津波被災の記録39

「緊急雇用創出事業」の崩壊
 マシナリさんの
 「新しい公共」が依って立つもの
  http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-453.html

>たとえば、津波で壊滅的な被害を受けて休業状態にある会社が、従業員を解雇しないで事業再開しようとしているとします。このとき、失業給付の特例と同様に、休業状態にある会社の従業員も緊急雇用創出事業で雇用することができる失業者とみなされますので、この会社の従業員も緊急雇用創出事業で雇用されることが可能です。また、この会社自体も自治体の業務を行うことができると認められれば、緊急雇用創出事業を受託することができます。では、この会社が緊急雇用創出事業を受託したときに、休業状態にある自社の従業員を雇用することができるでしょうか。制度上、新規に失業者を雇用してその人件費が事業費の2分の1以上という緊急雇用創出事業の要件を満たすためには、新たに従業員を雇うことが必要となります。ということは、事業費の2分の1未満の範囲内で既存従業員の人件費を対象とすることはできますが、休業状態にあるとはいえ自社の従業員であることには変わりありませんので、もし新たに従業員を雇わずにこの要件を満たそうとするなら、会社がいったん従業員を解雇するなどして雇用関係を終了させ、改めて雇用する必要があります。つまり、休業状態にある従業員に雇用機会を提供することを目的とした事業を実施するために、その従業員を解雇しなければならないという何とも不可思議な処理が必要となるわけです。

で、指摘されている「緊急雇用創出事業」の運用面で、実際に起きていることは「雇用・労災保険」加入のみの職業安定所への求人が通っていること。36協定にしか興味のない学者にとっては取るに足りないことだろうけど、受託者というものの存在する意味合いが崩壊しかねない危険性が特例措置という形で通ってしまっている。
 「派遣村」騒動で、あれだけ騒いだことがどれほど虚しいものであったのか、現実的な運用に向き合わない机上論を振り回すことで、なし崩しに制度が歪められていく現状をどのように補正すべきなのだろう。職業安定所の性質上、他の求人広告では掲載可能かもしれない求人広告が載って、紹介せざるを得ないことは凄く拙い前例ができてしまったと憂慮せざるを得ない。
 「緊急雇用創出事業」がその性質上、職業安定所の紹介による募集が必須であり、事業主に社会保険料等を課し、委託者である市町村がチェックするのが麻生政権下で運用した際はそうだった。何時の間に、厚生保険と厚生年金が省かれてしまったのだろう。事業者が1/2以上の人件費(7,500円)についても、公共労務費単価における普通作業員(岩手県)は11,800円である状態で、ピンハネするような行為を是認するような形になることは、不本意だろうし被災地にある企業がやってはならないことだろう。恥ずかしい限りだ。元々この制度がキャッシュ・フォー・ワーク(Cash for work)の性格を有していることはある程度理解はすれども、運用面で相当の齟齬が生じてしまうのはでき無い性質を帯びているのだろうか。と首を傾げざるを得ないところではある。
 
 社団法人全日本LPO協会=がんばれ 東日本!  東日本大震災 建築 復興支援対策本部についても、一人親方を含めた請負契約等がなされているのか、仮設住宅におけるハウスメーカーとリース会社の請負契約については疑義があるところでもある。被災地には、半年後に労働問題が勃発する火種は転がっているともいえる。