津波被災の記録105

「売り上げ減」67% 被災4県のグループ化補助金交付事業所

 東日本大震災で被災し、国のグループ化補助金を受けた青森、岩手、宮城、福島4県の事業所のうち、67.5%で売上高(昨年9月時点)が震災直前より減ったことが、東北経済産業局の調査で分かった。17.0%は売上高が震災前の3割以下にとどまる。従業員数は減少した事業所が41.7%あった。売上高、従業員数とも水産・食品加工の落ち込みが目立ち、復旧や販路確保の遅れがうかがえる。 〜
 業種別の雇用人数のうち、水産・食品加工は1万204人で、震災直前より4223人(29.3%)減った。
 旅館・ホテルも6742人で1833人(21.4%)少なくなった。反対に建設は450人(7.3%)増えて6621人となった。
 経営課題(複数回答)は「人材の確保・育成」が最も多く、「受注・取引の確保」「販路開拓」「資金繰り」と続いた。 東北経産局東日本大震災復興推進室は「被災企業の間では、事業立て直しに向けた人手不足感が強い」と分析している。
 アンケートはグループ化補助金の第5次までの交付先4506社に郵送で行い、83.5%に当たる3764社が答えた。

 アンケートの結果は、当初から指摘されていたことであって、補助金と政策のリンクができていないことを如実に表わしている。3/4の補助で全てが解決できるわけもなく、二重ローンについても都市銀行OB等や公認会計士達が被災地復興を認めない姿勢でいる結果でもあるということも報道されてしかるべきだろう。NPOファンドに支援してもらえば良いような風潮も実は様々な政策のリンクを妨げていることも検証すべき時期にきていることを本来の研究者がすべきことだろう。
 本当にグループ補助金の共同事業の効果を高めるためには、最終流通と提携とその提携による生産規模を確保する他省庁間の補助金と政策のリンクが必須なのは自明であり、大学等がサポートすべきことで、自分の研究の道具にすることではない。
 二重ローンにしても、グループ補助金の採択理由が「地域経済への貢献」であることからすれば、採択事業所の二重ローン解消による金融政策によって、復興への後押しが可能だろうし、シナジー(相乗)効果も期待できると思われるけど、所詮は民間出身者の限界を露呈する結果としかなっていない。復旧・復興が遅れるのは政府のせいにするのは単なる逃げ道でしかなく、民間の政策への無理解と能力不足が顕著であることをむしろ覆い隠していることの害が大きい事を自覚すべきだろう。


岩手県、被災商店街の補助を拡大 イベントも対象

 岩手県は2013年度、東日本大震災で被災した商店街の復興支援に本格的に乗り出す。国がグループ化補助金のメニューを増やしたことを受け、共同店舗や個人店舗の復旧費用の補助対象を広げる。「復興市」といった商店街が行うイベントにも新たに補助する。
 被災した商店街が共同で店舗などを再建する場合、従来のグループ化補助金では、被災自治体が「中心市街地商店街」として認める必要があった。新年度はそれ以外の商店街でも申請できるようになる。 小売業者らが復興プランを作り、商店街を整備する際に4分の3を国と県が補助する。まちづくりが進んでいる数カ所を想定している。残り4分の1も無利子の高度化資金貸付制度を利用すれば、初期投資の負担を軽減できる。
 グループ化補助金の対象に採択された県内の商店街はこれまで宮古市大槌町、大船渡市の3商店街にとどまる。県の担当者は「各地の商店街の復興の進み具合が目に見えるようにしたい」と説明する。
 県は事業費19億5000万円を盛り込んだ2013年度一般会計当初予算案を19日開会の県議会2月定例会に提出する。

 岩手県における第5次(国は6次)後半の採択は、20日頃となりそうだ。補正予算の審議が19日からで、流れからすると33グループが全て採択となるかもしれない。上野副知事も懸念しているご認識がある「共同事業」と「運営」についてどのように調整するかが大変だろう。県議はそういう面で気楽だ。


1月31日 衆議院本会議 代表質問 志位和夫議員・安倍晋三内閣総理大臣
動画:http://www.youtube.com/watch?v=25pojlT0ppA

質問 志位和夫氏(日本共産党委員長
答弁 安倍晋三内閣総理大臣

志位 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。

Q1 住宅・生業再建への公的支援

東日本大震災からまもなく2年を迎えますが、復興は立ち遅れ、被災者の命と暮らしが脅かされる状況が続いております。日本共産党は、これまでの政策の基本的転換をはかることを要求します。

第一は、「個人財産の形成になる」として、住宅や事業所などの復旧を支援しないという従来の災害対策を改め、住宅と生業の再建に必要な公的支援を行うことを基本原則にすえることであります。

