現実に向き合わない者

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-b819.html
臨時工の優遇は不当労働行為か?
さて、小谷敏さんとのコメント欄でのやりとりで、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-6e5f.html

>残業させないのが不当労働行為などといった判例も結構あります

といったのがかなり驚きだったようです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/eu-fc4c.html
EU労働時間指令における多重就労者の労働時間規制について

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/index.html
『<若者の現在>政治』

そう、いわんとしていることにはまことに同感するのです。ただ、「労働者としての基本的権利に関する知識」が・・・。いや、わたくしもまさに労働法教育の重要性を何回も説いてきた側の人間です。しかし、その知るべき「労働者としての基本的権利」が、今現在の日本においてどのようなものであるのか。

そう、現在の日本の労働基準法を前提とする限り、「1日20時間に及ぶ労働が、法令違反であることは明らか」ではないのです。労働時間規制自体は実は青天井であって、36協定と残業代規制があるだけ。1ヶ月100時間を超える時間外労働は過労死の危険性があると言っているのは労災認定基準であって、労働時間の物理的規制は存在しない。そこに問題があるわけですが、あまり問題だという人はいないのです。


 hamachan先生が例外木的存在なのかどうか、あくまでそのクラスター上でのことではあるけれど、非正規雇用や派遣労働問題があった、あの「派遣村騒動」のさい、HALTANさんが叩かれてから、はてなIDをとることになったのだけど、当時からすごく疑問に感じていたのだが、「労使協定」で、時間外労働による過労死等の抑止措置として、1.配置転換 2.労働内容というの改善 3.派遣労働者の雇用による業務軽減措置等々があったはずなんですよ。「はてな」のような下々からすると高貴な方達に属するところが、知らないわけがないことのはずなんです。
 
 今回のエントリーの流れは、確実に学者は現実を見ていない。という証拠になるのだろう。
 非正規雇用派遣労働者が増加して背景は、単なる利益調整弁としての労働者を生み出すという単純な話ではなく、労働組合から組合員労働者のみを保護することによって生じている面がすっぽりと抜け落ちている。それも「労使協定」という合意によってである。あの騒動の本質は、労働組合が生み出したことを、隠蔽し解決を国に丸投げしたことにある。「日本的雇用」というものに矮小化し、欧米的な解決手法を提示・例示していながらである。また、民による解決を模索せず放棄しかつ責任すら放棄した。というのは自分達のような下々が感じたことであった。
 
「知識階級の劣化」は、自己は全く責任を取らないというに尽きる。それにしても、「ワークライフバランス」「ワークシェアリング」にしても、同様の問題点の発生を危惧する部分は見当たらないのはなぜだろう。
 「きょうも歩く」氏には敬意を払いつつも、http://kurokawashigeru.air-nifty.com/blog/の6/5 笹森清前連合会長の功績
 については、首肯しかねる部分があるのは、そういうことから、笹森氏にはむしろあまり良い感情は無い。むしろ自己の責任を放棄した「政治アドバイザー」的立場や非正規雇用問題を生み出した主犯の一人であることを思うと、何とも苦く重苦しいものがこみ上げてくる。
 結局は、労働問題が領導主義的な形で進んだ「日本的労働運動」が、中小企業労働者と向き合ってこなかったことにあるのだろう。非正規労働者の大半は、「バラマキ批判」「公共投資批判」「地方批判」によって生まれたのだから。