津波被災の記録82

復興釜石新聞2012年9月29日(土)
釜石市 上中島復興住宅整備推進へ
新日鉄新日鉄都市開発と覚書

 釜石市は27日、上中島地区災害復興公営住宅の整備に向け、新日本製鐵、子会社の新日鉄都市開発の両社と覚書を締結した。新日鉄の所有地に新日鉄都市開発が復興公営住宅を建設し、市がこれを買い取る方式で、210戸を整備する計画。1期分の50戸は10月中に着工し、2013年度上期の入居開始を目指す。

 市役所で行われた覚書締結調印式では、野田武則市長、新日鉄の内田勇人総務部長、新日鉄都市開発の吉沢恵一不動産開発企画部長が復興公営住宅整備について協力を約束する文書を取り交わした。
 野田市長は「住民の目に見えるかたちで進むことは明るい希望になる」とあいさつ。内田総務部長は「市民生活やまちの復旧、復興に向け、最大限の協力をしたい」と述べた。
 市は、復興公営住宅を市内全体で1050戸整備する計画。このうち上中島地区の復興住宅には、震災に伴って建設される復興道路などに土地を提供し、移転する約100世帯の住民を最優先に入居させる方針。1期工事の用地は約3千平方メートルを見込み、3階建ての集合住宅を建設する。これに伴い、土地や建物を買い取るための関連議案を開会中の市議会9月定例会に追加提案する予定だ。

岩手県による「市町村ごとの建設・管理戸数」によると釜石市は全戸数1,049戸 うち市町村建設・市町村管理478戸、県建設571戸(うち県管理226戸,うち市町村管理345戸)となっております。新日鉄分210戸、UR(都市整備機構)RC造・木造268戸で市発注物件はゼロとなり、被災地地元企業が受注する機会は、ほぼゼロになりました。
 昨年のグループ補助金(2次)での新日鉄グループ採択理由の一つと推定も含め当初からこの話はでていました。
まあ、復興予算は大手の方達に流れるんだと昨年からあきらめてはいましたから、復興予算の消化が遅れているという話になると、大企業の金の無心かと感じてしまいますね。
復興予算の流用について未だにNHKスペシャルを持ち出ししますが、気分の良いものではありません。

沖縄での道路整備やシーシェパード対策に消えていく!使いみちが怪しい「復興予算19兆円」の「国会版事業仕分け」に民主党はなぜ応じないのか


 岩手県発注のうち、県管理災害復興公営住宅釜石市平田地区)新築1・2工区(建築)工事 126戸 県管理災害復興公営住宅釜石市野田地区)新築(建築)工事 36戸及び鵜住居等70戸はRC造、409戸はRC造等(設計・施工一括方式)のため実質S造となるのは、県がリスクと品質管理と住民の安全を負う場合はRC造ですが、負わないため民間業者の自己責任へ転嫁するためには、S造となるのが相当だからです。設計標準が5階建て40戸のため設計プランの東京等からの売り込みは来てますが、内陸部の業者だけでしょうね。
 公務員叩きによる職員数の低下は、地域への再分配効果を弱めるのは、こうした傾向からみても明らかです。地方自治体職員を保護することがその第一歩であるのは自明であり、地方自治体職員を保護するためには、公共投資の受注者も保護される必要があるのです。
 「設計・施工一括」「買取方式」「敷地対案型買取」は、そういう意味で再分配を弱め大都市圏や県庁に本社機能を有する企業を強化する傾向となります。
 直接建設(分離発注)方式が、自治体職員の充実した職員数と能力の確保という面に追っているため、各自治体からの応援が必要なのですが、「復興」のために集めても実質何もさせないのであれば採用する必要が無かったのです。過重労働対策という部分についてであれば、至極真っ当な話であるのも否定できません。これは民間企業の状況も一部に負荷が掛かっているのも事実ですから、同程度の社員を確保する必要になるのです。
 官民も復興のスピードを上げるためには「労基法」を違反することを求められていることを感じることができなければ単なる一方的な話だけで終わってしまします。業務プロセスをどの様にアウトソーシングするのかワークシェアリングするのかという話になるか、復興事業を被災地以外に分散発注することや、被災地以外の経済低下をしない為(リソースを被災地へ振り向けさせない制限として、被災地企業の業務量の確保)があったりと様々な利益調整に満ちているため、簡単に復興なんて言わないでよ。という愚痴だらけになってしまいますね。そういう状況なのに「復興予算の事業仕訳け」を熱望する方達ってなんなんでしょう。