津波被災の記録116

 被災から2年と3ヶ月目となりましたが、特に進展はありません。
 いまだに、「復興が遅れている」「復興予算の流用」については定期的に上がっていますが、物理的な理由や権利問題を少しでも理解すれば「復興が遅れている」というのは、普通の感覚では言えないわけです。ではどうして上がるかと言うと、「大都市への還流が進みやすくなる」と言うことに尽きると思います。
 岩手・宮城内陸地震等による予算の傾斜がどれだけ他の地域に深刻な不況を齎すかも書いて、「復興予算の流用」は問題がないと言っても、だめですね。「復興予算の流用」批判は、大都市圏への還流の促進を要求しているってことが、わからないんですかね。

タナカタケル @Takeru_Tanaka
被災地以外の自治体の復興予算流用の何が問題かって「これ復興に関係ないから申請しちゃまずいよね」という考えに至らないどころか「うまく理由こじつけて余計に予算ゲット(゚Д゚)ウマー」ってなってることだよな。誰もおかしいと思わなかったのだろうか。復興予算流用事案まとめでも作るか?

タナカタケル @Takeru_Tanaka
まとめました。/復興予算の流用・便乗問題まとめ matome.naver.jp/odai/213682546…

朝日新聞仙台総局 @asahi_sendai
予算を組んでみたものの使い切れなかった予算が、宮城県で膨大になっています。2011年度から繰り越され、今年度中に使わなければならない「事故(事業?)繰り越し」は、過去最大の926億円になっています。ow.ly/lPAgg

june @june0s001
前年度予算の繰り越しについては、今回の旅でも耳にした。明許繰越した予算も使わないといけないのに、次から次に補正が組まれ、予算が肥大化。マスコミは、復興予算の増大=復興の加速という風に伝えているが、一概にそうとは言えないのでは?金はあってもリソースなしじゃ、執行進まんのよ。>RT

Jinno Mikinari @jin0210
とある東京人から「巨額の税金に寄生している身分で、偉そうに『町作りに自分たちの意見を全部反映させろ』と言い、それでいて住民内の合意形成すら自力でしようとしない無気力な町や住民なら、復興なんかさせずそのまま潰してしまえ。東京に集約した方が効率的だ」と言われ、激怒して喧嘩になるの巻。

Jinno Mikinari @jin0210
まあ色々な考え方があるんでしょうし、民主主義ですから否定はしないんですけどね。私は復興頑張りますよ。効率とか生産性とかも判るけど、自分の郷里を愛する心を失ったら、それは日本人じゃないでしょ。私が町田や名古屋が好きなように、ここの人は大槌を好きなのだから、そこは叶えてあげたい。

Jinno Mikinari @jin0210
そりゃ確かに役所の組織が万全だとは言えないし、住民から「地元職員の顔が見えない」とか言われたりもするが。目の前で40人以上の仲間が流されて、家や家族や友人を失ったりして、そこからずっと先の見えない復興に向けて働き詰めで二年過ごして。正常なメンタリティ維持する方が難しいわ。

Jinno Mikinari @jin0210
それを、同じ被災者の方ならまだしも、遠方の安全なとこにいる人間が「震災で鬱なんて甘え」「その程度の想いの町、復興させずにさっさと潰してしまえ」とは何事かと。口先だけの人間に偉そうなこと言われたくない。

3つの所感

ーーー 「町民が」という主語

いろんな立場の人の口から、
町民の、とか町民が、とかいう主語の言葉を聞く。
例えば、「こういう復興計画は、町民の意見をきいて作った」とか、「いや、現在の計画は町民の意見があれば、まだ考える余地はある」とか、と言う話。

