津波被災の記録90

 世は選挙一色なのだろうけど、被災地の再建を願う企業と社員にとっては、今はグループ補助金の採択が最優先の状況。結果発表が選挙前か後かというのは、投票行動に出るんだろうか。今後の政権交代が起きてもどうやらグループ補助金は規模と地域を制限した形では存続しそうな話が伝わっている。来年7月の参議選前の申請があるかと思われる。
 
岩手建設工業新聞 2012年12月10日(月曜日)

PPP事業にJリート
内閣府有識者会議 PFI拡大で報告書

 内閣府の「不動産・インフラ投資市場活性化方策に関する有識者会議」は、不動産証券化市場やPFI事業の拡大に向けた報告書をまとめた。国内の個人金融資産1500兆円を不動産・インフラ市場に呼び込むため、収益施設の併存や複数施設の広域的運営を認める新型PPP制度の導入、Jリート運用資産の多様化(ヘルスケア施設、海外不動産など)のほか、Jリートがインフラ投資市場に参加する「PPP-REIT」の検討などを提言した。
 報告書では、日本経済のデフレ状況が続いている要因の一つに、民間企業部門に十分な資金需要がない反面、リスクの高い投資に資金が流れなかったり、政府の財政状況も厳しく必要な資金が回らないなど、資金の流れが停滞していることにあと分析。
 一方、不動産証券化市場には全収益不動産の16%、PFI事業には既存ストック全体の0.6%しか資金が投入されていないため、更新需要を迎える不動産・インフラ市場に個人金融資産など大量の資金を投入する必要を訴えている。
 PFI事業の拡大に向けては、新型PPP制度の導入を提案。公共施設等運営権を活用し、公共施設に収益施設を併設したり、副産物の売却を認めれば、事業の収益性を高めることが判明した。また、小規模事業もPFI導入のメリットが得られるよう、複数の学校施設の耐震改修や施設維持管理に包括的にPFI事業を導入したり、事業期間を長期化するなどの取り組みが必要だとした。
 Jリート市場を活性化するため、オフィスビル・商業施設・賃貸住宅が大半を占める投資先を、高齢者住宅や有料老人ホームなどのヘルスケア施設に拡大するよう提言。投資対象の裾野を広げてリスク低減を図り、年金基金など機関投資家の呼び込みを期待する。
 また、幅広くPPP事業を展開していく上で、公共インフラと民間不動産を一体的に整備・運営するこ機会が増加することを想定。Jリートをインフラ投資市場で活用し、PPP事業者の株式をJリートが一部取得することを検討するように求めている。

以上、抜粋。

 構造改革は確実に進め、中小零細企業が生き残る幅は増々狭まる社会の構築が進むことが期待されている。公共施設にある職員生協は、コンビニ等にとってかわることを目的とすれば、労組叩きは自然な流れと言えるでしょう。同様に公共施設の金融商品化を求める方達にすれば、「復興予算の流用」を騒いだのも、商品が目減りする事に対することだったことがわかります。被災地のために行っていたわけではなく、大都市圏の富裕層と投資家の都合と言うことになります。「復興リフレ」とか「日銀叩き」も現在のJリートを日銀に購入させていることからも、日銀法改正も今後の金融商品のためと言えるでしょう。被災地復興のためなんかではありません。
 今回の投資先拡大要求で、社会福祉法人等で働く事務職員と介護職員はさらに厳しい労働条件にさらされることでしょう。配当優先の経営環境が社会全体に広がることは確実でしょう。個人金融資産を一番持っている高齢者にとってはむしろ配当で悠々自適の生活が保障されるような感じをうけます。若年層にとっては、積立方式の年金を主張する方達の本音として、PFI事業による高リターンによって、年金運用が高まるし、いざとなれば日銀に買い取って元本は保全するつもりなんでしょう。
 公共施設と一体化した民間施設になっては、中小零細企業が更新需要にありつけそうもありませんし、メンテナンスといった受注からも占めだされることとなり、構造改革が大好きな方達にとっては理想の社会となるんだろう。
 「国土強靭化」と「日銀直接引受け」叩きをする理由もここにあるんだろうけど、多くの国民はビジネスからの要求(リスクヘッジとしての国債(公共投資の変換))を知らないままで、何か悪い事をしている空気だけでいるんだろうな。
 被災地のかさ上げのために地権者から購入して権利関係を清算・整理された土地は、真っ先に金融商品化の餌食にすることぐらいは理解してたけど、そんなことのための「復興リフレ」を言われれば腹が立つでしょう。