津波被災の記録129

 2年7ヶ月が経過しました。復旧は進んでいますが「復興」は迷走しています。そもそも「復興」を求めているのが被災地というより「外部コンサル」「新しい公共」なので、その方達を食わせるために「復興予算の流用」が批判されたという事実はこれからでてくるでしょう。
 「復興予算」が被災地で生きる者達のために使われていると信じさせることも多少は必要であるため、複雑ではあるのですが。

 地元の新聞が廃刊になったことや地方紙の岩手日報より河北新聞の記者が大変熱心だというのは被災地でも評判の一つではあります。
 本来は先月頃にこの話は避けてはならないことでもあるため、

建設業の社会保険加入と一人親方をめぐるQ&A

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 業務委託事業である「瓦礫処理」も平成26年3月をもって終了する流れであり、そのため「有期雇用契約」された方達をどのように他の産業等へ移動させるかというのは、今後の「雇用の流動化」においても、その事例となるため慎重かつ丁寧な取り扱いは非常に重要であるからです。
 「有期雇用労働者」「若者」のみならず「総務担当」にとっても、「復興」のあり方として「労働」について疎かにすべきではないでしょう。
 
河北新報 東北のニュース/大槌町、就職支援を強化 緊急雇用事業期間満了対象

 東日本大震災後、失業した被災者の雇用確保策として実施してきた緊急雇用創出事業で、岩手県大槌町は2013年度に雇用期間が満了する人の就職支援を強化する。第1弾として3日、町内で説明会を開催した。被災地の雇用情勢が大幅に改善する中、一部事業所は深刻な人手不足に陥っており、暮らしの安定や持続的な地域経済の復興を図りたい考えだ。

 町によると、雇用期間が満了するのは町臨時職員、県に委託したがれき処理の作業員、北上市が事業主体の仮設住宅支援員らで計約270人。初めての説明会には68人が参加し、釜石公共職業安定所などの職員が雇用情勢、就職活動のポイントなどを説明した。

 国の基金などを活用した緊急雇用創出事業は原則1年間で、14年度については国が予算を確保するかどうか不透明だという。町単独での財源確保が難しい上、被災事業所の再開や復興事業の本格化で求人が大幅に増えているため、町は14年度、事業規模の縮小を検討している。

 釜石職安によると、大槌町と隣接する釜石市を合わせた8月の月間有効求人倍率は1.41倍。県平均の1.09倍を上回り建設業、サービス業などを中心に求人数は震災前の約2.5倍に増えた。

 水産加工業や介護関係は「求人を出しても人が集まらない」(町の水産加工業者)と厳しい状況が続いており、人手不足の解消も図りたいという。

 町は12日にも説明会を開くほか、11月から来年3月まで月2回の相談会や就職講座を実施する。町商工労政課は「緊急雇用創出事業はあくまでも安定した次の仕事に就くまでのつなぎ。雇用情勢が改善したチャンスを生かせるよう支援したい」と話している。

緊急対策来春終了 釜石・大槌に新たな課題 岩手 - MSN産経ニュース

 ■雇用ミスマッチ拡大の恐れ
 復興工事などの本格化で、有効求人倍率などの雇用統計が改善傾向にある中、被災地の雇用に新たな課題が浮上している。緊急雇用対策やがれき処理事業が終了となる来年3月、求職者が急増すると見込まれているためだ。現在も解消されていない求職者と求人のミスマッチが拡大する恐れもあり、行政機関などは対応を迫られている。(高木克聡)
                   ◇
 大槌町は3日、役場庁舎内で、町の臨時職員や仮設住宅の見回りなどを行っている地域支援員、がれき処理工事の作業員ら緊急雇用創出事業などで採用され、来年3月に雇用期間が終了する労働者向けに、就職説明会を開いた。
 説明会では、釜石市大槌町地域を担当するハローワーク釜石の担当者が「企業の人手は不足している。しかし、求職者を必要な業種に引き継げないでいる」と被災地の雇用環境の現状を解説した。ハローワーク釜石によると、緊急雇用創出事業によって両地域で雇用されている臨時職員や地域支援員は200人以上に上る。がれき処理工事の作業員は、正確な人数の把握が難しく、「雇用期間が終わっても建設会社で働き続ける人もいて、何人が求職者となるか読めない」(ハローワーク釜石)のが実情。来年3月に数百人規模の雇用の受け皿が必要となるのは避けられない。
 両地域での今年8月の求人数は、復興工事関連の求人が堅調で約1200人で、震災前の平成22年同月の求人数約500人に比べると、統計上では2倍以上に増加している。ハローワークを通さない求人もあるため、実際の求人数は「さらに4割増しの1700人近くなっている」(ハローワーク釜石)という。
 一方、求職者は約900人で、震災前の約3分の1に減っている。就業者数の実態を表す雇用保険の加入者数は1万1800人で、震災前とほぼ同水準に戻っている。釜石市で1割、大槌町で2割の人口が流出しているといわれる現状を踏まえると、両地域の労働市場は飽和状態ともいえる。

