津波被災の記録100
紙面抜粋(ネットは非掲載。リンクはNHK)岩手日報20130125
グループ補助金採択事業所県内初の破綻 負債5億円超
宮古市津軽石の水産加工業吉儀商店(資本金3000万円、吉田毅社長)は盛岡地裁宮古支部に自己破産申請し、24日付で破産手続き開始が決定した。東京商工リサ―ス盛岡支店によると、負債総額は約5億8千万円。代理人弁護士によると、債権者は約65人。震災の津波で本社工場なとが被災し、グループ補助金の認定を受けたが、資金不足から事業再開を断念した。同補助金の採択企業の自己破産申請は県内初。県内の補助金交付企業は900社近くに達し、採択後のきめ細やかな支援が課題となっている。
同支店によると、吉儀商店は1912年創業。自社開発の「カットワカメ」で販路を広げるなど、ピークの98年6月期に年商6億1千万円を計上した。競合の激化などで2010年6月期は年商が2億6千万円に減少。
11年3月期の震災で全設備が被災し、事業休止した。従業員29人は震災後に解雇していた。
被災後は市内の4社で「海藻高度加工研究事業化グループ」をつくり、同年8月に第1次のグループ補助金に採択。同商店には約4千万円の交付が決まっていたが、自己資金不足などから事業再開は遅れ、補助金は受け取っていなかった。
同一グループで事業再開済みのメカブ加工業柳沢商店は「吉儀商店と取引はなく、影響はない」と説明。県によると、今回の倒産がグループの他の構成企業の補助金に影響を及ぼすことは基本的にはないという。
県内の震災関連の倒産は吉儀商店を含め36件。同支店はグループ補助金について「成功事例が圧倒的に多い制度だが、従来体力が弱い会社は残りの自己資金が重荷になる可能性もある」とみる。
県経営支援課によると、採択後も事業を進められず、まだ補助金の交付を受けていない企業が「第1次でも数社はある」という。
審査ではグループ構成企業の個々の財務内容まで厳しく問うていない上、県内の補助金交付決定先は882社やまで増加している。
同課の高橋雅彦金融・商業まちづくり担当課長は「企業数も増えてきており、関係機関や金融機関とともにきちんとフォローしていきたい」と話す。
宮城県では昨年に破綻した採択事業所が出ていますので、不思議ではありません。
実は、1次〜3次採択企業の施設・設備の補助金算定の根拠となる建設業者等からの見積が、時間経過とともに乖離し、資材や工賃の高騰により、自己負担額が増大したことによります。これは補助金が物価高騰に対して、(インフレ)スライド条項等の措置が取られていない為です。また、二重ローンの解消に消極的な対応などにもよる複合的な要因に拠っていますので、行政の調整が必要と言えるでしょう。
ただ、グループ補助金で全てが解決するような話をしていたツケもあり、運転資金等に対する手当までが保障されていたわけではありませんから、経営者自身が経営内容を把握する時間を採択後に研修させることも必要だったかもしれません。
宮城県は財務内容や経営状況分析を行わせてチェックしてました。この辺りも含め制度の修正は必要なんでしょう。(厳格に遣れば、補助対象から漏れるだろうなあ)
表面には出ていませんが、先に述べた理由も含め自己資金25%分では済まない事例が多々あります。釜石流通団地水産加工業協同組合のグループ補助金による冷凍冷蔵施設の復旧工事を請け負った市内のゼネコンが数千万円の損失を受けたとの話もでています。補助金が認定されても検査で減額されたツケを業者に転嫁したのかもしれません。まあ、水産加工業協同組合には水産庁からも補助金が入っているため、昨年末の検査はかなり厳しく指導した模様です。
ですから、補助金貰って活動してくれないのは、ダメなんです。貰うのが目的だけの方をメディアで持ち上げ「俺には何でくれない」と叫ばせるのは国民の皆様からの税金を適切に使わせていただくためには困るわけです。「復興予算の流用が怪しからん」とか言わせるのは迷惑な話なんです。
1次採択では、複数のグループが県の指導によって統合して採択となりました。
以前にも書きましたが、「グループ補助金」は「事業協同組合、事業協同小組合もしくは協同組合連合会、協業組合又は商工組合や商工組合連合会等」を組成するか既存の組織を活かすことを条件としていますから、「宮古水産加工業協同組合」の組合員となって、「共同事業(震災以前に採択された他省庁の補助事業そのものの場合もあり得る)」を「部門管理」で行っていないと補助金返還となる恐れが高まりますが、倒産した場合は「(共同事業が継続できれば)基本的には影響がない」となるのでしょう。
それにしても民商(共産党)案件でもあるので、信用生協の貸付もできないような状態だったのだろうか?
大多数の中小零細企業は津波適用の損害保険や共済には入っていませんでした。民商の共済が支払われたのであれば、資金が無かったわけではないような気がします。(ただし、額にもよりますが)
なお、貸付制度が無かったなどというのがありますが、別紙1・2には、高度化スキーム貸付制度(中小機構)の利用について申請時に書ける様になっています。
宮古・山田地域水産加工業グループ
宮古市水産物残渣有効利用共同体
宮古水産加工業協同組合(宮古市)
宮冷グループ
㈱宮古製氷冷凍工場(宮古市)
㈱おがよし(宮古市)
㈲マルヒロ(宮古市)
田老運送㈲(宮古市)
三陸の海藻高度加工研究事業化グループ
㈱吉儀商店(宮古市)
㈱シーフード(宮古市)
フードパック㈱(宮古市)
柳沢商店(宮古市)
宮古水産冷凍加工復旧促進グループ
㈲大井漁業部(宮古市)
㈱須藤水産(宮古市)
㈱キョーエイ(宮古市)
共和水産㈱(宮古市)
㈲小が理商店(宮古市)
㈲小が富商店(宮古市)
KIKグループ
㈱川秀(山田町)
㈱伊藤商店(大槌町)
近藤物流㈱(宮古市)
宮古・山田マリンプロジェクト
㈲木村商店(山田町)
㈱川石水産(山田町)
山田の牡蠣くん(山田町)
鈴木商店(宮古市)
古須賀商店(宮古市)
山根商店(宮古市)
三五十(山田町)
㈲まるき水産(山田町)
㈱びはんコーポレーション(山田町)
山田水産加工鮮魚出荷連合会
㈱丸一水産(山田町)
大和水産㈱(山田町)
㈲長根水産(山田町)
マルヨ産業運送㈱(山田町)