集団移転

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20110805/549669/?ST=rebuild
集団移転型のコンパクトシティーの復興モデル 2011/08/09
野中賢 [日経コンストラクション]

 東日本大震災の前から、東北の太平洋沿岸の自治体では、人口減少や高齢化のペースが全国平均より早いと予測されていた。持続可能なまちづくりを研究している三菱総合研究所の村上清明プラチナ社会研究センター長は、「小さい集落を震災前と同じように復興しても、若者は出ていって老人だけが残る可能性がある。医療費や、移動に伴うエネルギーコストが増大する恐れがある」と指摘する。

 人口減少局面で行政コストを下げる方法として、中心市街地などに人口と都市機能を集約する「コンパクトシティー」がある。

 震災復興でコンパクトシティーの形成を考えているのが仙台市だ。2015年度に全線開業予定の仙台市営地下鉄東西線を生かし、人や都市機能を地下鉄の駅付近に集約する。「仙台市コンパクトシティーを計画的に進めてきた都市で、震災復興のまちづくりもそれを基本に考えている。短期的な投資に耐えられれば、集約化することで中長期的なコストを抑えられる」(市震災復興本部震災復興室の梅内淳主幹)。

 一方、都心部以外での機能集約に向けて、三菱総合研究所は集団移転型のコンパクトシティーを提唱する。「若い人は、仕事があって快適な生活が送れるなら移転してもいいと考える人がいるだろう。むしろ、『積極的に移転したい』と思うまちをつくることが大事だ」と、同研究所の村上センター長は指摘する。

 下図が一つのモデルだ。居住地域の面積は50〜100haで、そこに5000〜1万人程度が暮らす。学校や公共施設、商業施設などへは歩いてアクセスできる。近隣に、植物工場や太陽光発電パネルの製造工場などを誘致して、若い人の働き口も創出する。一から新しいまちをつくるとコストがかかるので、大規模な工業団地の遊休地などの活用を想定している。

三菱総合研究所が提案する集団移転型コンパクトシティーのモデル(資料:三菱総合研究所

 人口減少や高齢化は、被災地から約20年遅れで日本全国が直面する問題だ。「東北地方でモデルをつくって成功すれば、将来は日本全国の問題解決につながる」(村上センター長)。

 日経コンストラクション8月8日号の特集「次代につながる復興」では、被災自治体で始まった復興への歩みを追いながら、「居住地や都市機能の集約」、「減災踏まえた都市基盤の整備」など、右肩下がり時代の復興まちづくりに求められる視点を提示した。

http://www.nikkei.com/tech/ssbiz/article/g=96958A9C93819696E0E0E2E5918DE2E1E2EAE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E3EAE3E0E0E2E2EBE0E4E2EB

企業や自治体、政府の思惑が交錯 誰(た)がためのメガソーラーか
(1/2ページ) 2011/8/8 7:00

 東日本大震災による原発事故を受け、国内で大規模太陽光発電所「メガソーラー」の建設を目指す動きが広がってきた。ソフトバンク孫正義社長に続き、三井物産三菱商事自治体と協議を開始。新エネ発電の電気を電力会社が買い取る「再生エネルギー特別措置法案」も国会で審議入りした。だが、新法案には、菅直人首相の旗振りを嫌う勢力が反発。電気料金の上昇懸念や一部事業者の懐を潤すだけとの批判も根強い。誰(た)がためのメガソーラーか――。ブームに流されず、今一度原点に立ち戻る必要があろう。

自然エネルギー協議会」総会後の記者会見であいさつするソフトバンク孫正義社長(左)=7月13日午後、秋田市
 「自然エネルギーの推進に向けて、一致団結して行動していこう」。7月13日。秋田市内に全国35道府県の首長らが顔をそろえた。孫社長が主導し、太陽光や風力などの発電を普及させる「自然エネルギー協議会」の第1回総会のためだ。

 会議では、電力の全量買い取り制度の早期制定など6項目を柱にした「秋田宣言」を策定。国への政策提言などを通じ、自然エネルギーの普及に結びつく環境を整備していくことで合意した。

 地球温暖化防止の観点から、中長期的に再生可能エネルギーの普及が不可欠なのは誰しも異論のないところ。協議会の発足ももちろんその延長線ではあるが、全国にメガソーラーを建設することを通じて電力事業への参入を目指す孫社長と、「脱原発」の流れのなか新たな電源誘致で経済活性化につなげたい知事らの利害が一致した、と見るのがより自然だろう。

 実際、「総論」の協議会の場を離れ、いざメガソーラーを建設する「各論」の部分になるとそれぞれの思惑が交錯する。大阪府が用地の固定資産税の減免を検討し、埼玉県が用地確保を表明するなど自治体間で激しい誘致合戦がぼっ発。一方で、一部首長の間では「孫さんの計画は土地の無償提供が前提なのか」と警戒感ももれる。
 一方の孫社長。6月の株主総会で発電事業の狙いを強調すると、スマートグリッド(次世代送電網)に参入した米グーグルについて「さすがにグーグルだなと思う」と発言。現状で電力業界が独占する送電網事業への参入をもにおわせた。大義をかざしつつ、規制緩和を「商機」と見て寡占市場に打って出る――。今回の構想は過去何度も手掛けてきたそんな“孫流”の再現に映る。

 さらに話をややこしくさせるのが、再生エネ法案を強く推進する菅首相の存在だ。再生エネ法案は、太陽光や風力、地熱などで発電した電気を一定期間、電力会社に固定価格で買い取ることを義務付ける制度。買い取りにかかった費用は電力料金に上積みされる。

