津波被災の記録143

とりあえずブックマークは再度公開に致しました。

 昨年の年末から公共投資を抑制する傾向が強まりましたが、2015年3月決算の内容はアベノミクスの恩恵を受けている内容となったところが多かったようです。
 東北は復興絡みで落ち込みは少ない見通しでしたが、見ておりますと受注格差が拡大する傾向にあります。平成27年度の状況次第では、消費税10%時に何らかの対策が必要になると思われます。

3保証11月統計/減速感が鮮明 2桁減少/大規模景気対策に期待20141217建設通信

ブロック別では、東北が1.0%増のほかは、北海道が29.6%減、関東が0.2%減、北陸が12.7%減、中部が10.3%減、近畿が20.0%減、中国が12.5%減、四国が2.8%減、九州が16.5%減、そのほかが68.0%減と軒並み大幅な減少となった。都道府県別でも、14都県が増加した一方、33道府県が減少した。
 14年4月から11月までの累計の請負金額は、前年同期比2.0%増の10兆9693億円。東北、関東、中部、近畿、中国が前年同期を上回っているものの、北海道、北陸、四国、九州が前年同期を下回っている。都道府県別では24都府県が前年同期を下回っており、23道県が前年同期比増を維持している。
 年内に政府が打ち出す経済対策において、大幅な公共事業が見込まれていない。
 今後、15年3月までの4カ月間、前年度並みで推移したとすれば年度計は14兆7856億円で前年度を1.4%上回る。ただ、10月、11月が前々年度同月を下回る規模で推移していることから15年3月まで前々年度並みで推移すると試算すると、14年度計は14兆3018億円で前年度を1.8%下回ることになる。
 地域の建設業者からは「既に工事発注がぴたりと止まった。3月までに多少、公共事業が出たとしても決算期末には間に合わず、今決算期のマイナスは確定的だ」など、工事発注の少なさを絶望視する声が上がっている。アベノミクス効果もあって建設業にようやく明るさが見え、安定的な公共投資に対する期待も上がり始めた矢先に、再びの公共事業減で地域建設業の経営環境は振り出しに戻りかねず、大規模な経済対策に期待する声が強まっている。

 年末にリフレ派による「統合政府(債権債務消滅理論)」が披露されました。リフレ派が東大法を目の敵にするのはそういうことかと思いました。ただこれでいくと、日本においては中央政府地方自治体は一体でなくてはなりません。
 米国の連邦制における連邦政府と州(独立国家)の構図を日本に当てはめる経済学をモデルにするということは、日本国を道州制か連邦制にするかが前提となり、憲法改正を行わなければこの図は意味を持ちません。

国の借金は減っているアベノミクスに増税は必要ない

経済学では、政府と中央銀行を合わせて「統合政府」と呼ぶ(図2)。政府と中央銀行はともに公的部門であり国の機関であるはずなので、「国の借金」とは「政府の借金」ではなく「統合政府の借金」を意味していなくてはならない。

貨幣発行益を国民に配当せよ

財政ファイナンスは、「貨幣発行益」(貨幣発行によって得られる利益)を財源に政府支出を行うことを意味してもいる。そもそも政府の財源には、
(1)税金
(2)国債
(3)貨幣発行益
の3つがある。ところが、日本の政策当局はこれまで(1)と(2)のみが財源であるとの思い違いをしてきた。それゆえ、景気回復のために国債を財源とした政府支出を行い、景気回復の兆しが見えると、財政赤字を減らすために増税し、景気を後退させるということを繰り返してきた。これではいつまで経っても、デフレ不況から脱却できるわけがない。そのような思い違いを改めなければ、失われた20年は30年にも40年にもなるだろう。
 貨幣発行益を財源とした政府支出を行うことで、国の借金を増やすことなく、景気回復を図ることができる。我々は、景気回復と財政再建が両立し難いといったジレンマに陥ってなどいないのである。
 政府支出の対象としては、供給制約(人手不足)に直面している公共事業よりも、現金給付の方が適切である。例えば国民に一律1万円といったマネーを毎月支給してはどうか。私は、これを「貨幣発行益の国民配当」と呼んでおり、理想的な社会保障制度と言われる「ベーシックインカム」に発展させるべきと考えている。

