津波被災の記録38

3年でインフラ再生/連鎖型区画整理を提案/三菱総研が提言20110613建設通信

 三菱総合研究所は、被災地の市街地整備や産業・地域コミュニティーの再生、インフラ整備などを含めた復興に向けた提言をまとめた。3年をめどに連鎖型土地区画整理などによって市街地やインフラを再生し、5年程度で地域の復興をおおむね完成させ、10年で最終的に完成する方策を提案した。生活再建と同時に、復旧・復興の中で地域・産業構造の将来像を見据えた「種」を組み込むことが重要とした。

 提言は、「地域の復興の中に未来への種を埋め込もう」と題した。「新しい東北」を目指し、農林水産業の革新や環境・再生可能エネルギー産業などの新たな産業導入、行政・企業・住民・NPOなどの地域活動主体が一体となった地域構造の実現、広域的な地域間の役割分担・相互支援、先進的で持続的な健康医療の実現などの考え方で復旧・復興を進める。

 発災から半年程度を復旧期間として位置付け、3年程度を復興初期、5年目までを復興中期として、10年目の2021年をめどに復興を仕上げる。5年、10年目の節目では、自然との共生や地域の再生、環境などをテーマとした国際博覧会(万博)を開催することを提案した。

 復興の具体策としては、国や県で市町村での復興計画を補完するため、地域ブロック・都市圏での復興計画を策定するよう提示した。市街地の再生に向けては、浸水域に一定のルール・制限を設けて建築を規制する必要性を強調。ただ、浸水域以外での市街地形成が難しい地域や元の土地での居住を希望する人などがいるため、一定の防御施設によって浸水が避けられる市街地を分別し、その地域を二重の防潮堤などで強化する。浸水しなかった市街地の空き家や民間賃貸住宅を最大限活用するとともに、移転先の市街地は中層住宅の建設を原則とする。役所や病院、学校、通信施設などは市街地の中でも高台側に配置することが重要とした。

 内陸部への移転や市街地の重点防御などを実現するため、農地・低未利用地で新しく宅地造成する区域と浸水したものの一定の安全措置を講じて市街地として再生する区域、浸水するリスクが高い港湾隣接街区を設け、区域から区域への移転するため、「連鎖型」で土地区画整理を進めることを提案した。施行主体は自治体や都市再生機構など公的団体が基本としつつ、補完的に民間事業者の参入も想定されるとした。1年目に合意形成や事業計画策定、都市計画決定、2年目で事業施行、3年目で建設という想定のスケジュールを示した。

 内陸側の中核都市で、新しい市街地を復興のモデルとして建設することも考えられる。「課題解決型先進都市」と位置付け、敷地約50ha、計画人口5000人、概算事業費500億円で、再生可能エネルギーや木造3階建て共同住宅、地域産業など先進的なまちづくりの取り組みを集積させる整備モデル例を示した。

 さらに、今回のインフラの被害額を14兆−18兆円と試算し、復興のための国債発行によるリスクを回避するため、民間資金の活用を求め、水道事業における官民パートナーシップ、リスク分担による事業スキームの例を紹介している。

 道路復旧では、随意契約や災害協定などで地元建設業者が迅速に対応したことを挙げ、「今後の復興でも地域の事業者の力を積極的に活用する必要がある」とした。こうした復興事業に当たる地域の中小企業への金融を円滑化するため、復興事業の支払いで電子記録債権を活用するよう提案した。

 宮城県は、野村総研が関与しているのは明らかになったけど、やっと真打が表にでてきた。
 都市リベラル(ネオリベ・リベサヨ)による公的セクター叩きの根源は、総研と商社のビジネスモデル問題に尽きる。何の責任も負わない者達の提言が「都市と地方」「公共投資霞が関」を叩くことで利益を得ていた者達によってもたらされていた「人災」でしかない。
 「りふれは」にしても単なる「猿回しのサル」のように彼らに扱われただけでしかなく、実務的提言が無い以上、民間投資=「全てを金融商品化」する手伝いをしていたに過ぎない。
 「国債の日銀引き受け」拡大は、「金融商品」のリスクヘッジとしてしか見ていない彼らにとって、「何でもいいから、被災地に復興リフレ」は好都合な解釈を与えてしまった。
 PFIによって、形成された都市の管理は、「新しくない公共」ではなく「新しい公共」による管理社会という面があって、「使用料」の支払いが滞れば、その時点で「コミュニティからの放逐」が実行されることになる。民間経営による管理社会とはそれほど優しいものではない。「新しい公共」によって、スラム化する周辺部と新たな貧困の創出を、左寄りな方達が礼賛する凄惨さには抗うことができないのだろうか。

 反原発問題にしても、全ては「新しい公共」らによる「管理社会の形成」=「コミュニティの金融商品化」の促進という面が語られることは無いだろう。「スマートグリッド」にしても、その本質が「企業による都市機能全般の管理社会の実現」という部分が、昭和30年代的な「3丁目の夕日」の世代の「企業城下町での階級への回顧」=「1.企業の所長・支店長」「2.企業の労組組合委員長」「3.市町村長」という階級社会だったのに。この時代の負の部分が今日の世代間も問題へと続くことになったのに、再構築した形で再現したいということの運動でしかなかった。
 再生可能エネルギーは逆再分配機能を持つことが、語られることは無いのだろう。富むものはますます投資し、安定して雑収入をうけることとなり、設備投資ができない者へは、ペナルティとして、使用料の増額を受けることになる。電力の「全量買い取り」は電力会社にとってメリットは無く、単なる資金の通過するパイプとしてしか存在しえず、既存の再分配機能は縮小しつつ消滅することになる。既存の発電所建設と運営のリスクを労働等によって補完していたことは失われていかざるを得ないのは、福島で必死に働いている労働者を見捨てて、「反原発」を掲げる者達の凄惨な行為が「労働は唾棄すべきもの」「都市から地方への還元」ということに対することへの怒りでしかないのは、酷いとしか言いようがない