とある都知事選の「同一労働同一賃金」

ささきりょう‏@ssk_ryo

細川さんの公約にある、国家戦略特区を利用して同一労働同一賃金って、これは危険だねぇ。同一労働同一賃金はもちろん原則としては悪くないし、実現していくべきものですが、この文脈で語られるときは、低い方への「同一」が狙われているからね。全員、低く合わせて、同一労働同一賃金

 「疑似首相公選制」のごとき取扱いをし、「地方から国を変える」という
「地方分(主)権」が、これほど馬鹿馬鹿しいものであることを候補者が示す選挙というのも凄いとしか言いようがありません。
 選挙権がないので、どうこう言える立場ではありませんが、「復興特区」を利用して憲法を無効化する提案をしたり、「国家戦略特区」を利用して、「同一労働同一賃金」を言う、日本のリベラルとか「正義の味方」の人達は酷薄ですね。指摘されるとおり、日本型雇用については「終身雇用」を言われますが、正社員の「完全月給制」による賃金の下方硬直性を保護している影響は無視できないところです。解雇規制緩和というより、「固定費から変動費へ」の賃金算定解体は社会保障にまで影響するのは建設業に対する「ムダな公共投資」批判により賃金下落と日給月給への転落と言う「失われた20年」の経験から確実にそういうことになります。
 建設関連産業から非正規雇用へ向かわざるを得なかった方達は、「正義の味方」の犠牲者でもありました。
 

 労働条件が少し違う設定にしてはいますが、考えるにはちょうど良い資料かもしれません。
 労働条件が「一日の所定労働時間8時間」で考えましょう。

 時間給は、1,000円です。1,000×8時間=8,000×労働日数=月収。

 日給のパートタイマーも日給8,000円だと、「一時間当たりの賃金」は、8,000/8時間=1,000円です。日給8,000×労働日数=月収。
  
 月給の正社員については、「1ヶ月当たりの平均所定労働時間」を求めることになります。
 上記の例では、(365日(1年)-107日(年間所定休日(完全週休二日制(土日休日)+会社指定休日(年間カレンダー(変形労働時間等含む労働協定に基づく))))×8時間)/12ヶ月=172時間となっています。
 「一日の所定労働時間8時間」を抜いた式では、「1ヶ月の所定労働日数」は、21.5日となります。社会保険における算定基礎届での適用日数が休日の変化と共に23日から20日に変わっていったのは、このためです。
 月給制においては、毎月の労働日数に変化があっても賃金が変動することはありません。(12月〜2月、4月〜5月、7月〜8月を比較してみる)
 また、時間給・日給とちがい「手当」が加算されているのも違います。社会保険料の算定でも同様の取扱に成りますが、「通勤手当」を社会保険では加算するけれど、「一時間当たりの賃金」には算定からは除外されています。
 歳入庁にした場合は、全て合算して課税所得とすることになるでしょう。課税ベースの拡大や給付金の拡大は、給与所得者に対する課税免除が廃止されることと引き換えとなると思われます。
 
 仮定ではありますが、上記の設定の「月給の正社員」が「同一労働同一賃金」の適用となる労働内容であるとした場合、基本給の下落は確実に起きるでしょう。

 職務手当3万円、住宅手当2万円がある場合の基本給
 「1ヶ月当たりの平均所定労働時間」=172時間
 「通常の1時間当たりの賃金」172,000円/172時間=1,000円
  基本給122,000円+手当50,000=172,000円

 
 職務手当3万円、住宅手当2万円がない場合の基本給
 「1ヶ月当たりの平均所定労働時間」=172時間
 「通常の1時間当たりの賃金」172,000円/172時間=1,000円
  基本給172,000円

 最低賃金1,000円とか言う候補者もいるようですが「国家戦略特区」で、所得を落とした方達も含め医療費無償化の原資は内部留保(笑)とかあり得ません。企業の諸手当を無くすことで、拠出することになりそうです。
 また、都民減税等も含めそのような事を言えるのも「日本一の地方消費税の税収」が原資の根拠と正直に言えばいいのに。

 あくまでも単純な取り扱いなので、現実にはこうならないと思いたいです。ちなみに、建設業は「変形労働時間制」により第2・4土曜日が稼働労働日となっている会社が大半を占めると思いますが、連合が求める「完全土曜閉庁」がどのような影響を中小零細企業労働者に与えるかというと、単純に労働日数が24日程度減ります。日給月給で日額10,000円の場合、月額20,000円の減収となり年収は240,000円の減収ですね。完全月給制の連合組合員の休日が増えても月給は減りません。ただし、時給は上がります。割増賃金の恩恵を受けやすいとも言えるでしょう。
 完全土曜閉庁により、連合組合の所得は補償されるけど、中小零細企業労働者は所得減を甘んじて受けろ。ということになります。民主党を含め労働者の味方を唱える方達は結構、残酷なんです。
 そういう対処もふくめ労務費単価を上げてもらうのは、被災地復興のためだけではなく、全国の労働者全体の所得減少を抑制する意味からも、求められているのです。
 リフレ派の良心やリフレ派が言う「土建供給制約」による「労務単価見直し批判」などというのが、給与所得者にとっては、有害であるのはそういう理由からでもあります。