津波被災の記録41

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110621/275036/
識者が語る「提言」に耳を傾け、政府任せではなく自ら復興へ踏み出そう!
2011年06月22日

東日本大震災からの復興を支援すべく、日経BP社の50以上の雑誌やWebサイトが総力を結集し、復興に関する情報を発信するWebサイト「復興ニッポン」。

 東日本大震災の復興に向けた枠組みを定める復興基本法が震災から3カ月たってやっと成立するなど、政府による復興対策は遅々として進まないが、復興ニッポンでは有識者による様々な提言を載せ、復興を進めるための情報を提供している。この記事では、その一部を紹介する。

新興国企業と勝負し、戦い抜くというスピリッツを 「日本企業はもう一度、世界で血みどろのシェア争いをしないといけない」と檄を飛ばすのは、日本電産永守重信社長だ。震災の復旧から国内市場に目が向かいがちだが、永守社長は「これからの世界経済は『先進国vs新興国』という構図になり、日本企業も韓国企業のように外へ出ていくしかない」と語る。

 ただし、「中国など新興国の企業がどんどん安いものを出してくる時、『我々は高級品でいく』と考えるのは危険」と、日本の電機メーカーが世界で台頭してきたときに、同様の対応をしてつぶれた米国の電機メーカーを引き合いに出し、こうした考え方をしていると日本のメーカーが韓国や台湾、中国メーカーにやられると警告する。

 「低価格品でも新興国企業と勝負し、戦い抜くというスピリッツがないとダメなんだ」と、今後の日本企業が目指すべき方向と姿勢を示す。

民間版・復興構想会議が日本のグランドデザインを提言 新浪剛史・ローソン社長、古賀伸明・連合会長、薮中三十二・前外務事務次官など大物民間人、有識者がメンバーに名を連ねる民間版・復興構想会議「日本創成会議」が5月末、日本生産性本部によって発足された。座長を務めるのは元総務相増田寛也氏だ。

 増田氏は、「政府任せではなく、国民目線で、民間の立場から、必要な提言や考えを発信していく重要性が高まりました。被災地を単に元に戻すということではなく、震災以前からの根深い構造問題にも向き合い、東北の創成を日本全体の創成につなげていく。そのために欠かせない、10年後の日本のグランドデザインを提示していきたい」と会議の発足の狙いを話す。

 「国の統治機構が機能不全に陥ったことによる初動の遅さ、東京電力福島第1原子力発電所事故対応のまずさなどは、あまりのふがいなさに愕然としました。低濃度汚染水を海へ放出する際に関係国への通報が遅れたこともあり、日本への信頼は失墜しました」と語り、政府任せでない会議の発足につながったと言う。

 「開く」「自前主義の打破」「生活者や次世代の幸せを阻む既得権・旧弊の聖域なき見直し」の3つのキーワードに、10年後の日本のグランドデザインを提言、国民や政府向けに発信して実現への取り組みを促す。

ITが真の社会インフラになれていなかったことを痛感 今回の震災で情報を収集する手段として注目されたのが、ツイッターフェイスブックといったIT技術だ。だが一方で、電力供給がストップし、通信基地局が被災して機能しなくなったりしたことから、インフラとしての脆弱さも露呈した。また、IT機器を使いこなせる人と使いこなせない人の情報格差も生んだ。

 東日本大震災からの復興に向け、被災地での支援に全力を挙げてきたIT企業の幹部を集めた座談会では、「ITが真の社会インフラになれていなかったことを痛感した」という思いが共有され、震災の経験を基に今後IT企業がなすべきことついて議論した。

 富士通自治体など顧客のシステムや情報の復元に全力を挙げてきたが、同社の取締役執行役員副社長の石田一雄氏は、「今ようやく復旧にメドが立ったのですが、私はむなしさというか、限界みたいなものを感じているのですよ。物を出したりシステムをつなげたりするだけで、本当によいのかとね。これまでIT企業として情報の重要性を訴えかけてきたつもりですが、本当に世の中に有益な提言ができていたのかと思っています」と話す。

 日本IBM執行役員の岩野和生氏も、「ITは経済のクリティカルインフラストラクチャーとして頑張ってきました。そして、いよいよ社会的なクリティカルインフラストラクチャーになりつつあると考えていました。ところが、震災では津波で多くの人が亡くなりました。情報がきちんと伝わっていればと悔やみます。ITが社会システムになっていなかったのです」と同様の思いを口にする。

 野村総合研究所理事の椎野孝雄氏は、「社会的責任を持ったシステムとよく言われますが、IT企業は社会のパートナーという意識を持てていなかった。顧客に先んじて、災害が起きたらどう対処すべきかを考えておかなければならなかったと思います」と反省する。

 今回の震災では、ツイッターなどソーシャルメディアが大きな役割を果たした。その一方でデマが広がるなど問題も多かったことに対して、「群衆の英知を活用すれば大きな効果をもたらすということは、今回の出来事でみんなが分かったわけです。今後はこのメディアや情報をどう使うかですよ。自社の持っているサービスと組み合わせると、こういうことができますよといったことを提案していく必要があるでしょう」とアクセンチュアのエグゼクティブ・パートナーである沼畑幸二氏は語る。

