国人労働者を使って浮いたお金を建設機械やより多くの労働者の採用に投資し、より多くの仕事を受注しようとするだろう。なぜなら、少なくとも6年後の東京五輪までの間は、仕事がたくさんあると予想するからである。

 公共建築・公共土木等の現場で外国人研修生を就労させる企業は東京等の大都市にとっては当たり前のことかもしれませんが、大多数の建設現場では見かけることはありません。
 被災地であっても公共建築の「型枠大工」で中国人が就労している事例ぐらいだけです。
 
 外国人労働者を大量に低賃金で「公共事業」で使役した場合、毎年の労務費調査に全ての所定内・所定外賃金が反映されますから、翌年度の「公共労務費単価(賃金)」は、下がります。
 間違いなく下がります。「失われた20年」そうして賃金は確実に下落したからです。そうした場合、リフレ派が言う「物価は賃金の塊」として扱わないとリフレ上級論客は言っているに等しいのです。また、「マイルドなインフレ」が「持続可能(サステナブル)な経済」であると同時に賃金の緩やかで持続可能な上昇による物価上昇も否定される。
 被災地復興も含め全国の建設労働者に賃金上昇の「期待」は持つな。と、いうリフレ派上級論客の話は承服しがたいものですね。

ゼネコン大手4社/14年3月期決算/3社が営業増益、建築の採算悪化続く20140514建設工業

 上場ゼネコン大手4社の14年3月期連結決算が13日出そろった。公共、民間工事とも受注が堅調で売り上げ計上が進んだことから、全社が増収、3社が営業増益となった。ただ労務需給のひっ迫による労務費の上昇が損益に影響。工事採算を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は清水建設が0・8ポイント改善したが、他の3社は0・1〜1・6ポイント下落した。単体の受注高は、鹿島、大成建設清水建設の3社が前期比2割増と大きく伸ばした。15年3月期は全社が増収を見込む。

 13年3月期決算で顕在化した粗利益率の低下に歯止めが掛からなかった。主因は国内建築の採算悪化。鹿島では一部工事の施工不具合による想定外の工事費も発生するなどし、建築の単体粗利益率が0・3%(前期6・2%)と大幅に下がった。各社とも土木事業や開発事業で利益率が回復しているが、粗利益率は5〜4%台にとどまる。

 民間建築の利益率はアベノミクスで回復するどころか悪化させています。公共工事(土木)はそんなゼネコンにとって、利益率を改善させているのです。経営体質の改善には一本目の矢「金融政策」ではなく、二本目の矢「財政政策」が効いているのです。
 国内建築の大半である「民間建築」が如何にデフレ圧力をかけ続けており、リフレ派上級論客はそんなデフレ圧力を継続させようと「土建供給制約」「おちんぎん」などという言い方をするのです。

米国雇用事情〜高卒・経験なしでも御の字 ブルーカラーの賃金上昇のウラに求職をあきらめる動き 2014年6月6日(金)

4年前、建設業界はまだ不景気の真っ只中にあった。米国のドライウォール(乾式壁)業者、ベーカー・トライアングルが採用の予定を発表すると、翌日、事務所の外には志願者が長い列を作った。だが今は、求人広告を出さなければ人は来ない。マネージャーのマイク・シレノ氏は「2〜3人が訪ねてくれればいい方だ」と嘆く。かつて、シレノ氏は10年の実務経験を持つ人材を求めていた。これに対し、今では2〜3年の経験者が見つかれば大手柄。「全く経験のない高卒者」も喜んで雇うと言う。

 以前と比べればまだ微々たる規模ではあるが、建設業界は2006年に住宅バブルがピークに達したとき以来の人手不足を経験している。建設会社は十分な数の大工や労働者、エスティメータ(見積もり専門の担当者)を見つけることができないと不満を漏らす。これを売り手市場と呼ぶのはまだ気が早いが、賃金は反応し始めている。シレノ氏はこう語る――ベーカー・トライアングルが事業を展開するテキサス州南部で、ドライウォール職人の時給は1年前には15〜20ドル(約1500〜2000円)だった。それが今では18〜25ドル(約1800〜2500円)ほどになっているかもしれない。

