『欺き欺かれて』(IFRSと有給・サービス残業等)

NEWSポストセブン|有給休暇買い取り解禁すれば取得日ゼロの人は年収37万円増も

「どうせ休みが取れないなら、有休を会社に買い取ってもらえば、家族サービスのかわりにせめて妻や子供たちにプレゼントをあげられるのに」
 そう思っているサラリーマンは多いはずだが、法定年次休暇の買い上げは1955年の労働基準局長通達で禁じられている。労働強化につながり、労働基準法違反に当たるという理由だ。

 相沢幸悦・埼玉学園大学経済経営学部教授がこういう。
「通達が出された当時は高度成長期が始まったばかりで、人手不足から経営者は社員の休暇を買い上げても働いてほしいという時代だった。だから禁止するのはわかる。
 しかし、いまや企業は人件費削減に動いており、社員から無理やり休暇を買い上げて働かせようという状況ではない。むしろ社員のほうに、どうせ休めないなら有休を会社に買い上げてほしいというニーズが高まっている。
 
 それなら、有休買い取りを解禁し、労働者からの要請があったときは、企業が正当な対価で有給休暇を買い取るように法律を弾力的に運用すればよい。景気回復には賃上げが必要なのだから、法制度の運用で促すことができるなら積極的にやるべきです」
 現在、例外的に退職時や時効消滅分の有給休暇を会社が買い上げることは認められているが、金額に基準はなく、労使で協議して決めることになっている。そのため、会社側から「1日3000円」など最低賃金以下の格安で買いたたかれるケースが多い。これも「高く買えば、社員が休暇を消化しなくなる」という理由だが、できるだけカネを払いたくない経営側の本末転倒なこじつけだろう。

「企業法務マンサバイバル:IFRS(アイファース)適用により、有給休暇を付与せず残業手当を支払わない日本の多くの企業が粉飾決算となるようです - livedoor Blog(ブログ)」

IFRSでは有給休暇の未消化分も評価して負債計上することになるのだそう(P48)。この発想でいくと、有給休暇をそもそも付与していない会社や残業手当を支払わない日本の多くの会社は、負債を正しく計上しない粉飾決算会社として制裁を受けることになります。

うーん、これは労働行政が厳しく監督する必要が無くなるぐらいの効果が期待できるんではないでしょうか?だって、放っておいても監査役や会計士が有給休暇の付与状況や残業手当の未払いがないかを毎期毎期チェックしてくれるんですからね。しかもそんなものは従業員にヒアリングすれば一瞬でバレるので隠しようもないというw。相当なプレッシャーのはず。

まったく新しい切り口で、日本企業の悪しき人事慣習が一掃されるチャンスになりそうな予感がしてきましたよ。

kumakuma1967 @kumakuma1967_o
サビ残は「雇用契約外の役務提供」なんだから「事実上の収入」なので、見つかったら無申告加算付きで法人税徴税しちゃえと思ってる。

terazzo 社員からは贈与税?/回収した未払い賃金の1/10を報酬として捜査官に払うようにしよう!親は関係ねえだろ親は! 2013/08/10

maturi 法  隠し財産 2013/08/09
 
kumakuma1967 犯罪を実行する方が得な人がいる状況って市場をゆがめるわけで。税によるべきかどうかはともかく、経済犯罪としても認知されるべきでしょうね。(法人税は損金不算入ですよね。) 2013/10/21

 たまたま、kumakuma1967氏からIDコールは来なかったけど、ご指摘(法人税は損金不算入ですよね。)があったタイミングで上記の記事がでて、多くのブクマもついておりました。

 ご指摘があった『サビ残は「雇用契約外の役務提供」なんだから「事実上の収入」』については、IFRS(アイファース)を適用しても「収入」ではなく「負債」未計上/費用未計上(給与/未払金)ですので、税務調査で指摘することはないと考えられます。
 
 法人に対して追加の費用(損金計上)を認める修正申告になりますから、法人税を還付する手続きになる場合が多くなることが想定されます。
 ですから「見つかったら無申告加算付きで法人税徴税しちゃえと思ってる。」では、「見つかったら」=「税務調査」で指摘することはありませんので、法人税の加算税が課せられることはありません。ただし、kumakuma1967氏(旧帝卒クラス)の勤務する大企業においては、IFRS(アイファース)を適用する動きがあり、申告前に監査法人により是正がなされる可能性がありますが、法人の収入には成り得ません。あくまでも「費用(損金)の適正な計上」への対応となります。