住宅再建支援金を300万円から500万円に引き上げる措置をとるべきであります。中小企業再建を支援する「グループ補助金」を大幅に拡充するとともに、再建意欲のあるすべての小零細事業者を対象にした直接助成制度を新たに創設すべきであります。

安倍 志位和夫議員にお答えを致します。住宅と生業の再建についてのお尋ねがありました。住宅や生活の再建については、被災者生活再建支援金による支援を講じています。また、補正予算案で津波被災地域の自治体が住まいの形成に資する施策を通じて住民の定着促進を進めるため、震災復興特別交付税を増額しました。また、生業再建については、当初予算案で中小企業再建を支援するグループ補助金を復旧が遅れている地域に重点化しつつ、共同施設の新設等を対象に加え、充実拡充する等の措置を講じることと致しました。


Q4 デフレ不況の原因と歴代自民党政権の責任を明らかにせよ

どうやって深刻なデフレ不況から抜け出すかは、多くの国民が切望する国政の大問題となっています。

まず伺いたいのは、デフレ不況が深刻化した原因と責任についてであります。政府の「緊急経済対策」を読んでも、なぜ日本経済がデフレ不況に陥っているのかという原因の分析が一切ありません。原因を明らかにせずに対策をたてるというのは、たとえていえば、的を定めずに矢を射るようなもので、矢を何本射ようとも、的外れという結果になります。総理は、日本経済がデフレ不況に陥った最大の原因は、一体どこにあるとお考えなのでしょうか。

私は、働く人の所得が減り続けてきたことが、デフレ不況の最大の原因だと考えます。1997年を100として、企業の経常利益は163まで増えましたが、労働者の所得・雇用者報酬は88に落ち込んでいます。総理は、賃下げとリストラの繰り返しで、働く人の所得を減らし続けてきた、このことにこそ、デフレ不況の最大の原因があるという認識をお持ちでしょうか。

さらに、日本をこうした賃下げ社会にしてしまったのは誰なのか。その重大な責任は、歴代自民党政権にあると考えます。労働法制の規制緩和を進め、派遣やパートなど、非正規雇用を拡大してきたことが、賃金を引き下げ、貧困と格差を拡大したことは、政府の統計でも明らかであります。総理、今日の深刻なデフレ不況を作り出した重大な責任の一端を、あなたも含めた歴代自民党政権が負っているという認識と反省はありますか。答弁を願います。(拍手)

安倍 デフレ不況に陥った原因についてのお尋ねがありました。我が国経済は長期にわたり需要が弱い中で企業などによる日本経済の将来に対する成長期待の低下や、デフレ予想の固定化もあって、デフレが継続してきたと考えております。

自民党政権においては、経済・産業構造の変化に応じて必要な労働分野の改革を行ってまいりました。私の内閣では大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で、長引くデフレから脱却して、経済を成長させ、雇用や所得の拡大につなげることを目指してまいります。

Q5 消費税増税を中止せよ

減り続けている働く人の所得を増やす方向に転換する、ここにこそデフレ不況から抜け出す最大のカギがあります。私は、つぎの「三つの決断」を政府に求めるものです。

第一は、消費税増税の中止であります。一口で消費税10%といいますが、サラリーマンの世帯でいえば、1カ月分の給料が丸々消費税に消えてしまうのが税率10%であります。消費が凍りつき、景気の底が抜ければ、税収も落ち込む。そのことは、97年の消費税増税後に14兆円もの税収が減ったという事実によって証明済みのことではありませんか。

安倍 消費税についてのお尋ねがありました。昨年8月に成立をした税制抜本改革法では、来年4月に消費税率を引き上げることが決まっております。ただ、機械的に何が何でも引き上げるということではなく、経済状況等を総合的に勘案して判断することとなります。いずれにしても、我が国経済を全力で、全力を挙げて再生をしてまいります。

Q6 社会保障削減計画を中止せよ

同時に、社会保障削減計画を中止すべきであります。政府はその突破口として、生活保護制度の大幅切り下げを進めようとしていますが、これは受給者の生存権を乱暴に破壊するとともに、最低賃金など国民生活全体の悪化をもたらし、賃下げ社会をいよいよ深刻にすることにもなり、断じて認めるわけにはいきません。(拍手)

総理に、真剣にデフレ不況から抜け出す決意があるのならば、国民の所得を奪うあらゆる政策の中止を決断すべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。(拍手)

安倍 生活保護制度の見直しなどについてのお尋ねがありました。今回の生活扶助基準の見直しは、社会保障審議会における検証結果や物価の変動を勘案し、適正化を図ることとしたものであります。また、この基準の適正化に合わせて、生活困窮者の自立・就労支援にしっかりと取り組んでまいります。