 被災者らに“職余り”の実感はない。その原因は雇用のミスマッチ。100人以上の求人がある工事などの警備員は求職者が少なく、有効求人倍率は30倍を超えるのに対し、200人以上が希望する事務職は求人が80人程度で有効求人倍率は0・37倍。県が両地域で、臨時雇用者らに実施したアンケートでは、604人中32・5%が来年3月以降、事務職を希望しており、ミスマッチは拡大する可能性が高い。

 大槌町では、就職活動の相談会や対策セミナーを開催するほか、ハローワークの求人情報を町のホームページから閲覧できるようにするなど、情報発信力を強化し、被災者の就職を支援する構えだ。

 被災地者=臨時雇用者=浸水地域及び復興予定地「地権者」という視点がないことに不自然な思いは当初からあります。外部からの学者やコンサル並びに復興支援職員等は直接的な「利害関係者」ではない立場から被災地からみると好き放題することが「復興を推進すること」のようにみのもんたを始めとするマスメディアの主観があるのではと感じています。結果として、安定した職(収入)が無い場合、そういうとても「復興」への協力などできないですし、「地権者」が東京等の外部の親族の場合はもっと「復興の推進」を臨みません。
 被災地に居住するものは今後の生活が懸かっているためですが、被災地に住まないものが「復興予算をより多く手に入れたい」ということなんでしょう。


東日本大震災:県復興工事の用地取得、8月末まで20%のみ 市町村街づくり計画遅れ /岩手− 毎日jp(毎

県発注による東日本大震災の復興工事で、162地区のうち8月末までに用地の取得を完了したのは20%の33地区にとどまっていることが8日、県のまとめで分かった。工事の基礎となる市町村の街づくり計画が固まらないため、用地取得交渉に進んだのは取得完了も含めて43%の70地区にとどまる。地権者の相続手続きが終わっていないケースも従来通り多数残り、取得作業の長期化の懸念が消えていない。【宮崎隆】
 県県土整備企画室によると、取得が終わった地区は工事の種類別に▽防潮堤や水門建設77のうち7▽道路53のうち6▽災害公営住宅32のうち20−−などとなっている。
 県はこれまで、全地区のうち139地区で土地の権利関係を調査。用地の取得契約を結ぶ必要がある4462件のうち▽抵当権の抹消手続きが必要686件▽相続手続き未完了658件▽所有者が複数存在214件−−など、34%の計1535件で、取得交渉の前に権利問題の解消が必要なことが判明。関係者の所在が不明などの理由から難航が予想されている。

 国は用地取得の迅速化に向け、土地収用法手続きの簡素化など既存の法令の範囲内で対策を打ち出している。しかし同室の小笠原隆行管理課長は「これから用地取得交渉が佳境に入る。迅速に進めるには被災地に限った特例法の制定など、さらに踏み込んだ対応が必要だ」と、国の対策に注文を付ける。

 毎日新聞のアンケートでは7月末現在、山田、大槌、釜石、大船渡の4市町で、住宅を高台移転させる防災集団移転促進事業の用地取得率は、面積に対して1〜37%にとどまっており、市町村でも用地取得の遅れが課題になっている。

