津波被災の記録142

 発災から4年4ヶ月。
 震災の復旧・復興はさらに趣を変え、被災地復興から自治体解体へと向かいつつあるようです。

 超復興への長い道(前編)

この国の政府は、東日本大震災からの復興期間を
2020年度までの十年間と決めている模様。

ついでにその十年間でも、前半の五年間が終わったら
復興の責任を被災自治体に順次、押しつけてゆこうとしている模様です。

それが「被災地の自立をうながす」ことになるらしい。

超復興への長い道(後編)

超復興への道を歩むために真に必要なものは何かここまで来ると見えてきますね。そうです。

日本人の社会連帯感を復活させることなのです。

そして社会的連帯感なしに国の保守(=できるだけ望ましい状態を達成・維持すること)はありえない。まこと、情けは人のためならずです。

 復興予算を増大させ時間を掛ける事となった「かさ上げ工事」によって、再建する能力があった人でさえ断念せざるを得なくなる環境をつくり、被災によるコミュニティの分断を促進する「かさ上げ」によって、コミュニティの再形成はほぼ不可能な状態に向かっています。岩手県知事によるネオ・リベラリズム岩手県内陸部の存続と発展しか考えておらず、沿岸部から人を叩き出す政策に注力しているため、民主党政権下での復興内容の合意からも逸脱し、生活の党とゆかいな仲間達だけに富を集約させているようです。そのようなことから今回は知事選とならざるを得ない環境となっているのです。

 また、当初の「絆」は色あせ、NPO等の補助金のための言葉となってしまい、かっての保守的な社会的連帯感ですら、企画会社による復興イベントで単なるイベント会社の懐を富ませるものに落ちていきました。東日本大震災後のショック・ドクトリンに群がった、リベサヨとネオリベの後始末は被災地が負えという現政権を支える有識者の皆様の高いご見識は素晴らしいとしか申し上げようがございません。

 そういうネオリベ・リベサヨが跋扈できたのも東大・東北大をはじめとする最高学府の面々だというのも、今後の東南海や南海大震災でも京大・阪大等がそうならないように準備していただきたいものです。後始末が大変なものばかり残してもらったため、「被災地は自己負担しろ」と言われてもしょうがない復興計画になってしまっているのです。大多数の被災者も市町村民も知らないうちに地元のための復興予算ではなく、外部へ流れるための復興予算が組まれていたのです。

 釜石市におけるW杯開催地ラグビー誘致については、被災して3ヶ月ぐらいして、ほら吹き女将とゆかいな仲間がそういう構想を配りだしたりしていて、地元住民からも白い眼で見られたのですが、その後の経緯から、新日鐵社員でもあるSW等が動いていたことがわかってきます。以前にも書きましたが、実態は盛岡SWで、地元は冷めているといっていいです。この誘致によって、スタジアム等の受注が地元建設業になることはありえないからです。震災後3ヶ月で被災した地元であのような基本設計も含め予算額を算定することなど不可能です。東京の本社及び関連会社で行われたと見るべきでしょう。ですから、受注は新日鐵関連企業になります。そのためには釜石市新自由主義的発注である「プロポーザル型設計・施工一括方式」を実施します。「綺麗な排除」は条件を明示して行うからです。
 多くの方からはW杯が決まって仕事がでると思われていますが、でません。勘違いです。新自由主義中小零細企業に発注を抑制し「効率」の名の下に、大企業に受注しやすい環境を整えることに真価があるのです。
 
 岩手県釜石市新日鐵等はW杯スタジアム等建設費を全額、復興予算でやれると思っていたようです。民主党政権時に政府から内示があったのか、生活の党とゆかいな仲間が確約したの定かではありませんが、全額できると思っていたようです。
 政権交代後、ラグビー協会会長の意を汲んでか、大学ラグビー等がW杯誘致のために被災地に来ることが増えました。ただ、当時とは状況がかわり全国的にW杯の寄付を募る必要があり、「被災地に勇気を」とかが、利用されることとなります。予算はそのなかで、国から適用されるように、個別事業の体裁の指導を受けながら約40億円まで予算化されるにいたったのです。但し、その条件として地元で3億円の寄付を集めることとなったそうです。
 そういう中で、東海市から3千万円が寄付されましたが、本社受注後の下請業者等の選定でいろいろと力が働くのは仕方がありません。
 
 開催地として、大会関係者や出場国の選手を受けるには不足しているものが多すぎて、SW・新日鐵関係者やほら吹き女将とゆかいな仲間達の思惑では、釜石市には殆ど利益を齎さず、大会関係者や出場国は盛岡市・花巻・北上市に逗留することになると思われます。国体後の県営施設の利用や温泉施設等を使用するわけですから、岩手県知事は支援するわけです。盛岡市を地盤としているわけですから新自由主義の利益誘導とも合致する行動です。
 一部には、豪華客船を停泊させて宿泊施設不足を解消する話もありますが、震災後も含め豪華客船が釜石港に入港できないのは新日鐵か許諾しないからです。殆どが大船渡港宮古港に停泊するのです。そのような幻想に満ちた案など何の意味も無いのです。
 仮設に配布したW杯誘致で米国ではこのようにスタジアムを富裕層の高齢者施設やイベント会場、ホール、カジノ施設等が載っているパンフレットを見ていると、W杯開催地決定万歳なんて絶対思えませんよ。旧国立競技場の設備を被災地に役立てるとか本当にいいように被災地は利用されていると感じる日々ですね。


 [ttp://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/6043045601.html:title=被災事業所946が“廃業” - NHK岩手県のニュース]
 

岩手県沿岸の12市町村にある商工会議所や商工会のまとめによりますと、被災した4341の事業所のうち、2月1日の時点で21.8%にあたる946の事業所が廃業したか、今後、廃業することを決めていて、1年前と比べて99事業所、増えています。
これは、仮設店舗で営業を続けている商店などが建設資材や人件費の高騰、そして経営者の高齢化などを理由に、店舗の再建をあきらめるケースが増えているためとみられています。
廃業の割合を、市町村別にみると、大槌町が38.8%と最も多く、次いで陸前高田市が38.1%、山田町が35.3%などとなっていて、被害の特に大きかった自治体で廃業率が高くなっています。

 グループ補助金でも後継者のいない事業者を構成員から排除しないと採択できない。と、言う話から、随分と切り捨てられました。事情を説明しても理解されませんし、「みんなもらえる補助金を何で俺によこさない」ということで、「恨んでやる」というのも実際言われましたね。
 釜石市の廃業件数はかなり高かったと聞いてます。
 共同事業は実際には行われなかったり、採択後は無視する経営者もかなりいるので、補助金返還もおきうるのかもしれません。
 そうなったら、水産加工業は過大投資もいいところなので、廃業するところが増えるのは確実です。あんまり持ち上げられすぎたのもあるので致し方ない面があります。