効率(続き)

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WEDGE OPINION» 著者・コラム紹介 漁業復興 カギは漁業権の開放
2011年05月31日(Tue) 小松正之

>まず、民間企業などの水産業への新規参入を可能にするためにも、漁業協同組合(漁協)を通ずる漁業権の許可に加えて、県が直接民間企業に養殖業や定置網漁業を許可することが必要です。

熱海市網代漁業株式会社という、まさにそのような形で設立された会社があります。現社長の泉澤宏さんは、「今の漁協は、力をもちすぎている。私が営んでいる定置網漁業に必要な定置漁業権も、地元漁協が優先される上、それ以外の者が漁をする場合には、行使料や協力金、海面使用料などといった様々な名目の対価性のない料金を漁協に納めなければならない」と、漁業の悪習と闘っています。

 ずるい登場の仕方とアピールをする「泉澤水産」。弁護士を介在して買い取ったばかりの定置会社を名乗らずに被災地である地元の会社名を名乗って、岩手県岩手県海区漁業調整委員会岩手県漁連、漁協すべてに対して喧嘩を売ればよい。姑息なまねはすべきでないし、「調整」というものを嫌うにしても度が過ぎる。 

 宮城県知事の「水産業特区」が、水産加工会社における外国人研修生により「儲かって仕方ない」と経営者に言わしめたことを、「養殖業」「定置」でも使役して儲けたいということがミエミエで好きではない。大槌町世帯年収が20万円落ちた最大の原因は「外国人研修生」による雇用の喪失がおきたことを、生産の現場にも適用したい場合、漁協経営と漁家という自営業者は消滅することになるだろう。デフレが続くことで、「効率」の名で、自営業者を企業システムの一部に組み込み直す作業が大詰めを迎えてきているということなんだろう。その最終仕上げが「TPP」だということだ。