 復興の問題は大都市における再開発事業の問題ともリンクする話で、「財産権」を如何に縮小又は消滅させるなのです。「年金問題」も「財産権」を縮小ないし廃止することで企業年金(大企業)の負担を軽減することが目的です。
 「財産権」を無効若しくは縮小させる「特例法」は災害認定された地域は「再開発事業がし易くなる」ため「国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)」には反対することになります。だってそのほうが投資家にとっては都合がいいんですし、内閣府が推奨するPFIを推進するためには「個人の私有財産権」は不都合でしかありませんからね。また、PFI公的年金を投資することも考えていますから、「復興」は「ローリスク・ミドルリターン」を生むものではなくてはならないということではないでしょうか。当然、「安く・早く」が求められます。
 
 

第一章 6 周辺化されたジョブ型「就職」

「標準労働者」に関しては地方で働く「労働者」の大半は「標準」ではありません。まして被災地での求人に大卒者が応募してるということもありません。
 被災地における「ジョブ」にしても、条件等で「地方自治体」の「有期雇用契約労働者」に進んでなっているのが現実の姿です。
 ハローワークも危惧する通り「事務職」を希望はしても「建設業」の経営者は「完成工事高(売上)」に寄与しない(入札に参加できない・現場を管理できない)方を採用することはありません。この部門を増す必要がないほど「生産性を向上」させたとも言えますが、「日本型高校就職システム」が機能しなくなっている面が表れているのかもしれません。

denzaemon @yumiharizuki12
本田女史が日教組に寄稿し職業科開設は金がかかることを認めている。「設置や維持の費用が比較的安価である普通科高校を増やすことが、財政面では得策だったのではないか。為政者は(中略)人々の普通科志向に乗じ、むしろ煽ってさえいたのではないか」 jtu-net.or.jp/2013/09/post-4…

職業高校政策の急旋回 本田由紀(東京大学大学院教授) 2013年9月2日

私が疑問に思うのは、その旋回があまりにも急であったように見えることだ。確かにこの時期、高校進学率の上昇に伴って、その後の大学進学可能性をもにらんだ普通科志向が保護者や生徒の間で高まってきていたことは事実だっただろう。しかし、上記の'71年調査においても、生徒の高校への満足度には普通科と職業学科の間でほとんど差はないし、'75年に文部省が企業に対して実施した調査では、職業学科の卒業生に対して産業界が高い評価や期待を寄せていたことがうかがわれる。

それにもかかわらず、「職業学科不要論」に近いような風潮が濃くなり普通科ばかりがこの時期以降に増加していったことには、何か別の背景があったのではないか。仮説のひとつは、'70年代後半に、大都市を中心とした8都府県において高校進学者数の急増が見込まれており、早急に高校を増設する必要があったということである。折しも、'73年の石油危機により、国や自治体の財政はきわめて厳しい状況にあった。その中で大都市に多数の高校を新たに開設しなければならないとすれば、設置や維持の費用が比較的安価である普通科高校を増やすことが、財政面では得策だったのではないか。
 為政者はそのような目論見を正当化するために、人々の普通科志向に乗じ、むしろ煽ってさえいたのではないか。そしてその陰で、特に地方において一定の厚みで存在した、高卒後の就職を希望する保護者・生徒や、地域経済を担う中小企業の、職業高校へのニーズは、ますます満たされにくくなり損なわれてきたのではないか。

 本田先生は為政者の問題としてとらえていますが、この時期は地方から大都市への流入が進みんだ結果として、人口の増加が見込まれたということや大学教育費の官民格差是正や専門学校も連動していると思います。
 地方においては、大学へ出したいという希望はむしろ都市部より強かったですし、霞が関においても地方出身者(大卒)の割合は増えていたと思います。その後の大都市の普通高校からの大学入学者数の増加がいくことで、都市と地方の関係が希薄になっていくこととも無縁ではないと思っています。
 また、問題は大学進学後に地方への回帰がほとんどない関係と職業高校の回帰が高い(但し、その学校の所在地周辺)ことが、中小企業への労働供給が減っているというのはあります。これが建設業は顕著なまでにでているので「供給制約」に至るのです。職業高校の統廃合により、少数ではあっても地元の中小企業への労働供給システムとしてか細く繋がっていたのが断たれました。被災地で顕著なのは、被災地以外の内陸部への就職希望はあっても被災地企業への大卒・職業高校からは皆無であります。労働供給システムと職の近接性き避けられないものなのでしょう。「職業教育」によって、中小企業の「教育・訓練」機能の補てんと労働者の有用性も確認するWIN WINの関係は、普通高校の教師の「実績」に対する評価要求と親の要求が結びついた結果だったのです。
 「希望学」に出てくる地元の高校を「大学みたいな高校に」という学校関係者とPTAの願望で「若者」と「中小企業」は混迷することになったのです。
 「希望学」がそういう意味では好ましくない方向性を与えた例でもあります。
 