 大卒の資格を持たない労働者に割り当てられる「経済のパイ」は、もう何年も減り続けている。一流大学を出た1%のトップエリートが取り分を増やしているからだ。こうした長期的な傾向はいまだに健在かもしれないが、ここしばらくは、建設作業員が盛り返しつつある。

 投資アドバイザー会社、コーナーストーン・マクロのナンシー・ラザール氏は、建設業のほかに、製造業、鉱業、伐採搬出業、運送業でも賃金の上昇が加速していると指摘する。いずれも景気が上向くのが経済全体より早く、賃金の高い業界だ。ラザール氏は「今後は高賃金の業種が雇用拡大の重要な要素となる新たなサイクルに入る」と説明する。

 ブルーカラー職の賃金が上昇しているのは次のことが原因かもしれない。過去2年間、労働者全体の賃金は年率2%ほどのペースで伸びた。だが、建設作業員(管理職を除く)の賃金上昇率は、2012年初めの1.5%から今年4月には2.3%と加速している(図参照)。ただし小売業などの低賃金業種の給与がいまだに低迷しているため、インフレ懸念を招くほどではない。


求職をあきらめる動きも拡大

 高卒者の失業率は大卒者を上回るペースで改善している。2010年と比べた場合、大卒者の失業率が1.5ポイント減であるのに対して、高卒者のそれは4.4ポイント減だ。それでも両者の失業率はいまだに高水準で、それぞれ6.3%と3.3%に達する。失業率の低下は、求人が伸びたことよりも、求職が減ったことによるところが大きい。働くことをあきらめる人が少なからずいるからだ。

 米国建設業協会 のケン・サイモンソン氏によると、建設業における失業労働者の数は過去4年間で110万人減少した。このうち建設業で職を見つけた人の割合は4割に留まる。残りの6割は石油やガスなどの他業界に移ったり、職探しをあきらめたり、引退したりしたのだ。

 トラックの運転手も不足している。トラック運転手の年齢の中央値は47歳だ。毎日約100人が職を離れている。運転手さえ見つかればもっと多くのトラックを稼働させたいと考える企業は多い。中には契約料として1000〜3000ドル(約10万〜30万円)を支給する企業もある。だが運転手を確保するためには、魅力的な賃金を提供するほかにもう一つしなければならないことがある。それは、犯罪歴がなく、薬物検査にも通り、生活の大半を移動にあてられる候補者を探すことだ。これは言うほど簡単なことではない。

 米国も日本とさほど変わらないというか、労働者を流動しやすくするために緊縮財政からデフレ経済(自由経済の推進)によって、地方から都市へ労働人口を移動する中で、全てが思い通りに移動はしないということです。
 また、「土建供給制約」の原因は、高卒者それも職業高校の統廃合による削減及び普通高への偏重に教育によっておきている部分もあるのです。ブラック企業はブラック教育から派生していると感じますね。

訓練生・修了生への激励と政策意図

かって私を研究活動に導いて下さった宗像元介先生(職業訓練研究センター初代所長、『職人と現代産業』の著者)は、ある職業訓練施設の修了式に出られた翌日、私達に施設長の修了生に対する訓話で、“諸君はここで習得した技術・技能を仕事で発揮することによって、企業の重要な技能者として役割を果たし、ひいては産業界の発展、そしてわが国に貢献するのである”というような話があったが、そんな政策論は訓練生には関係ないよ、と笑って紹介された事があった。

 その話を聞いて、私も職業訓練の意義を説明するときに相手によりいろいろと考え、特に学生への激励には気を付けてきた積もりである。政策意図と、係わっている人々の意識は立場により異なることを理解した積もりである。

 ところで最近、噂によると、ある施設長は修了生の父兄も列席している修了式で、“諸君は企業では使い物にならない”、と激励とはどうしても聞けない“訓示”をしたという。

 ある旧帝の大学教授は「資本家の犬を養成している」という非常に「意識高い系(笑)」らしい、高いご見識をご披露されております。リフレ派「社会学・経済学」もどういうわけか「意識高い系系(笑)」の方達がいらっしゃるようです。現代の若者は大卒後に専門学校に入り直す方達も増えているようですから、くれぐれも上記のような発言は控えた方がいいでしょう。