自民党のアジェンダ(リフレ政策)に向けての取り組み

財政規律重視へ布石/公共投資地域活性化に重点配分/政府の財政諮問会議と財務省20130124建設通信

 大規模な財政出動による緊急経済対策に道筋をつけるとともに、2%の物価上昇率の目標を明記した共同声明を政府・日銀が行ったことで、政府は2013年度予算編成から、財政規律重視の方針を色濃く出し始めた。財政再建に舵(かじ)を切り直す推進役が財務省で、政府方針として打ち出す場が、経済財政諮問会議という構図だ。22日の諮問会議で提示された13年度予算編成基本方針案でも、21日に公表された財務省財政制度等審議会の報告内容が反映された形となった。
 経済財政諮問会議は、日銀の金融政策決定会合の報告、13年度予算編成基本方針案、今後の検討課題について議論。会議後、甘利明担当相は、「麻生副総理・財務相から、厳しい財政状況と国債信認のため、いまから財政健全化に取り組むべき。財政制度等審議会からも政府は機動的な財政出動はするが、中長期的には財政健全化に取り組むべきとの報告がされており、この考え方を諮問会議でも反映してほしいとの発言があった」ことを紹介した。 麻生財務相が今後の財政運営方針への反映を求めるために引き合いにした財政審の報告は21日にまとめられたもので、財政規律を重視し、予算の重点化を求めたもの。具体的には、年間1兆円ずつ増加する社会保障費のほか、公共事業にも言及していた。
 特に公共事業の費用対効果として「B/C(費用便益)1以上は必要条件であって十分条件ではない」と明記した上で、重点投資すべきとした。事実上、B/C1以上が公共投資の対象としながら、条件を満たしても、財政状況によっては必ず投資をするものではないことを示唆した格好だ。
 13年度予算編成基本方針案では、これまで政府が主張してきた、緊急経済対策との一体的編成、いわゆる「15カ月予算」で景気の底割れ回避とデフレからの早期脱却、成長力強化の考え方が盛り込まれた。一方、財政赤字の拡大を避けるため財政に対する信認確保の項目も明記している。 その上で、歳出分野の留意事項として、公共投資について「投資効果の発現や民間投資の誘発などの観点から、真に必要な事業を積み上げる」「国民の安全を守る老朽化対策や防災対策など現下の優先課題とともに、国際競争力強化や地域経済の活性化につながる未来への投資に予算を重点化する」とした。
 財政審がまとめた報告書や、経済財政諮問会議での麻生財務相の発言、財政諮問会議の民間議員が22日の会議に連名で共同提出した▽予算の重点化・メリハリのある予算▽PDCAサイクル確立−−の考え方の提示など、経済財政運営をめぐる考え方は財政再建に大きく傾きつつある。
 安倍政権としては、発足時に打ち出した▽大胆な金融政策▽機動的財政政策▽民間投資を喚起する成長戦略−−という「3本の矢」のうち、大型補正予算案の閣議決定、日銀との共同声明によって“2本の矢”を放ったことになる。そのため、財政規律を重視する財務省が、21日の財政審報告書、麻生財務相発言などを通じて、今後の経済財政運営を行うため早々に財政再建の布石を打った形だ。

自民品確議連/公共工事新法制定へ1月29日に検討委発足/地域建設業の存続柱20130125建設工業

 自民党脇雅史参院国対委員長は24日、「公共工事の品質確保に関する議員連盟」(品確議連)の中に、公共工事の調達に関する新法を検討するための委員会を29日に発足させることを明らかにした。新法は、法律の目的として、適正な価格での契約と品質の確保に加え、地域の建設産業の健全な存続への配慮を規定することが柱。法案の内容を委員会で検討し、政府が法案を国会に提出する「閣法」での早期制定を目指す。29日に開く委員会の初会合には、国土交通、総務、財務、農林水産など公共工事に関係する省庁の担当者も出席する予定という。
 脇氏は24日、日刊建設工業新聞などの取材に応じ、公共調達について規定している現行の会計法令について、「お金を扱うためのテクニカルな法律であり、理念がなく、目的も入っていない」と指摘。「これまで公共工事会計法地方自治法を原則にやってきたことがおかしかったのではないか。こうした法律体系自体に間違いがあったと見るべきだ」との認識を示し、公共工事の調達について規定する新法の必要性を重ねて示した。麻生太郎財務相太田昭宏国交相新藤義孝総務相が趣旨に賛同していることも明らかにした。 公共工事入札の現状を「単純に競争することが正義だという価値観になっている」とした上で、「建設業や公共事業が本当に不要であればいいが、そうではない。災害時や非常時も含めて建設業界が健全でいることが必要だ」と建設産業存続への配慮が不可欠だとの考えを表明。「デフレ下で(現行法のまま)執行していけば、建設業界がつぶれていく。現状でも技能労働者がいなくなっている。未来への展望を示さなければ若者も来ない。間違った法律を根本から変えないといけない」と訴えた。
 さらに、デフレ脱却や国土強靱(きょうじん)化に向けた中期計画の必要性にも言及。「財政出動で公共事業をやる以上、計画的にやらなければならない。第1次デフレ脱却5カ年計画というようなものを作らないといけない」と指摘した。国の借金がさらに増えることについては「デフレを脱却してGDP(国内総生産)が増え、インフレが進むと借金は縮小する。緩やかなインフレにして返していくしかない」との認識を示した。