あるいは別の立場の人々は、「町の計画や合意形成には、町民の意見は反映されていない」というかもしれない。

だが、ここでいう町民というのはだれのことか。
これは法人のような、ひとつの意思ではない。

また、「どの時点の町民」を指しているのか、ということも重要だ。

私は、数少ない人々の声を聞いて、1年前と現在では状況が見えてきて復興の選択肢について意見を変えている人もいるだろう、と想像する。 1年前の時点で私はそれを予想した。被災地であるからこそのことである。当初は災害優先、そしてそれを優先するほど復興は遅れる、さらにはまちがまちらしくない、あるいは元の環境との大きな差に驚く、などなど。

この町民の代表性、あるいは全体像の提示という点は、何によって見えるだろうか。
町長や議員、メディア、学者、町民自身が使う「町民」というのは、何なのだろうと思ったので書いてみた。

災害地に区画整理事業はありえない。

頑張れる人は帰り、頑張れない人は離脱する。

その原因を作っているのはなにか。

それは、もともと無茶な計画にある。
そして、状況を認識していない住民・地権者にある。

繰り返すが、この状況を創りだしたのは、この町の政治(町長+議員)であり、住民である。被災直後はそれどころではなかった、と住民は言うが、その後の応援職員の状況を見れば、それは言い訳にすぎなかったということになるのではないだろうか。

 SUMISUMI先生の指摘は正しい。ただ「被災者様」という意識を形成させた「新しい公共」達が住民(被災者以外の地権者)に情報を伝えなかった。全く情報は遮断された中で計画が出来上がっていった。地元の地権者が反対する以上に被災地外の地権者の親族の介入をまったく考慮していなかったのです。
 福島県の事例では、本家・分家等が現在は北海道・関東・近畿等へ離散している状況で、権利関係は当初「本家」に集約して、金銭的な分配にとどめる動きが一般的でありました。これは「津波てんでんこ」の続きとして「土地・山林等の相続は一人が相続する」という不文律があります。自分の家も明治・昭和の津波で流失しましたが、「相続(権利者)は一人」にすることで、再建を速めるというものです。
 こういう口伝の類も日弁連の皆様の努力により「民に対策あり」としての「リスクマネジメント」を失うように努めた結果が「被災地の復興を遅くしている」のです。応援職員の自殺の遠因の一端ってすごく難しいですよね。
 福島県の事例は第2回目以降の会議から一変します。本家への権利集約が「土地は無価値(帰宅困難地域)」という評価ゼロだからが、東京電力からの賠償金の根拠になるとなった時から、「共同名義」を主張しはじめて、収拾がつかなくなります。被災地に残らない者達による「権利」を守るために、「復興予算の繰越」を批判して、(俺達(大都市)に金を渡さないなら)「復興予算はムダ」というのを数年間聞かせれ続けるのって精神的に厳しいものですよ。そんなに田舎で金が廻るのが気に入らないとは。
 
こーわたあめ劣情 @nnjueq21112
河北新報 3年目のボランティア(上)自立への歩み、下支え/長期取り組みに軸足】「全国社会福祉協議会(東京)は「遠隔地からのボランティアに頼り切るのではなく、地元で継続的に支えられる仕組みづくりが必要な時期に来ている」と話す」 kahoku.co.jp/spe/spe_sys107…

こーわたあめ劣情 @nnjueq21112
河北新報 3年目のボランティア(下)与える支援、転換必要/生活の再建、後押しを】「「外から来たボランティアは一時的なサポートが役割。事業継続には地元が実施する形が望ましい」と話し、被災地の自立に向けた今後のボランティアの在り方」 kahoku.co.jp/spe/spe_sys107…

佐藤賢一の中の人 @ke_1sato
終わりの時期を決めないボランティアは、結局破綻する。地元密着型の事業化しかないでしょう。継続するのであれば。これも震災当初、一年以内あたりから言われてきたこと。 

 shin @moriokahiguma
.@layujie さんの「「森の防潮堤」構想と宮脇昭氏への土木工学的観点からの批判(2012年3月-6月)」をお気に入りにしました。 togetter.com/li/359591