 同法案は東日本大震災が起きた3月11日に閣議決定されたが、その後、首相のイスに固執する菅首相が辞任の3条件に入れたために野党が反発。さらに電力料金引き上げにつながるため、与党内からも慎重論が噴出した。太陽光は発電コストが高いため、孫社長メガソーラー構想は当然買い取り制度導入が大前提。逆に言えば、制度が導入されれば、長期安定的に確実に利益が出る事業となる。孫社長菅首相再生可能エネルギー推進で5月に意気投合したこともあり、世間からは余計に色眼鏡で見られるようになった。

 原発事故後、新たな電源は必要。当面は液化天然ガス(LNG)など火力発電の増加が妥当だが、二酸化炭素(CO2)排出量が増えてしまう。ならば中長期的に環境に優しい電力を、コスト高と折り合いをつけながらどう賄うか――。方向性は正しいが、そこで重要なのは何より利用者目線のはず。今の議論はどうも、それとはほど遠い状況に見える。

 ここに注目すべき事例がある。東京海上アセットマネジメント投信と三井物産の取り組みだ。

東京海上アセットは企業年金や生命保険会社から100億円を集め、2012年度にもメガソーラーに投資するファンドを組成する。資金を元に三井物産が全国10カ所にメガソーラーを建設。すでに候補地のメドをつけたという。発電後は電力買い取り制度を利用し、電気を電力会社に売却。そこから得た資金を、投資した年金などに還元する仕組みだ。
再生エネルギーの割高なコストを誰がどう負うのか、議論が必要だ(写真は北海道稚内市のメガソーラー)
 ユニークなのは年金基金など機関投資家から広く資金を集めること。投資利回は年3〜4%が目標だ。「メガソーラー建設に関わる一部の関係者が潤うのではない。投資収益は企業年金などを通じて広く国民に還元される。社会的意義も大きい」。東京海上アセットマネジメント投信の外尾竜一・商品企画部長はこう強調する。

 誤解を恐れずに、わかりやすく言い換えてみる。特定の企業がメガソーラーをたてれば、電力会社の買い取り制度でその企業がもうかり、その費用は電力料金に上乗せされて国民に転嫁される。だが、国民が広く関わる企業年金や生保の資金でメガソーラーをたてれば、その収益は年金や保険を通じて広く国民に還元される。つまり、電力料金の値上がり分も一部戻ってくることになる。東京海上アセットによれば、すでに一部の年金基金など機関投資家から強い関心が寄せられているという。

 求められるのは、再生可能エネルギーの割高なコストをだれがどのような形で負うのか、国民にもわかりやすいオープンな議論だ。 現在審議中の再生エネルギー特措法案では、電力の買い取り価格は太陽光以外で1キロワット時当たり15〜20円、太陽光は35〜40円程度で調整している。制度が導入された場合、電力使用量が月300キロワット時の標準家庭で見ると、20年時点で電力料金が「月150円程度」(2%程度)上がる見込みだ。

 国民還元につながる東京海上アセットと三井物産の「メガソーラーファンド」は想定される解の1つだが、もちろん、すべてではない。各自治体が住民の理解を得ながら資金を拠出し、その収益や電気も地元住民に還元される仕組みを柔軟かつ、オープンに議論することが重要だ。事業者間の競争原理を働かせるためにも、企業の参入を促す仕組みも必要だろう。

 メガソーラーだけで国内電力不足が解消されるわけではないことをしっかり認識することも大切だ。仮に比較的大規模な出力1万キロ(10メガ)ワットのソーラー発電所を全国100カ所につくっても100万キロワットと、原発1基相当分にしかならない。太陽光発電は夜間や雨天では稼働しないので、同じ出力でも実際の発電量は原発を大きく下回る。一方で、火力発電を増やすにも、LNGの燃料調達増加分だけで年間3兆円以上のコストアップになる。いずれにせよ、電力料金への転嫁は避けられない。

 政府はメガソーラーなど再生可能エネルギーだけに固執せず、原発や他の電源を含めた中長期のエネルギー政策をどう作り直すのか。それぞれの具体的なコスト増のデータをもとにした、国民にも分かりやすい議論を早急に進める必要がある。その出発点を再確認せねば、せっかくのメガソーラーも後々歪んだ産物になりかねない。

(産業部 宮東治彦)

※三菱総研の提案は、メガソーラーと植物工場(原発で汚染されていない野菜という絶好のアピールで割高でも消費者は購入する)は、全体として、既存の産業は全て喪失せよ。でしかありません。
 周辺部は復興する必要もない。ソーラーパネルが並べやすい土地さえ確保できるためには、あまり早い復興などされて、土地に下手に家屋なり工作物を建てられては目的が達成できないということなのでしょう。被災自治体の県知事や市町村長が「高台移転」のための「集団移転」を推進したいのは、被災地の安全のためではありません。それによって利益を生む方達のためのお手伝いであって、そこに住民など必要ないのです。
 岩手県知事のように、沿岸部など人が住まなくするために「建築制限の条例化」を基礎自治体に要請したのは、岩手県という地方自治は、被災地を県土・被災者を県民とみなしませんという宣言であって、いつでも盛岡市を含めた内陸部に移転した方だけを県民扱いするということでしかありません。
 コンパクトシティー化によって、沿岸部は5,000人から1万人程度で分断されて、そこに基礎自治体として存続する現行の行政は消滅します。民主党の当初の基礎自治体の規模は30万人であります。岩手県の被災地は集めても現在30万を越えないでしょう。一関市、遠野市花巻市北上市盛岡市八戸市に吸収されるしかないのです。