津波被災の記録9

平成23年4月2日
 1週間ぶりの風呂。ガソリンが安定したことと、自宅周辺は未だに電気が復旧していない。
 あくまで家族の中での話。
 小さな集落でみんながそれぞれ被災している。ただ家が流失した方達の横暴と非協力的な態度等が、住民間に心理的な軋轢と対立を生んでいるとのこと。それは、自分自身も避難した際に感じたことだけど、生き延びて今後も生きていこうという気に向かわない。自暴自棄がコミュニティの再生と個人の再生と社会の紐帯を蝕もうとしている。こんな小さな集落の生き延びた現状でさえままならない。

平成23年4月3日
 退職した社員に離職票と給料を渡すことができた。
 まだ、消防団活動に従事している方と自宅に避難している方には渡せていない。
 少しずつ津波で流失した書類を拾っては集める。結構残っているものだ。
 今年度(平成22年度)の契約書の綴りが出てきたのは嬉しかったし、許可書関係も全部ではないけれど見つかる。津波は「経歴」という「歴史的積み重ねの記録」もすべて奪う。自分自身の生の記録を失うことで存在そのものも漂泊してしまうのだろう。
 この辺りは、学歴問題とも繋がる心理的要因の一つなのだろうか。