最近の高卒者の進路変動

働く人間のワーキングプア化が社会全体にどういう問題をもたらしているかについて語り合ったのですが,そこで聞いたところによると,最近の高卒者の進路に変化がみられるのだそうです。どういう変化かというと,大学進学者の減少,就職者の増加です。

 親世代の所得が低下していますから,進学はさせられない,早く就職してくれ,ということなのかもしれません。なるほど。親世代の収入減(ワープア化)による,子どもの教育機会の剥奪という問題に通じます。

確かに,大学進学者は減り,就職者は増えています。就職者は2010年では16.7万人でしたが,2013年の春では18.4万人であり,増加倍率にすると1.1倍です。これは,ベースの卒業生数の伸びを上回っています。

 この傾向をどうみるかは,人それぞれでしょう,記者氏と私の関心に引き寄せていえば,「親世代の所得低下・ワープア化→子世代の教育機会の剥奪・不平等」という図式になりますが,「大学なんて行っても仕方ない,早く就職したほうがいい」というような,大学への見限りが強まっているとも読めますよね。表にあるように,大学と同じく学費がかかる専修学校への進学者は増えていますから。

教育機会の剥奪か,大学への見限りかという問題ですが,これら11道県の一人あたり県民所得(2009年度)の平均値は250万円であり,全県平均の255万円をちょっと下回っています。高卒者の「進学減少,就職増加」が進んでいるのは,所得が低い県のようです。

 ちなみに,横軸の大学等進学者の増減倍率と県民所得の相関係数を出すと,+0.520となります。所得が低い県ほど,最近3年間の大学・短大進学者の減少幅が大きい,という傾向です。就職者の増減と所得は無相関でしたが,教育機会の剥奪説を支持する材料は結構出てきます。東京や神奈川といった大都市では,大学進学者が増えているし・・・。

 しかるに,大学への見限り説も捨てがたし。記者さんの話によると,地方某県の進学校において,公務員試験受験希望の生徒が増えいているそうな。進学校でです。これなどは,「大学なんぞ出ても仕方ない。早く就職しよう」という意向の表れととれるでしょう。

卒業したら「センモン」行きます

大学院に行くのかなと思い,卒業後の進路志望を尋ねたところ,一人の男子学生は「センモン行きます」と明言してくれました。ここでいう「センモン」とは,専修学校の専門課程のことです。一般には,専門学校といわれています。

 専修学校は学校教育法第1条に規定されている正規の学校ではありませんが,大学等と並ぶ中等後教育機関の一つであり,実践的な職業教育を施す学校です。専修学校には,中卒者を対象とする①高等課程,高卒者を対象とする②専門課程,入学資格を問わない③一般課程がありますが,学生の大半は②に在籍しています。

 上記の学生は,デザインの勉強を本格的にやりたいとのこと。「でも,大学でやったことがもったいなくね?」と揺さぶりをかけてみると,「いやあ,大学の自由な時間の中でやりたいことを見つけられたんだから,別にいいっすよ。それに大卒の学歴もつくし」という答え。なるほど。そういう考え方もありますか。

その結果,入学者に占める大卒者の割合はアップしており,現在では6.7%,およそ15人に1人が大卒者です。これから先,この数値がさらに高まり,「専門学校は,大学での『自分探し』を経た青年に,実践的な職業技術を授ける学校だ」などといわれるようになるかもしれません。

 これは極端な予測ですが,大卒者の進路統計にも当たってみましょう。最近は,『学校基本調査』の進路カテゴリーが細かくなっており,「専修学校・外国の学校等入学者」というものが設けられています。このうちのほとんどは専修学校専門課程への入学者でしょう。

 労働供給システムの変遷はかなり進んでいるようです。
 学歴的な区分けでの採用を「若者」自身が否定しているということなのでしょうか。それとも「職業」に対する意義を見出しているのかもしれません。

 