 今夏の電力危機から海外のデータセンターにシステムの移設を検討する企業が出てきていることに対して、NTTデータの取締役執行役員グループ経営企画本部長である栗島聡氏は「空洞化の話もありますが、今の税制ではデータセンターをシンガポールに持っていくと税金は半分以下で済みます。海外の企業も日本に来なくなり、このままでは当然、国内のIT投資は落ち込んでしまいますよね。ですから、データセンターだったらPUE(電力使用効率)などを考慮した税制を検討してもらうことで、もっとIT投資を“誘致”するようなことを我々が提言していかないといけないと思います」と話す。

シンポジウムの講演映像を期間限定で配信 復興ニッポンは6月7日、東京都内で「復興ニッポン・シンポジウム 産業界全体で考える、震災からの復興と新しい日本の姿」を開催した。当日は、講演者と約600人におよぶ参加者の真剣なやりとりで会場は熱気に包まれた。このシンポジウムから3つの講演について、その映像を8月14日まで期間限定で配信している。

 ガートナージャパンのリサーチ部門ソーシングリサーチディレクターの足立祐子氏は「東日本大震災を機に世界は日本への見方を変えようとしている。ポジティブな評価になるか、ネガティブな評価になるか、日本企業の取り組みが世界から注視されていると自覚すべきだ」と語る。

 前兵庫県知事でひょうご震災記念21世紀研究機構理事長の貝原俊民氏は、阪神大震災後「これからの復興をどうすればよいのか。前の状態に戻すのでは、衰退傾向から脱することができない。先々に対応する形にしていかなければ」という思いから掲げたスローガンが「創造的復興」だったと話し、阪神大震災からの復興を東日本大震災でも役立ててほしいと語る。

 アイリスオーヤマの大山健太郎社長は、東北地方には製油所が1カ所しかなく、その製油所で火災が発生しているという情報をからガソリンの入手が困難になると判断、人脈を生かし、直ちに関西地方でタンクローリーを調達することで被災地支援に役立てたなど、東日本大震災からの早期復旧を果たした“舞台裏”を明らかにしている。

 映像はないが、財団法人、日本総合研究所理事長の寺島実郎氏の講演をまとめた記事も掲載している。寺島氏は、復興計画策定で考えていかなければならないことは、まず被災地における産業基盤の構築と語り、復興計画の策定については「国民が参加して案を練り実行していくべき。就職難に苦しむ若者にはアイデアを出してもらいそれを実行してもらう。高齢者もそこに参加し、経験に基づいたアドバイスをしていく」と提案する。

市民一人ひとりが、エネルギーの供給と利用について真剣に考え、実践する 福島第1原発の事故により、原発に頼らない電力インフラをどう築くべきか盛んに議論されている。原発に頼らないエネルギーとして注目を集めるのが再生可能エネルギーだ。復興ニッポンでは、環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長の飯田哲也氏が、再生可能エネルギーに期待が集まる背景と課題について解説する。

 「2005年に日本は世界の太陽光発電モジュールの市場で47%のシェアを占めていましたが、2009年には12%までシェアを落としました。風力発電にしても、ドイツやスペインなどの欧米勢はもちろんのこと、中国やインドなどのアジアの新興国にも、導入量で大きく水をあけられています」と日本の現状を説明。

 世界各国が再生可能エネルギーへと突き進む背景には、2008年のリーマンショックで打撃を受けた経済を立て直そうという「グリーンニューディール」政策があるという。

 日本で再生可能エネルギーを普及させるには、「電設備の導入を容易にするための電力買い取り制度や補助金も確かに重要な施策です。しかし、もっと大切なことは、地域社会を構成する私たち市民一人ひとりが、エネルギーの供給と利用について真剣に考え、実践することではないかと思います」と語る。


 津波被災後の基礎自治体に対する、知識階級を含めた関与にどれだけのコストが支払われるかということは表に出ることは無い。現在議会が機能させていない状態で、自治体の長による専決処分によって契約が行われている。「通年議会(国会)」というものが、特別会計基金等の議決を必要としないものが失われるということが前提である以上、「危急存亡のとき」には、予算措置をする場合、一々議決が必要になることで、スピード感は喪失することになり、被災自治体は規模縮小(人口と経済)を余儀なくされる。かといって専決処分の妥当性と検証というプロセスを省略することは、地方分権地方主権における自治体の長と直接交渉しやすくなることは、国の関与が薄まった場合、とても危険ではないだろうか。
 釜石市よりの説明では、瓦礫撤去等だけのコンサルに年1億9千万3年間支払うそうです。
 民間の声とはそういう金を支払うことが前提ですから、能力の無い市職員を雇用する是非とコンサル=市職員の代替者に払う対価がむしろ高額になるのは確実。
 そして支払う金はすべて大都市へ奪われることになる。日本全国のご厚意は使われることはあっても、地元から雇用と金を奪うことになってしまうのが現状ですし、PFIによる復興は未来にわたる大都市への隷属を意味します。
 「仕事は環境省との交渉だけ」ですらそれだけ支払うのです。被災地の復興はそのような容で行うためには、補正予算が遅れれば遅れるほど遣り易くなるのです。絶望によって、全ての権利喪失を促されていくプロセスには「特区」による更なる焦土化という「人災」が待ち構えているのです。