 リフレ派を含め貨幣発行益「1万円1枚当たり9,970円の利益がでる」という公会計を無視した前提で、統合政府理論とは相いれないことです。現在の公会計は民業圧迫をしないため、公共サービスは儲けられない様になっています。これを勘違いして「役人は儲けられない」というのですが、公会計と民間の複式簿記を混同することをしているわけです。

 統合政府である以上、日本銀行は儲けを出すことは出来ません。通貨発行益を出すためには、統合政府から外し通貨発行を民間企業に委託する構図にしなければなりません。また、通貨発行益は原価管理での売上総利益的なものでしかないため、一般管理費等を差し引いたものでなくてはなりません。リフレ派は経済学を語るのに会計学を用いるなと言う方もいますが、そうなると統合政府や通貨発行益をどのような学問で成立できるのか謎になります。

 この統合政府理論のリフレ派(学者)は、早稲田大学ですが、被災地復興が大嫌いなんでしょうね。供給制約が生じているのではなく、配分の歪みによって生じていることも分かっていないのですから、早稲田大学東日本大震災復興支援室というのは被災地から財源を強奪するだけで被災地には何の恩恵をもたらさない役立たずな組織ということになります。とっとと解体して、二度と被災地や今後の東南海等震災関係にも関わらない様にして貰うのがよいのでしょう。

 建築工事で保険加入負担/現場生産の供給網再構築/大手、準大手けん引20141222建設通信

ただ建築工事の場合、土木職種と比較して、下請け次数が2倍以上に上るケースもあり、社会保険未加入者も多数存在している。さらに、社会保険加入負担を元請けが見積もり価格に上乗せすることに対し、民間発注者はコストアップにつながるとして拒否感を示すケースも多かった。
 そのため専門工事業界では、「元請けから社会保険加入分の支払い担保がない段階で、加入促進を進めることは経営を圧迫しかねない」と社会保険加入促進に二の足を踏む傾向が強かった。

 首都圏の民間建築工事は、社会保険未加入者を安く使うことで低価格受注を繰り返すなど、デフレ圧力を持っていたのです。デベロッパー・投資家等にとっては、賃金デフレで利益を享受していたわけですから、公共投資の拡大と待遇改善(賃上げと社会保険加入)圧力に対して、「民間投資がクラウディングアウト」と叫んだのです。リフレ派の資産経路からの波及とも合わせると、リフレ派こそがデフレ継続を望んでいたことが見えてきます。
 
 
労働政策研究報告書No.169 「復旧・復興期の被災者雇用」/労働政策研究・研修機構(JILPT)

概要
研究の目的

本プロジェクト研究は、東日本大震災の被災地の雇用・労働面への影響とそれへの政策対応について、記録の視点から実態把握を行うものである。7つの研究グループのうち本グループでは「キャッシュ・フォー・ワーク(Cash For Work; CFW)」をキーワードとしている。CFWは「労働対価による支援」という意味を持つ。その起源は、途上国支援を行う国際協力NGOにあり、被災者自らが働くことで収入を得て生活できるだけではなく、被災地域の復興を推し進め、被災者の連帯や絆を深め、心のケアにまで副次的効果があるといわれている。
一方、東日本大震災の被災地域では国の基金事業である「緊急雇用創出事業」が被災者雇用に活用され、平成23〜26年度雇用者数合計は約10万人に達している。緊急雇用創出事業は、リーマンショック後に経済が急激に冷え込んだ時期の失業者ための対策として作られたものだが、震災後に被災失業者の支援策として展開されており、図らずともCFWの理念と通底するところがある。
本研究では、緊急雇用創出事業の被災地での活用実態を事例を通して明らかにし、将来的に起こるとされる大災害時の被災者雇用支援策がいかにあるべきかを整理して提言する。

取り急ぎまとめた感があります。CFWについては、理念を皆が分っていたというより「ただ行って金が貰えた」から良かった。程度の実態だった。あまり過度な実績として取り扱われるのはどうかと思われる。


労働条件の設定・変更と人事処遇に関する実態調査/労働政策研究・研修機構(JILPT)