 法人税の還付が殆んど無かったり、赤字計上している法人にあっては、所得税の納付が大きいと判断した場合は、「所得税法違反」で計上を促す場合がありうるかもしれません。その場合でも遡った支給ではなく「税務調査」の年度内に支給した所得として支出し、「年末調整」「確定申告」を行えば問題は生じないと考えます。対象となる会計年度に遡って支給しろということであれば、所得税・住民税・社会保険料等に対する延滞税を加算することを要求しているとなるので、在籍のみならず退職者等に対する全ての関係者を対象として行う事務を考えると難しいのではないかと思います。

 別な捉え方で言いますと、IFRS(アイファース)を適用するためには、企画管理部門以外の人員は「生産性の向上」のためのみならず、負債計上(有給・サービス残業等)を抑制するためには、子会社(非連結)等へ転籍か退職させて派遣会社の登録社員とすることになります。極端な事例だと個人請負(請負社員)にまでさせる場合も考えられるでしょう。(消費税による対応に対処のため解雇するのではなく、会計処理の変更も含めた組織変更については、コンサルタントの助言による影響と考えるべき)

 『サビ残は「雇用契約外の役務提供」』を法人が了承し「収入」とした場合は、正社員の雇用契約そのものが消滅することはないと思いますが、正社員から個人請負(請負社員)への変更又は就業規則の兼業禁止を廃止することなどから、正社員を解雇(雇用契約の解除)し易くする恐れがあるのではないでしょうか。

 決算期における一時金の支出が「サービス残業及び有給の清算」である可能性については、「アベノミクス効果」でオブラートに包んで処理した企業も想定されるため、あくまでも一時金による清算よりは、報酬月額をわずかでも上昇させることが望ましいと考えますが、上記の経営を行っている経営者にとっては、「費用計上」を増やすことそのものを嫌悪しているわけですから、「賃上げ」に難色を示し、利益が見込める際に精算をするという手法から離れがたい心情ではあると考えられるのです。

 なお、余談ではありますが「生産性の向上」を効率的にするために「企画管理部門」と「実働部門」を分離すると「供給制約」が起き易くなると考えています。(建設業において、技術者と技能者の分離の動向によるものではありますが)
 コンサルタント業者にとっては旨味のある企業構造・社会構造になると言えるかもしれません。「生産性の向上」の落とし穴には「供給制約」へどのように対応可能なのかまで検討することが求められると思います。


 IFASの負債計上は、労働者に対する責務(休日)に対する負債であって、オランダ型では休日返上は2倍以上の賃金支払いとなることも、労働者に対する休日の確保が企業の利益であるとの考えにあるのとは、「買取」は真逆の考えと言えるでしょう。むしろ「有給買取」の名のもとに「解雇しやすい環境整備」「法定休日全ての買取」という影がチラついていると自分は受け取りました。

 企業側でIFRSの導入に向けてできる準備として、未消化有休日数を極力少なくするために有給休暇取得の促進がある。これにより毎期の費用負担をより軽くすることが可能だ。

 併せて有休残日数の買い取りをある程度認めることで残日数を低減(および消化率を向上)させることでより費用負担を抑えることも可能になるため、休暇制度全体の見直しも併せて実施したい。有給休暇の買い取りそれ自体は労働基準法の主旨からは本来認められない(買い取りを優先して休暇取得を妨げるのは違法となる)考え方だが、健全な休暇取得を前提に期末残日数をうまく調整できるよう、バランスの取れた制度設計を検討していきたいところだ。日本企業の有休取得日数は国際的に少ない傾向にあったが、IFRSの後押しにより今後は取得の促進が期待できるかもしれない。

 内部統制との関連も重要だ。重要な職務についている者(財務経理責任者、情報システム管理者など)に強制的な休暇を取らせることでプロセスの相互監視が働き、内部牽制の効果をより発揮することができる。休暇の取得促進にもつながるため、業務プロセスの見直しにおいてこのような視点も併せて検討しておきたい。