津波被災の記録125

防潮堤に囲まれる町

震災後に自分の生活を取り戻すだけではなく、地域のことも他人と意思統一しなければならないという大きな負担が、地元の方々に重くのしかかっているのが実態ではないでしょうか。


河北新報ニュース 焦点/防潮堤計画、暗礁/気仙沼内湾地区

◎高さ5.2メートル「港町の風情損なう」
<応酬3時間に>
 「防潮堤を造らないという手法はないのか」
 「既に地区に住んでいる人を守るためにも、防潮堤は必要だ」
 8月上旬、気仙沼市役所の会議室で村井嘉浩知事と約50人の住民が対峙(たいじ)した。初めて開かれた内湾地区の防潮堤に関する県との意見交換会で、防潮堤の是非をめぐる応酬は3時間に及んだ。
 意見交換会の終了後、村井知事は「住民の納得を得るのはこれから。われわれの思いだけは伝えることができた」と述べた。一方、気仙沼商工会議所の臼井賢志会頭は「知事は最初から建設ありき。がっかりだった」と吐き捨てるように語った。知事と住民による対話は、見解の隔たりだけを確認して終わった。 内湾地区は震災前、港町の雰囲気を伝える気仙沼市の「顔」だった。かつて帆船が船出に適した風を待ったことから「風待ち地区」とも呼ばれ、漁船漁業の基地として栄えた。産業でも暮らしでも、住民は海との密接な関係を築き、海に寄せる思いは特別だった。


国が土地収用認定 釜石の防潮堤整備、被災3県で初

 同地区に再建する防潮堤は高さ14・5メートル、延長930メートル。壊れた防潮堤よりも内陸側に整備するため新たに5・2ヘクタールの土地買収が必要だが、7月末時点の取得率は面積ベースで54%にとどまる。
 中でも41人の地権者からなる明治時代の登記の共有地(約3700平方メートル)は代表者以外の名前が分からず、交渉相手を捜すのが困難で収用以外に取得方法がなかった。


教授のひとりごと : 「森の長城」をつくろう - livedoor Blog(ブログ)

東日本大震災によって被災した各地では、ガレキの処置に困っている。震災ガレキを産業廃棄物と混同してはいけない。宮脇先生らの調査によれば、すでに分別はほとんど終わっている。したがって、今すぐできるところから、毒性のものと分解困難なもの以外は、すべて地球資源として活用する。とくに東日本大震災で生じたガレキなどは90%近くは、森の育成に最も好ましい木質資源のガレキである。これを土と混ぜながら、土中に隙間をつくれば、理想的なマウンドとなる。被災地の復興にあたっては、単なるセメントの防潮堤をつくるだけでなく、海岸沿いとその内陸側に、森をつくる。その土台とするために、少なくとも幅50m、できればそれ以上の幅で、木質のガレキや発生残土を混ぜながら、森の成立が可能な45度までの斜面角度で、高さは20m、できれば30mのマウンドを形成する。

膨大なガレキを「いのちの森」を守る地球資源として積極的に使い切る。その成果は10年経てば、高いマウンドの上に、高さ10m近い森として現れる。将来は、人類が初めて危機をチャンスとしてつくった、防災・環境保全林、地域景観を形成する「森の万里の長城」として高く評価されるという。

津田和俊 @kaztsuda
森の防潮堤のプロジェクトの内容見返しているけど greatforestwall.com 当初の計画とはだいぶ話が変わってきていて、コンクリートの防潮堤と役割分担を考えているような記述もあるなぁ。というか、実際に進んでいるプロジェクトの実施例に合わせた結果なのかな。

津田和俊 @kaztsuda
ちなみに当初の計画は、高さ20m幅100mと、国交省のコンクリートの防潮堤の計画よりもはるかに巨大な盛り土を300kmに渡って築くというもので、これに使うガレキの量は5%、残り95%の土砂をどこかから持ってくるというもの。それ別にガレキ要らないじゃん ^^

 脱原発系の方達にも評判が良い「緑の防波堤」ですが、建設費(税金)は、コンクリート防潮堤よりもかかります。指摘される通り「95%の土砂」は、三陸復興国立公園の自然を破壊して持ってくる以外の方法はありません。また、ILC(国際リニアコライダー)の掘削した土砂を使用するにしても何十年後の話ですし、放射能に汚染された土壌を使用するといってもすぐに使用可能なわけではありません。
 横浜国立大名誉教授の案を実施した場合、現在の復興予算の数倍以上を覚悟してもらう必要があり、大都市部が容認するとはとても思えません。(ただ、GDPが上がることは何でもするならべつです。)
 今回の防潮堤工事については、津波対策よりも高潮対策や海面上昇対策の面が強いのではないかと考えています。震災以前から民放連がCMで流してきた効果ともいえます。数十年・数百年におこる津波対策によるコミュニティの破壊よりも直近の海面上昇対策(地球温暖化)によるコミュニティ崩壊の方に危機意識が働いているでしょうか。


島本 秋 ‏@sankakutyuu
東北の津波で会社がぶっ壊された人たちが場所変えて商売するの嫌だって言って問題になってたけど、商売してる人にとっては会社の場所を変えるっていうのはそれくらい怖いことなわけですからね。少し場所が変わるだけで客層も変わるしニーズも変わるおそれがある。

島本 秋 ‏@sankakutyuu
海外出て行ってもなんの問題もないのはFX長者みたいな流動資産だけで財産築いた人だし、そういう人でも事業しようとなるとやはり母国で最初は始めるでしょうしねぇ。

 リフレ派の「復興リフレをぶちこめ!!」が、如何にコミュティとビジネスへの理解が無いか、2年経過した後の仮設商店街への客の落ち込みや再建後の水産加工会社等の取引先・顧客を喪失した回復が困難になることは全く考慮していない事が分かります。
 阪神・淡路大震災政令指定都市の資産価値の最大化を図るため、既存の権利(財産権)の上に成り立っていたビジネスを復興=再開発事業の推進(まちづくり会社)によって中小零細事業者から剥奪することを実践しました。震災直後に被災地域以外の「空き家・貸家」を利用する話がありましたが、2年5ヵ月が経過してはっきりしたのは、大都市と違い地方において、人と企業を鉢植えのように取り扱うことがコミュニティとビジネスを破壊し、再生を困難にすることだけは、明確になったようです。