さらに政府としては経済再生を押し進め、雇用や所得の拡大につなげてまいります。

なお、ご指摘のような社会保障削減計画というものは存在しません。(拍手)


Q7 賃下げ・リストラを止めよ

第二は、大企業・財界の身勝手な賃下げ・リストラに、政治の責任でストップをかけることであります。

日本経団連は、賃上げを拒否するだけではなく、定期昇給の延期・凍結など、新たな賃下げ宣言を行っています。電機・情報産業の大企業は、業績悪化を理由に、13万人の首切り計画を進めています。

個々の企業だけを見れば、賃下げ・リストラは、利益をあげるようにみえますが、それを全体の企業が競い合って行えば「合成の誤謬」に陥る。社会全体の需要がますます冷え込み、デフレ不況をいよいよ深刻にし、結局は企業も立ち行かなくなります。

政府として、日本経団連・財界にたいして、賃下げ・リストラ競争の中止を強く要請すべきではありませんか。これは、ヨーロッパ各国の政府ならば、当たり前のように行っていることであります。

大企業の内部留保は不況下でも増え続け、260兆円にのぼっており、そのごく一部を還元しただけで賃上げは可能です。答弁を求めます。(拍手)

安倍 賃下げやリストラ競争の中止についてのお尋ねがありました。将来への確かな期待を持てるような成長戦略により、企業の収益を向上させ、それを雇用の拡大や賃金の上昇につなげていきたいと考えています。たとえば、税制においては、企業の給与支払いを拡大するための新たな措置を講じることとしたところです。企業の経営者の方々にも協力をお願いしたいと考えています。

Q8 働く人の所得を増やすための法改正

第三は、人間らしい暮らしを保障するルール作りに踏み出すことです。

労働者派遣法の抜本改正、パート労働法の改正など、非正規社員の待遇を改善して、正社員化の流れを進める。

中小企業への手当てをしっかり行いながら、最低賃金を時給千円以上へと大幅に引き上げて、この日本から「働く貧困層」をなくしていく。

独占禁止法の強化など、大企業と中小企業が公正に取引できるルールを作る。

政治の責任でこれらの改革を進め、賃下げ社会から脱出し、働く人の所得が増える社会への転換を図るべきではありませんか。

安倍総理は、無制限の金融緩和で「2%の物価引き上げ目標」を持つとしていますが、仮に物価が上がっても、賃金が下がり続けたままでは、生活はいよいよ苦しくなります。政府として目標を持つというなら、賃上げ目標こそ持つべきではありませんか。答弁を求めます。

安倍 働く人の所得が増える社会への転換のための取り組みについてのお尋ねがありました。政権発足以来、経済再生を通じた雇用や所得の拡大に向けて全力で取り組んでおります。同時に、労働者派遣法のあり方の検討、パートタイマー労働法の見直しや、中小企業支援や労使との調整により、最低賃金の引き上げに努めるとともに、独占禁止法等の厳正な執行など、実効ある取り組みも進めていきます。

賃上げ目標についてのお尋ねがありました。賃金等の労働条件については、各企業の労使関係において決定されるものでありますが、先ほど申し上げたとおり、成長戦略により企業の収益を向上させ、それが雇用の拡大や賃金の上昇をもたらすような好循環を生み出してまいります。

 えーと日本共産党から、国民の皆様の税金で「個人財産の形成になる」社会の実現をご提案されるとは思っても見ませんでした。マシナリさんを含めた公的セクターに所属する方達は困惑する事でしょうね。構造改革のねじれからみると、「補助金から給付金(BI)」も実は同様の趣旨であることが読み取れます。グループ補助金を通じて、国民の皆様からの税金を使用させて頂くことに様々な制約があることを理解して頂くとともに、バラマキ批判と言うのが実は適切なものではなく、むしろ日本共産党志位委員長の「政策の基本的転換」をはかることこそ「バラマキ」であるのが真実なんですね。そういう意味で構造改革によるバラマキ=「法人・個人の財産形成」をしやすい社会の実現にネオリベ・リベサヨ・共産党の目的は一致しています。
 働く人の所得を減らしてきたのが日本共産党であるのは隠しようもない事実で、公務員の俸給を批判してきたのもこの方たちですから、「賃金デフレ」を蔓延させた責任と自覚の欠落した政党が代表質問で言うのも恥ずかしい事です。

リーマン・ショック後の経済の落ち込みに際し、当時の麻生太郎首相は経済界首脳に直接、賃金引き上げを求めた。

安倍首相は、12日に経団連など経済団体幹部と会談し、賃金引き上げやボーナスの支給などで従業員の所得を増やすよう、要請する方針を固めた。

 マインドは少しずつではあるが変わってきている。リフレ派の期待とは別に。