主な事実発見
1. 正規従業員で勤務地や職種、労働時間が限定された雇用区分があるとする企業は、「職種限定社員」が13.7%、「短時間正社員」が10.7%、「勤務地限定社員」が8.7%となっている。これを正規従業員規模別にみると、規模が大きくなるほど、「勤務地限定社員」「職種限定社員」の雇用区分がある割合は高くなる(図表1)。これらの限定正社員の雇用区分の規定状況(複数回答)をみると、「就業規則」に規定している割合が45.3%で最も高い。
図表1 正規従業員の雇用区分について(複数回答、単位=%)


2. ここ5年間で労働条件の変更が「あった」とする割合は73.3%。労働条件を変更した項目を尋ねると、「高齢者の継続雇用制度関係」が69.9%でもっとも高く、次いで、「賃金関係」「育児休業制度・仕事と私生活の両立関連」「労働時間関係」などとなっている。労働条件の変更の手続きは、「就業規則(社内規程含む)を変更した」が92.6%と最も高い。ここ5年間において、就業規則の改訂に当たって、行政に対する届出に際して添付する意見書を得るために、過半数組合や従業員の過半数代表者の意見を聴いたかについては、「従業員の過半数を代表する者の意見を聴いた」が74.9%、「過半数組合の意見を聴いた」が12.6%となっている。

3. ここ5年間において、過半数組合や従業員の過半数代表者(「過半数組合等」)から、就業規則の改訂案に対して、意見や希望が表明されたことがあるかを尋ねたところ、「就業規則の内容について意見が表明されたことがある」は23.8%、「就業規則自体については意見がなかったが、就業規則に規定のない労働条件や就業環境について希望が表明されたことがある」が11.3%だった。「特段の意見・希望が表明されたことはない」は62.6%となっている。正規従業員規模別にみると、「特段の意見・希望が表明されたことはない」の割合は規模が小さくなるほど高い。労働組合の有無別にみると、労働組合のある企業に比べ労働組合のない企業のほうが「特段の意見・希望が表明されたことはない」の割合が高い。1回の就業規則の改訂につき、過半数組合等の意見を聴くための協議を何回くらい行ったかを尋ねたところ、「1回のみ」が55.0%と半数を占め、これに「2回」(18.7%)を加えると約7割の企業が1回ないし2回で協議を終えていた。

4. 転勤の対象者選定に当たって考慮する事情については、「本人の健康状態」をあげる割合が66.5%と最も高く、次いで「親等の介護」が60.9%、「単身赴任となること」が50.6%、「子供の教育」が46.2%、「配偶者の勤務」が36.0%などとなっている。正規従業員規模別にみると、規模が大きくなるほど「本人の健康状態」「親等の介護」の割合がおおむね高くなる。一方、規模が小さくなるほど「子供の教育」「配偶者の勤務」「自宅の購入」の割合が高い(図表2)。
図表2 転勤の対象者選定に当たって考量する事項(複数回答、単位=%)


5. 出向の内定者への意向打診については、事前に意向打診を「する」とする企業が85.4%を占めている。事前に打診した本人の意向を、どの程度尊重するかについては、「同意がなければ行わない」とする企業割合が53.1%と最も高く、次いで「出向条件などできる配慮は行うが、同意が得られなくても出向させる」が31.5%となっており、「通知に重点があり同意が得られなくても出向させる」は6.3%とわずかである。

6. 転籍内定者への意向打診については、事前に意向打診を「する」と回答した企業が91.4%を占め、「しない」とする企業は5.5%とわずかである。事前に打診した本人の意向を、どのように確認し、どの程度尊重するかについては、「口頭で同意を得る」とする企業が44.3%と最も高く、次いで「書面で同意を得る」とする企業が35.7%となっている。

 はてなブックマークでは、限定正社員を経営者側が強要しているように受け取る方達が多く見られますが、労組のあるなしに関わらず手続きは行われていることが見て取れます。
 金融政策によって様々な効果が波及するためには、このような労働条件変更等により賃金等が改善が働いていると見るべきでしょう。リフレ派が言う効果とは、直接ではなく間接的な効果でありますが、当人たちがその経路と効果の在り方そのものをわかっていないで「リフレ政策は左派の政策」というのはムリがあります。