津波被災の記録53
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110922/dst11092210350020-n1.htm
大槌の魚介宅配、注文1000件!
2011.9.22 10:34
大槌漁協で小豆島さんや手伝いのボランティアらが箱詰めや出荷作業に追われていた=15日、岩手県大槌町(撮影・大里直也)
東日本大震災で被災した岩手県大槌町で、サンマやイカなどを宅配販売するプロジェクトが人気を集めている。
同町の加工会社は震災ですべて流され、魚市場も再開しないまま。仮設工場建設予定地は決まったが、完成までの見通しは立っていない状況が続いている。このため、地元水産加工業者の小豆島敏明さん(48)ら4人が「なんとか漁業の仕事を再開したい」との思いから「立ち上がれ!ど真ん中・おおつち」と名付けたプロジェクトを立ち上げたという。
注文は、すでに1千件を超えているといい、被災したままの大槌漁協では連日、小豆島さんや手伝いのボランティアらが箱詰めや出荷作業に追われている
※現在の大槌魚市場の状況は冷蔵・冷凍施設の復旧が進んでいない。
大半が、宮古魚市場に水揚げしたものを輸送しているはず。震災前から水産業の状況は、宮古と大船渡の市場へ収斂するプロセスが進行していたこともあり、この地域に市場が必要ではないということが、ある程度語られていたことではある。
水産加工業と漁業者・漁業生産者の買い上げ価格が、宮古魚市場と釜石魚市場では10倍以上違うこともあり、多くの漁船は宮古・大船渡に水揚げするのも、釜石市の新日鐵の城下町としての部分が強すぎて、成長できなかったことについては希望学でも指摘されているところではある。
公設民営の市場において、価格決定プロセスを適切に改善することで、生産者と加工・流通・消費者の意識を改善している地域と旧態依然たる部分が残り、サンマ・カツオ等の一艘買いが出来なくなった(資金力のある水産加工業者が存在しない)ことも新たな水産加工業者を生み出すことが無い、産業の停滞をもたらしている部分を今後どのように改善するかが、「市民ファンド」が単なる投資ビジネスか喜捨を取り戻す契機になるのかは、運営するNPO等の意識に拠るのだろう。
消費者が国内農水産物の適切な価格プロセスを認識しえない限り、「可哀想」という心理を利用した経済活動では限界が見えてくるのも早そうではないかと危惧する。
岩手県自体が、中国大連への進出を進めることもあって、中国人研修生を2年後に呼び戻すことになるだろうから、水産加工業の振興は地元雇用にはプラスにはならないのは、大槌町の平均所得が約190万円から170万円台に下がったことが、パート労働が失われたことに起因しているのは明らかで、岩手県は沿岸部から雇用を喪失することに熱心だった。地方自治体が、県庁所在地のみの繁栄をその指針としている以上、リフレ派や経済学者・エコノミスト等が「デフレ解消」を叫ぼうと、現実の地方自治はその政治・政策が「デフレ推進」=「需要・雇用喪失」を是としている。人が減るのだから公共・民間投資は必要ないと住民に語ることに熱心だ。地方自治・地方分権は雇用を維持することはしない。公務員叩きに見られるような、朝霞の公務員社宅建設にあれほど批判するのも、地方都市に住民を残さない意思の表れに過ぎない。都市政策を「ムダ」と断じる程度の意識しか持てないようでは、これから、雇用はもっと失われるだろう。