津波被災の記録44

がれき処理、遅れは業界に不信生む/淺沼全建会長が懸念20110704建設通信

【最終処分まで早期道筋を/減災・防災 模範復興を】
 全国建設業協会の淺沼健一会長は、東日本大震災の復旧に昼夜を問わず励んでいる被災地の会員企業の労をねぎらう一方、「被災者を含む国民の目から見れば、発災から100日が過ぎたにもかかわらず、がれきの処理が思ったほど進んでいない」と、6月30日の理事会で訴えた。処理の遅れが建設業界に対する不信につながりかねない状況に警鐘を鳴らしたもので、「地元から要請があれば、全建は全国組織として、総力を挙げて応援に行く」との姿勢を示した。震災がれき処理が進まないことで復興が遅れ、被災者・被災企業だけでなく地域の再生そのものが遅れることへの懸念を示した形だ。

 淺沼会長は、「遺体の捜索を伴う作業に加え、処分場も不足しているため、処理が遅れざるを得ないのは理解している」としながらも、その処理に手間取れば、復興への道のりが遠のき、心身ともに疲弊している被災者にさらなる苦労を強いるため、ロードマップの必要性も指摘した。

 震災によって発生した災害廃棄物は、大きく分けると、▽市町村など基礎自治体に処理責任がある震災がれき(環境省)▽港湾、漁港など海中にある海中がれき(国土交通省水産庁)▽田園地帯に堆積した津波堆積物・ヘドロ(環境省農水省)――の3種類ある。

 このうち東北3県の震災がれき推計総量約2200万tのうち、仮置場までの搬入割合は32%(6月28日時点、環境省まとめ)にとどまっている。

 震災がれきの処理が進まない原因は、量的な多さと、将来的には交付金で手当されるものの一義的に処理責任がある基礎自治体に地方負担分が発生することや、県が代行する場合も県の事務負担増大に自治体が不安を抱えていることがある。

 また、仮置場から中間処理・リサイクル・最終処分までの新たな処理システムを構築しなければならないなど、震災がれき処理をめぐる課題が多いことが指摘されている。課題は、政権・与党内だけでなく野党も問題解決へ向け、国直轄によるがれき処理代行案が浮上するなどさまざまな議論が進んでいるものの結論には至っていない。

 全建の淺沼会長の発言は、こうしたことも踏まえ、震災復興を進めるために、早期の震災がれき処理の必要性を訴えたものとみられる。

 一方で淺沼会長は、今後想定される首都直下型地震や東海・東南海・南海地震への対応も視野に、「日本全体の模範となる復興を望む」としたうえで、「減災・防災の観点からいい見本を見せてほしい」と訴えた。

 淺沼会長が東海・東南海・南海地震への対応を踏まえた減災・防災に言及したのは、防災教育などソフト対策とハードとしての地震津波対策が今回の震災を契機に全国各地で必要になるとの見方が背景にありそうだ。

※業界の不信感を生んだのはゼネコンさんです。中越地震のさいに、今回の被災地からも応援に行った中小建設業者もいましたけど、土工協(ゼネコンのみ会員)会長の年頭あいさつが「中越地震の復興は全てゼネコンがやった。地元の業者など何の役にも立たなかった。」と言い切っていただけました。
 その恨みは残ってますよ。阪神大震災中越地震の復興資金の8-9割が被災地以外への富の流失となって、「田舎に投資しいも、人件費だけ、乗数効果が無い。」とまで言われたのは忘れていないと思います。でも、残念なことに岩手県知事、基礎自治体長、自治体職員、議員も「楽をしたがる」ので、ゼネコンに頼めばいいと簡単におっしゃる方の多いこと。そういう無責任な考えが、地方を衰退させている自覚が無いことへの反発が「職員、議員イラネ!!」の根源なんです。自分達の身を守るために「効率」=窓口対応1社とする考えを改めないと、震災復興後に自治体職員の削減は増えると考えます。

 ぶくまでも書いたけど、
hahnela03 生んだ張本人が言っても説得力無し。中越の際の不信を作ったのはゼネコン。一般人は知らないけど、日本郵政=銭高組、JT=清水建設が全国の営繕を手中に収めたじゃない。他も中央で決めて乗り込んでくる話ばかり。 2011/07/04

 全て、「効率」というものの実態はそういうことでした。
 現在進行中の「瓦礫処理」についても、釜石市は完全に「新日鐵系コンサル」の支配下に落ちました。基礎自治体として「行政機能は喪失」しました。
 「地方分権」「地方主権」「地方自治」は素晴らしい。の真実がここにあるのです。

(追記)

hahnela03 JAPICは、岩手県釜石市がれき処理のモデル事業にアドバイザーとして参画しており、共通処理マニュアルを作成して実現を後押しする。