佐藤賢一の中の人 @ke_1sato
「被災地全体が興廃してしまったら」というコメントを頂きましたが、まあ、例えは悪いですが、国家経済が破綻したギリシアにある古代遺跡は無意味か?と同じような問いですな。そのような価値観とこの話題は、独立.. togetter.com/li/515208#c111…


 アベノミクスの三本の矢が出そろって、株価が急落して何だかあぶないとか「矢は一本しか無い派」は、相変わらず消費税で景気が悪くなるとか、復興税は廃止しろと被災地復興をする気が無い事を声高らかに宣言し続けています。
 復興特別法人税は、平成24年4月から平成27年3月までの3年間に通常の法人税率に10%を上乗せされています。中国25%・韓国22.5%の法人税率より高いとなっていますが、国税分については平成23年度に4.5%引き下げ(減税)して25.5%となっています。東日本大震災により、10%上乗せしたため国税分の法人税は28.05%になったのが「復興増税(法人税(国税分))」の流れですが、3年間ですので平成27年4月から震災以前の25.5%(4.5%引き下げ(減税))となります。大企業の税負担は解消されて、財政政策(減税)が全国適用されるわけですが、「3本目の矢」の戦略(復興)特区に批判があるのは、こういう流れによります。つまり減税先行の効果を求め、消費税の平成26年4月1日からと平成27年10月からは、法人税(国税分)減税とのバーターということが明らかなわけです。(但し、地方法人税率は別途加算のため財源を別途用意しなければ、地方自治体が減税できないため地方消費税率による財源確保か特区により調整にならざるを得ません。)
 復興法人税(国税分)が廃止するころから、復興特別所得税(25年)・個人住民税(均等割1000円増額(10年))の流れは、「企業負担から住民負担へ」の流れに沿うもので、ネオリベ・リベサヨな方達の要求通りの課税と言って良いでしょう。
 平成25年度税制改正所得税最高税率が4,000万円超は45%と5%増えていることと、給与所得控除1,500万円超は245万円を上限とするため、給与等の収入金額が1,500万円超は増税です。ここで「矢は一本しか無い派」にとっては、株式の譲渡所得の課税が平成25年度は所得税7%+復興特別所得税0.147%+住民税3%=10.147%となっていますが、平成26年度以降は所得税15%復興特別所得税0.147%+住民税5%=20.315%に変わるため本年度内に株を売却した方が有利ではないかと考えられますので、
株価が乱高下するのもアベノミクスのせいではなく、「矢は一本しか無い派」の欲望によるところ大の結果でしかありませんから、復興特別税による配当所得や譲渡所得への課税強化に対する反発が強い「矢は一本しか無い派」の所得構成が浮かび上がってきます。

 「2本目の矢」は現在のところセットはしたけど、飛んでいません。念のため地方公務員が給与削減の恨みでサボタージュしているわけではありません。
 
増える公共事業、民間資金の活用もカギに 2013年6月10日号20130607日経コンストラクション

さらに、多くの都道府県では、今年の2月から3月にかけて12年度の補正予算を組み、13年度当初予算と合わせた「15カ月予算(正確には、時期によっては14または13カ月予算)」として編成しています。これを12年度当初予算と比べると、6割の都道府県で投資的経費が20%以上増加していることが分かりました。

 予算の中身を見ていくと、自治体の公共事業は国からの手厚い補助が支えている様子が読み取れます。新設した防災・安全交付金や、以前からある社会資本整備総合交付金が交付されるほか、本来は自治体負担となる事業費の一部にも、地域の元気臨時交付金が充てられます。公共事業が急増しても自治体の負担はほとんど増えない仕組みが整えられているのです。

予算執行については、被災地ですら4〜6月上旬は停止状態に近かったでしたので、2本目の矢「財政政策」は6月下旬頃との話もあります。飛んでもいない「2本目の矢」を封じるために、「3本目の矢」を批判しているようにしか感じられないですし、「復興予算の流用」批判も同様の流れだと思います。