津波被災の記録122

 2年5ヶ月が経過いたしました。8月11日は、被災地では花火が打ち上げられていたようです。(僻地なので音しか聞こえません)

追悼の一斉花火「ライトアップニッポン」、今年も開催へ−三陸では9カ所で

日本大震災の被災各地で8月11日、追悼の花火を一斉に上げるイベント「LIGHT UP NIPPON(ライトアップニッポン)」が開催される。

 震災後の毎年8月11日に、被災地に希望を与える目的で、岩手・宮城・福島の被災3県で行われてきた。今年は北海道の小樽を含む全15カ所で開催。太平洋沿岸の三陸地域では、野田村、宮古市田老地区、大槌町、山田町、釜石市、大船渡市越喜来地区、陸前高田市気仙沼市南三陸町で行う。

 一口1,000円の募金で集めた資金で運営する同イベント。クレジットカードや銀行振込のほか、ポイントカード「Ponta」のポイントからも募金できる。7月11日現在の募金額は2,500万円ほど。

 祭礼がイベントに変えられることで、「郷土」への郷愁は失わせていくのが「新しい公共」の務めと言う事を噛み締める辛い日でした。
 
 マシナリさんがお買い上げいただいて日本化するアメリカとアメリカ化する日本

一部のリフレ派と呼ばれる方々が口では所得再分配の拡充が必要といいながら、市場の効率化とか規制緩和とかを強硬に主張する

と指摘されています。具体的には下記の通り、リフレ派は狂気を帯びています。

第十二章 住宅、銀行、融資、借金、破産、差し押さえ、失業、通貨・・・収拾のつかない混乱

経済を刺激せよ! 

バラク・オバマ大統領は経済を活気づけるために、7000億ドル以上の景気刺激策を打ち出した。これによって、ブッシュ政権が生み出した経済のフリーフォールは、何とか歯止めがかかった。オバマの経済チームは、「不況はモノやサービスに対する需要の落ち込みであり、それが企業や労働者の所得減少、失業、マネーサプライの縮小という悪循環を起こす」というケインズの経済理論に従ったのである。
 ケインズ流の解決策は、落ち込んだ需要を刺激するために、政府が赤字財政を実施するというものだ。

 つまり赤字財政支出が、ケインズ経済の答えなのである。
 こういう経済政策は、ニューディール政策以来容認されてきた。1930年代以降、レーガンもブツシュ親子も含めどの大統領も、経済の落ち込みに出会った時はこの政策を使った。ただし、赤字財政支出というのは国家レベルでは可能だが、多くの州では予算は収支のバランスを取ることが憲法によつて規定されている。つまり、税収が落ち込めば歳出も減らさなければならず、ケインズの提唱する道とは逆の方向に向くことになる。

第十一章 よい時代がいつなぜ悪くなっていったのか
では

ゲームの大詰め

 2008年、富が庶民の間に滴り落ちるはずの「トリクルダウンの殿堂」は、一夜にして崩壊した。
 略
 しかし、経済界には「黄金律」というのもがある。つまり金を持っている者がルールを作るのである。政府は国民の税金から7000億ドル出資して銀行を救済した。「ウォールストリート」のためにほぼ破滅させられた「メインストリート(中産階級)」が「ウォールストリート」を救済したのである。貧しい者が金持ちを助けることになった。
 こうなったら「サプライサイド経済」、「トリクルダウン」、「減税」、「格差是正反対」、「民営化」、「規制反対」などを擁護する人間はさすがにいなくなっただろう、とみなさんは思ったかもしれない。
 ところが、彼らはこの窮地にあって、さらなる民営化、規制廃止、減税を要求している。これまでと同じことをやりながら奇跡を待つつもりらしい。誰でもわかるように、これは正気とは思えない。


防潮堤に囲まれる町

そういえば、朝日新聞の記事で発言されている大棒さんは地元の方ですが、気仙沼について語っている田中さんは地元の方ではありませんね。威勢のいい行政批判がどのような文脈で生まれるのかという事例としても、朝日新聞の記事は興味深いサンプルだと思います。

これに関しては、ブクマで書いてましたが、

護岸(防潮堤)工事より生活支援に復興予算を回すことを大槌町支援の「新しい公共」が唱えているらしい。漁家の生活再建は必要が無く、生活支援で配布で終了するため都会から声を!!という趣旨をラジオで扇動してます

という動きがあり、今後ますます混乱することが予想されます。あまりにも外部の「新しい公共」による関与がかえって被災地復興を阻害しているのではないかと感じています。

岩手県整備の被災防潮堤や水門 19施設が最大2年遅れ

大槌町中心部の町方地区を守る大槌川と小鎚川の防潮堤と水門、釜石市の甲子川の水門など7カ所は、予定より2年遅い17年度の完了、大船渡市の大船渡港海岸の防潮堤と水門など12カ所が16年度の完了を見込む。
 県によると、相続人が多数いたり、所有者不明の土地があったりして用地取得に時間がかかっている。液状化、耐震などに国が新しい設計基準を設けたことや、資材、作業員の確保の難しさも一因という。
 県復興局によると5月末現在、全復旧・復興事業の取得予定地4518件のうち、約4割の作業が滞っている。担当者は「復興計画が遅れる最大の要因は用地の問題だ。国は取得が難しい土地の管理・処分権限を市町村に与える特例措置や、土地収用手続きの迅速化を認めてほしい」と話す。

憂楽帳:コンクリートから森へ

「画一的にコンクリート防潮堤工事が進められている」「先行すべき住民の生活(高台移転)や街づくり計画が後回し」。筆致は古里の将来を憂える。まだ肌寒い2月に現場を案内してくれた日置さん。「コンクリートと森のどちらが良い悪いではなく、それぞれの地域に合った防潮堤があることを正面から議論したい」という一念でしたためたという。
 「コンクリートから人へ」は挫折したが草の根は生きている。

温暖化:サンゴ礁など沿岸生態系破壊で高潮の被害面積倍

高潮被害を防ぐには護岸工事が一般的だが、沿岸の生態系を壊す場合が多い。チームは「生態系の保護や再生を進めることが、沿岸の住民の生命や財産を守るのに非常に役立つ」と提言している。

 被災地の「安全」と「なりわい」の再建を考えると、現地再建しつつ50年後・100年後以降の再建場所(権利関係を整理した)を分離したほうが早いのではないかと考えています。東日本大震災の被災地のみならず再開発事業も含め「権利関係の整理」は「財産権」の問題ですので容易に解決はできないのです。今後、被災地と成り得るまたは再開発をする場合、権利関係を整理した用地(国有地・自治体所有地)を確保しておくことが急がれるのではないでしょうか。遊休地と言われないために、その間は太陽光発電用地として貸し出すのも良いでしょう。ただし、危急存亡の際は、直ぐに撤去可能である必要がありますが。

 「国土強靭化」(全土で防潮堤嵩上)を否定するけど、温暖化で海面上昇を言う以上、「国民の生命・財産を保護するのは国の責務」。でもリベサヨは生活支援で金配って後は自己責任で対策しろってスタンス。 

 巨大な防潮堤が津波対策だけに必要なのかというと、巨大な防潮堤を望んだ、釜石市の町内会はそのため権利者の説得と情報伝達を行ってました。行政に要求するためには自ら合意形成のため動く「古い公共」の力の差が出たのかもしれません。