 五十嵐法政大学教授の推奨する「公契約条例」が、建設業を含めた公共投資乗数効果を減殺させ、不適切な競争(入札案件が実施しても赤字に意図的に設定する)を扇動し、市区町村長・議会・自治体職員による民間活力を殺ぎ落とし、労働者の賃下げを強要し続ける責任を免責し、デフレを推進して地域の共同体を困窮させていくのとは違う考えであります。

 自民党のリフレに向けた第一歩への考え方と姿勢としての法律策定で、「公契約条例」を含めた「自治基本条例」(既存の共同体を破壊する)に対する抑止までを見据えているのではないかと考えられます。アベノミクスという独り歩きの単語とは違い、アジェンダ(政策及び取組むべき課題)としての、リフレ政策をどのように実行するかやそれがどのように社会に与える影響についても内部で論じているのはどこぞの党とかネットでの議論とは次元が違います。

 金融政策の効果や財政政策の有効性を高めるためには、「賃金が上昇する期待」「安定した職場」の整備が欠かせないと麻生財務相以下が共通認識をもっていることは非常に心強い限りです。財政健全化についても、持続可能で緩やかな経済成長にすることで長期的な解決(マイルドリフレによる縮小)をしようとしていることが伺えます。
 
 リフレ政策を本当に実施に向かわせるには、様々な法改正の整備も含め各省庁間の根回しや関係団体、国民全般に対する理解を深めるための実例を提示していかなければいけませんから、時間がかかるのは当然です。アベノミクスと言う単語で誤魔化しながら、実体をその間に構築しなければなりませんから、非常に微妙で難度の高い政治手腕が求められることでしょう。ただ、この代償としての構造改革規制緩和や減税要求を調整・実施することとなるでしょう。(HALTANさんは、この難しさゆえ失敗するだろうと見ている。)
 
 国債=金持ちの金が不当に国家によって使用(公共投資)されて、トリクルダウンによって金持ちの利益にすがるのが新自由主義とかいうリベサヨな方達からすると、サステナブルを全面否定して「共生社会」がというのが単なる切捨てでしかないのは自明なことでしょう。

追記
安倍政権が決定した公共事業投資は本当にバラマキではないのか!? 〜24年度補正予算の課題を整理する

 民主党みんなの党を推奨するリフレ派の方達はこういう思考しかできないのに称揚していたんですから、いまさらながら呆れてしまいます。
 事前チェック(妥当性検証)と事後チェック(内部監査)は似て非なるものです。きっと一緒なんだろうな。バラマキ批判による事業仕分け公共投資乗数効果を弱めたのに、今回も民主党は経済縮小のために国会審議に向かいますという宣言はすごいなあと思います。そうそう、中道を無くして「共生社会」というなの焦土社会の構築が民主党の方針だものね。

追記2

島本 秋 @sankakutyuu
リフレ派はよくクルーグマンの、不況は仕事が不足して労働者のスキルが磨かれず、人的資源が朽ちるから問題だという文言を引用するけれども、ベーシックインカムで家で寝てても人的資源は棄損されないのかい?

島本 秋 @sankakutyuu
すりらんかのような経済学者が土木を減らせ減らせというために土建屋が死んで供給制約に陥るようになったとさ()

島本 秋 @sankakutyuu
そもそもアレらは土建が効いても効かなくてもとにかくやりたくないのであって、供給制約ガーっていうのはおかしいと思う。俺は土建がとにかく嫌いであんなもんで市場を汚されるのが辛抱たまらないんだと正直に言ってほしいものだ。

 すりらんか=飯田泰之氏が、被災地の市町村長と対話するシノドスで、財政政策(公共事業)を否定する話をして、同意を取り付けるように話を誘導するのはそういうことなんだと感じてます。