 第3章 「入社」のための教育システムにおいて「教育の職業的意義(レリバンス)」の低さを嘆いています。でも「若者」は克服しようと努力を惜しんではいないようです。当時の「職業高校」統合・廃止には、「イエ(家業)」文化の断絶という目的もあったのではないでしょうか。大卒から「センモン」へというのは、「イエ(家業)」とは無縁の世代ということでもありますから、彼らの要求する「ジョブ」をどの様に用意するかが問われるのでしょう。「復興」のための人材確保は大変ですよ、被災地の企業にそういう意識はほとんどないからです。

 第7章 若者雇用問題への「処方箋」
 1 「全員ジョブ型」処方箋はなぜ難しいか?

 建設業は総合建設業(スーパーゼネコン・地場ゼネコン)は、「メンバーシップ型雇用」であり、専門工事業者は、「ジョブ型雇用」となっており、そういう構造が定着している産業においては、一定の賛成と反対があるでしょう。
 大企業でも企画管理部門と現業部門の在り方を明確に分離するということでは受け入れやすいのかもしれません。

 ただ、「建設業の供給制約」を説く「リフレ派の良心」は、技術者(建設業法等)「メンバーシップ型雇用」と技能工(職業訓練法)「ジョブ型雇用」の二重構造は理解して貰っていない節があります。土木と建築、電気設備、機械設備工事業者における、「一人親方」という存在についても理解がない。
 大学出身者の「技術者」と高卒等の「技能者」の不毛な対立(大半は、現場管理における作業内容の熟知度)により、「技術者」「技能者」双方が業界から去っていく傾向が強かったようですね。

 バブル崩壊後、あらゆる産業において「業者数が過大」であるという前提のもと建設業では「一人親方」並びに小零細業者の淘汰が行われてきました。ほとんどは専業ではなく一次産業との兼業者も多かったのです。そうして「ジョブ」は断絶していきました。
 
 「13歳のハローワーク」 「14歳からの仕事道」のような刺激的なものではなく現実的な「ジョブ型雇用」への道をどの様に開くべきかということで、交互に読まざるを得ないわけです。(正直、頭の整理が出来ないので、どこまで理解できるのやら)

 著者はどちらも厚労省出身でもあり、今後の労働力不足にたいして若年労働者が安心して働ける社会を願っており、元・下請事業者においても社会保険・労災等の恩恵を付与すべきであり「作業員→熟練職人→一人親方→作業員雇用の親方→起業(建設業者)」という流れを整備し直さないと「社会保険料等・税金」の脱法手段として「若者」が利用されることを危惧しています。解雇自由が叫ばれる寂しい世の中ではありますが、本来は「スキル(技能)」をどの様に評価すべきか、どのように習熟させるかなのでしょう。

 「18歳の一人親方」という未熟練労働者・経営者の存在を労働法に限らず税法や建設業法でも身分を正当に認知していない経営者にとっては、「社会保険・消費税増税」を免れる方法に目が無いようです。「ジョブ型雇用」は金がかかるとでも言いそうですね。 

建設業の社会保険加入と一人親方をめぐるQ&A

建設業の社会保険加入と一人親方をめぐるQ&A

 

P70 第2 一人親方に対する国税庁の対応
 国税庁は、「大工、左官、とび職等」の一人親方個人事業主を対象に税務調査を実施しています。
 「大工、左官、とび職等」に対する実態調査の結果、労働性が強く労働契約であると認められた場合は、本来の雇用主に対し過去5年に遡って源泉徴収が命じられる可能性があります。(悪質な場合は7年。所得増加分追徴課税)。雇用主は労働者に対し源泉徴収した税金分を徴収することになります(徴収できなければ即ち、事業主負担となる)。

 一人親方個人事業主に対する税務調査は今後ますます徹底される可能性があり、安易に一人親方個人事業主に移行する機運に警鐘を鳴らしていると言えます。

 被災地では実際に8月から9月にかけて、仙台国税局・盛岡税務署・釜石税務署がそれぞれ、税務調査を実施いたしました。震災後の2ヵ年の決算での調査は異例と言えるでしょう。ですが、巨額の「復興予算」の適切な会計処理や個人事業主に対する税務調査(指導)も行われるなど、国税庁は上記の通り、適切な雇用関係の在り方や納税等について活動しているのです。